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とと姉ちゃん (第120回・8/20) 感想

連続テレビ小説「あさが来た」

NHK総合・連続テレビ小説『とと姉ちゃん』公式
第20週『常子、商品試験を始める』『第120回』の感想。
なお、本作のモチーフで、大橋鎭子著『「暮しの手帖」とわたし』は既読。


歯ブラシの商品試験と台所の記事が載った「あなたの暮し」最新号は、書店でも売り切れが相次ぎ、編集部にも注文が殺到する。常子(高畑充希)は大きな手応えを感じながら、次はどの商品を取り上げるか社員たちと会議をしていた。そこに花山(唐沢寿明)と水田(伊藤淳史)が現れ、今後も商品試験を続けるにはばく大なコストがかかり、さまざまな課題があるという現実を告げる。商品試験を続けるかどうか常子は大きな決断を迫られる
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---

せめて節分に季節感があれば、星野一家も救われたのに

アバンタイトルだけを見ると、ついに脚本家も常子(高畑充希)が行動力の人であることを描く気になったかと思える。しかし、主題歌明けにはそれが単なる常子が星野(坂口健太郎)の家に行くためだけの単なる “前振り” であることを知らさせる。

今回もYahoo!テレビのあらすじにもない登場人物の節分で、途中で電球が切れると言うハプニングまでわざわざ織り込んで尺を伸ばす。結果今回も約4分間も放送尺を割いてる。唯一の救いは、この節分と言う季節ネタが水田家と花山家のその後、そして食文化の変化を描くことに繋がったこと。

しかし、その節分のシーンに全く季節感がない。春と言うより夏にも見えたり。こう言う手抜きが、星野が登場するシーンの無駄さを助長するってことにNHKは気づかないのか。

編集会議のシーンが、恐ろしくつまらない理由

上の章で、季節感の手抜きが描くエピソードに別の意味を持たせてしまうと書いた。そして中盤では、撮影の手抜きが常子の台詞に別の意味を持たせてしまった。それが毎度登場する会議のシーン。10数名が一度に長テーブルの両側に並び、正面には黒板、右手には窓と壁があり、常子は黒板を背にして横にいる花山を見ると言う構図だ。

まず、社員を全員登場させるシーンの撮影を時間短縮したいと言う現実、長テーブルの手前側にしか空間がないと言うセットの現実、この2つから議論中の社員たちがほぼすべて引きの(登場人物が小さく映る)画になり、且つ背中からのカットも多い。

従って、議論への社員の反応が単純に見えない。見えるのは台詞を与えられた登場人物だけ。

こんな映像的な環境の中で、脚本は花山(唐沢寿明)と水田(伊藤淳史)が、常子と社員たちを説得する台詞を立て続けに喋らせる。そして、常子が社長としての経営判断に繋がる重要な台詞になるっても、視聴者はまだその気になっていない。なのに、話は進んじゃうから困るのだ。

水田の "2つの台詞" について考えてみる

まともな脚本と演出なら、ここでまず視聴者に社員と一緒に花山と水谷に納得し、常子の言葉に共感させる。しかし、当然ながら本作はそうなっていない。例えば、ここに紹介する水田の2つの台詞について考えてみる。

水田「年間1,300万円掛かります。
   あくまでもこれは低く見積もってです」

まず、この水田の台詞から常子の決意までが長過ぎる。しかもまた4分間。こんなに掛かっては、普通なら「企画の前に経費計算しなかったの?」と言う現実的な疑問が視聴者に浮かんじゃう。本当は、花山のガツンの一言で説得すべきだった。それをせずに引きの画でダラダラ引き延ばすから説得力が出ないのだ。

水田「ホントに良いんですか?」

そしてこの水田が常子社長に経営判断を仰ぐ今回の見せ場も、しょぼしょぼだ。なぜかって?常子が社員たちの反応を見るカットのあとの社員たちのショットが2カットしかないから。それも画面奥の社員の顔はピンボケ状態。

ここは2人ずつでも良いから全員のアップが欲しかった。それがないから常子が大きな経営判断をしたように見えないと言う大失敗になったのだ。

登場人物の台詞が、その人物の心からの言葉に見えない

そして、この大失敗によって、常子の台詞が社長の力強い発言に見えず、これまで「あなたの暮し」がどう読者に支持され売れてきたのか、「あなたの暮し」が読者にとって社会にとってどう意義のある雑誌なのかを、視聴者に改めて説明と解説しただけになった。

