とと姉ちゃん (第112回・8/11) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『とと姉ちゃん』(公式)
第19週『鞠子、平塚らいてうに会う』『第112回』の感想。
なお、本作のモチーフで、大橋鎭子著『「暮しの手帖」とわたし』は既読。
水田(伊藤淳史)の実家に結婚の挨拶に出かける鞠子(相楽樹)。日が暮れても戻らない鞠子を常子(高畑充希)や君子(木村多江)が心配しながら待っていると、鞠子は水田の父・國彦(筧 利夫)と母・むめ(高橋ひとみ)を連れて帰宅する。動揺する小橋家をよそに、國彦は結婚もできない大人は一人前とは言えないので息子がやっと結婚できて心底ホッとしていると話す。その夜、常子は君子に、自分にも結婚してほしいかと尋ねて…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
私の予想 "軽~い寸劇" を大きく上回る強烈な破壊力!
前回の感想で、「次回は水田家への挨拶で軽~い寸劇」と予想したのだが、まさかこれまでの本作の悪い部分をすべて凝縮させた無駄な15分間で、準主役級の結婚のくだりに見事に水を差し、強烈に破壊するとは予想だにしなかった。
私は今回を観終えるまでは、今週の月と火曜に描いた「鞠子の仕事」と水曜日からの「鞠子の結婚」は1週間ずつじっくり描いても良いと考えていた。しかし、脚本家がここまで、すべての登場人物たちに一貫性を持たせずに、その都度都度で彼(女)らのキャラを変えるなら、さっさと脇役の恋バナなんて終わらせるべきだ。
作り手のやりたいことを、詰め込み押し付けた15分間
祝日だけに観られない視聴者への、最大の配慮として大して重要なことは描かないことと、祝日なのに観てくれた視聴者への最大のサービスとして、現実的なことは無視して作り手のやりたいことを詰め込み押し付けてきたこと。これに腹が立つ。
まず、水田(伊藤淳史)の父・國彦(筧 利夫)と母・むめ(高橋ひとみ)の初登場シーンをサプライズにするために描いた3分程度の不自然さ。わざわざ美子(杉咲花)の台詞で「甲府なら中央線で3,4時間よね」と断っておきながら、鞠子(相楽樹)たちが帰宅するまでのくだりが変。
筧さん、今回はコントのノリでガッツリやって下さい!?
小橋家が駅前としても、最低6時間以上もの間、常子(高畑充希)は新聞のネタ集め、美子はたった1枚の裁縫、そして君子(木村多江)は家中の掃除をしていたと?一言、有り得ない!特に解せないのは、常にのんびり屋で他人への依存度が高くて心配などしたことの無い君子の変貌ぶりは有り得ない。
こんな違和感と不自然さが充満している小橋家に、「筧さん、今回はコントのノリでガッツリやっちゃって下さい、お任せしますので」との演出家の演技指導を受けたようなハイテンションな芝居で登場した水田の両親。
もう、息子に荷物を持たせず、荷物もこの15分間の責任のすべてを背負って玄関先で立ってる筧さんの笑顔が気の毒で気の毒で、観ているこちらが赤面したほど。水田家のセットの制作費を惜しんだのか知らないが、水田が父の大荷物を持たない時点で、水田も一人前で無いってことか?(後述する)
わざわざ挿入した "仏壇" のカットに違和感が…
これだけ書いても、本編上はまだ5分40秒。名脇役・筧利夫の芝居も留まることを知らずの勢い。しかし、私に飽きが出始めた頃、演出家の粋な計らいで、今度は一気にクールダウン。
だって、わざわざインサートした小橋家の仏壇のカットに、滝子(大地真央)の遺影が無いのだから。やはり小橋家は不義理の家族ってことか。それに、仏壇の上に故人の遺影を飾るならともかく、いつぞやの絵画を飾るのはどうかと思う。
本日、"最大の破壊力を持った台詞" の登場にイラッ!!