そんな状態で「何とかなるさ」なんて言わせるから、またどうせ「いつものいざとなると丸投げと味方はとことん利用するパターンで乗り切るんだろ」と思えちゃう。

結局、登場人物の「主張」や「意見」がその登場人物の心からの言葉に見えず、脚本家の視聴者への「説明」にしか見えない脚本と演出に問題があることが、今回の重要な見せ場で改めて露呈した。やはり優れたドラマは、主人公が自分で物語を作って歩いて生きていくのだ。やらされてる感の主人公に共感できるはずは無い。

あとがき

本当は、常子社長の最大の見せ場だったんですけどね。単なる茶番劇で終わってしまいました。そして、次週はまた星野と常子の恋バナ再燃とか、編集のお話以外の部分が多いようですね。今週も一週間お付き合い下さり、ありがとうございました。来週も、よろしくお願いします。
※ 前回の感想記事に、たくさんの「web拍手」を頂き、ありがとうございました。

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花森さん、しずこさん、そして暮しの手帖編集部
しずこさん 「暮しの手帖」を創った大橋鎭子 (暮しの手帖 別冊)
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【これまでの感想】
[読書] 「暮しの手帖」とわたし (大橋 鎭子/著・花森 安治/イラスト・暮しの手帖社) 感想 ※平成28年度前期 NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』モチーフ,大橋鎭子の自伝
第1週『常子、父と約束する』
1 2 3 4 5 6
第2週『常子、妹のために走る』
7 8 9 10 11 12
第3週『常子、はじめて祖母と対面す』
13 14 15 16 17 18
第4週『常子、編入試験に挑む』
19 20 21 22 23 24
第5週『常子、新種を発見する』
25 26 27 28 29 30
第6週『常子、竹蔵の思いを知る』
31 32 33 34 35 36
第7週『常子、ビジネスに挑戦する』
37 38 39 40 41 42
第8週『常子、職業婦人になる』
43 44 45 46 47 48
第9週『常子、初任給をもらう』
49 50 51 52 53 54
第10週『常子、プロポーズされる』
55 56 57 58 59 60
第11週『常子、失業する』
61 62 63 64 65 66
第12週『常子、花山伊佐次と出会う』
67 68 69 70 71 72
第13週『常子、防空演習にいそしむ』
73 74 75 76 77 78
第14週『常子、出版社を起こす』
79 80 81 82 83 84
とと姉ちゃん あの第82話で「連続20%超え」が途切れたそうだ
第15週『常子、花山の過去を知る』
85 86 87 88 89 90
第16週『“あなたの暮し”誕生す』
91 92 93 94
「とと姉ちゃん」自己最高25.3%。これでテコ入れも期待薄か?
95 96
第17週『常子、花山と断絶する』
97 98 99 100 101 102
第18週『常子、ホットケーキをつくる』
103 104 105 106 107 108
第19週『鞠子、平塚らいてうに会う』
109 110 111 112 113 114
第20週『常子、商品試験を始める』
115 116 117 118 119

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とと姉ちゃん 第120回

内容花山(唐沢寿明)水田(伊藤淳史)は、商品試験を継続すべきかどうかを、常子(高畑充希)に問う。。。 敬称略 いろいろな“家庭”を描いたことで。 一瞬。。。。「またか」と感じさせたが。 一応、その後の話しに繋がっているので、ギリギリokだろう。 ただね。 水田「少なく見積もって1300万」 って。。。。!? これは、どのように判断すれば、良いのだ??
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Author : みっきー

★管理人:みっきー

★職業:宴会/映像ディレクター(フリーランス)

★略歴:東京下町生まれ千葉県在住。ホテル音響照明映像オペレータ会社を経て、2001年独立。ホテルでイベント、パーティー、映像コンテンツ等の演出を手掛ける。活動拠点は都内と舞浜の有名ホテル等。

★ブログについて:フリーの宴席/映像ディレクターが、テレビ,映画,CM,ディズニー,音楽,仕事等を綴ります。記事により毒を吐きますのでご勘弁を。

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