そして、なぜ國彦が常子に「負けちゃいられん」のか全く理解できぬまま、本日最大の破壊力を持った台詞の登場だ。
「結婚も出来ないような大人は一人前とは言えんですからね」
最大に國彦が “無神経な田舎のオヤジ” としても、未婚の常子と美子を前に発言するのは禁句中の禁句。その上、夫を亡くし父を亡くした人間に「親の心子知らず」と畳みかけたら、もう嫌味のレベル。
大きな屋敷と山ほどの野菜は持っていても常識を持ち合わせない水田の両親のこの何気ない一言で、どれだけの様々な理由で未婚や離婚の視聴者を傷つけたろう。祝日に、それも帰省先で家族と見ている視聴者もいることを考えると、作り手の無神経さにも腹が立つ。
常子の髪型、ととへの報告、常子アゲ、写真撮影…
もうあとは面倒だから、気がついたことを箇条書き風に。それに寝る支度のをした常子の髪型は肩の下までの長さがあったが、仕事中のダースベーダー似のボブスタイルとの一貫性が分からん。
いや、そもそも水田一家がいた時に、嬉しさを隠しきれないと言う理由で、君子と三姉妹が揃って仏壇に結婚の報告をするのが良いんでないの?そして、またわざわざ君子に “結婚しないヒロインアゲ” のために國彦の言葉を否定させる。ホント、この脚本家は本作直前に構成と言う概念を捨てたのだろうか?
で、最後の写真撮影のシーンまで違和感と不自然さが充満。美子最後の出勤の記念写真なら社員一同で撮影するカットは欲しいし、三姉妹で並ぶにしても、ここは常子が「今日の主役は鞠子だから」とセンターの立ち位置を譲る演技指導をして欲しかった。結局、最後の最後まで私をイライラさせた15分だった。
あとがき
こんな馬鹿馬鹿しい15分間の朝ドラの感想の記事に、祝日の貴重な時間を1時間以上も割いてしまいました。やはり今朝も「今日は(も)、簡単感想で。」で始めれば良かったかな?皆さん、この15分は忘れて、素敵な夏休みをお過ごし下さい。
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【これまでの感想】
[読書] 「暮しの手帖」とわたし (大橋 鎭子/著・花森 安治/イラスト・暮しの手帖社) 感想 ※平成28年度前期 NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』モチーフ,大橋鎭子の自伝
第1週『常子、父と約束する』
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第2週『常子、妹のために走る』
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第3週『常子、はじめて祖母と対面す』
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第4週『常子、編入試験に挑む』
19 20 21 22 23 24
第5週『常子、新種を発見する』
25 26 27 28 29 30
第6週『常子、竹蔵の思いを知る』
31 32 33 34 35 36
第7週『常子、ビジネスに挑戦する』
37 38 39 40 41 42
第8週『常子、職業婦人になる』
43 44 45 46 47 48
第9週『常子、初任給をもらう』
49 50 51 52 53 54
第10週『常子、プロポーズされる』
55 56 57 58 59 60
第11週『常子、失業する』
61 62 63 64 65 66
第12週『常子、花山伊佐次と出会う』
67 68 69 70 71 72
第13週『常子、防空演習にいそしむ』
73 74 75 76 77 78
第14週『常子、出版社を起こす』
79 80 81 82 83 84
とと姉ちゃん あの第82話で「連続20%超え」が途切れたそうだ
第15週『常子、花山の過去を知る』
85 86 87 88 89 90
第16週『“あなたの暮し”誕生す』
91 92 93 94
「とと姉ちゃん」自己最高25.3%。これでテコ入れも期待薄か?
95 96
第17週『常子、花山と断絶する』
97 98 99 100 101 102
第18週『常子、ホットケーキをつくる』
103 104 105 106 107 108
第19週『鞠子、平塚らいてうに会う』
109 110 111