とと姉ちゃん (第107回・8/5) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『とと姉ちゃん』(公式)
第18週『常子、ホットケーキをつくる』『第107回』の感想。
なお、本作のモチーフで、大橋鎭子著『「暮しの手帖」とわたし』は既読。
谷(山口智充)と美子(杉咲花)の尽力もあって、花山(唐沢寿明)が再び『あなたの暮し出版』に戻ってきた。常子(高畑充希)たちの書きかけの原稿を見て、花山は料理の経験のない水田(伊藤淳史)に原稿通りにホットケーキを作るように指示する。すると、細かいニュアンスが伝わらず、失敗してしまう。誰でも同じものが作れるように、花山は写真を使うことを提案する。それは料理の作業を分解して説明する画期的な方法だった…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
なぜ、小橋三姉妹は花山に感謝の言葉を言わないの?
なぜ、花山(唐沢寿明)が「料理の分解写真」の提案をした時に、水田(伊藤淳史)だけが「なるほど」と反応させたのに、小橋三姉妹は頷くだけにしたんだろう?せめて、写真に気付いた美子(杉咲花)だけでも良いから「花山さん、流石です」と言わせたら良いのに。
そう言う、人として最低限の感謝や思いやりの場面を描かずに、鞠子(相楽樹)と水田が目を合わせてニヤつく場面はしっかり入れるから、いつまで経っても常子(高畑充希)が花山を金儲けのために利用しているようにしか見えないのだ。
足りない台詞と、勘違いさせやすい演技ばかり…
綾(阿部純子)に試作&試食をしてもらう時も、彼女たちに礼はなし。普通、美味しそうに食べてるのを見たら、常子は花山に「素晴らしい記事をありがとうとざいます」とまず言うべきでは?そのあとに「これが最後の…」と言えば良いのに、感謝抜きだから、自分のことしか考えていないように見えてしまう。
「わざわざ台詞で言わなくても」「演技でわかる」との意見もあるだろうが、本作はそうなっているだろうか。足りない台詞と勘違いさせやすい演技ばかりだから、登場人物の好感度が上がらないのでは?
こんな朝ドラのヒロインで良いのだろうか?
結局、たった15分で、いや正確には10分程度で「画期的な企画」の話の着想から発売まで進んでしまった。その間、ヒロインや関係者たちから花山への感謝の言葉は無かった。そして、恋バナの成就を喜ぶシーンと、パンケーキを食べる笑顔の小橋家で終了。こんな朝ドラのヒロインで良いのだろうか。
『あさが来た』での "男女の描き分け" を再考…
前作の『あさが来た』は、朝ドラの典型的な女一代記で、朝ドラ初のお金持ちのヒロインと言うのが話題になった。そして、裕福な家に嫁いだヒロインが男性社会の中で、お金や立場を巧みに利用しながら女性実業家のパイオニアとして成功した物語だった。
そして、『あさが来た』では、男性を女性の “社会人としての指導者・助言者” 的な役割として描くことで、女性(たち)の自発的・自律的な成長や成功を促す役目に設定されていた。だから、すべての登場人物に共感を覚えたし応援できた。決して女の登場人物をむやみにアゲない大森美香さんらしい脚本だった。
本作では、ヒロインの敵か味方しかいない…
しかし、本作は全く違う。登場人物は男性女性に関わらず、常子の敵か味方かのシンプルな関わりで描かれる。そして、常子の敵は物語から退場し、常子の敵は小橋家に利用される。敵は無視して、味方だけ残すなんて、なかなかこんな人間関係を考える人っていないのでは?
常子が庶民の力、女性の力、男性の力を信用しないワケ
これらのことから、常子が庶民の力、女性の力、男性の力を信用せず、身内とお金と立場やプライドに頼るのは、今の脚本家自身にそう言う部分があるのではないだろうか。なぜなら、劇中の登場人物は、脚本家以上のことは出来ないのだから。
もしかしたら、庶民の力、女性の力、男性の力だけでなく、スタッフの力、俳優の力、視聴者の力をも信用せず、NHKの力に頼ってるのは、『とと姉ちゃん』と言う番組でなく脚本家で、それが番組に投影されているのかも知れない。視聴者を信じて、過去の『怪物くん』『妖怪人間ベム』『信長協奏曲』のような自由で独創的な脚本を書いてほしい。
あとがき
やはり、今作の西田征史さんの脚本が、これまでの彼の作品と違い過ぎます。『朝ドラ』は考えられないような重圧がかかると脚本家の人は言いますね。きっと、私なんぞは想像も出来ないものなのでしょう。でも、過去に出来たのだから、今作でも見事な脚本を書いてほしいのです。そこを見捨てない限り、本作を見続けます。
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【これまでの感想】
[読書] 「暮しの手帖」とわたし (大橋 鎭子/著・花森 安治/イラスト・暮しの手帖社) 感想 ※平成28年度前期 NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』モチーフ,大橋鎭子の自伝
第1週『常子、父と約束する』
1 2 3 4 5 6
第2週『常子、妹のために走る』
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第3週『常子、はじめて祖母と対面す』
13 14 15 16 17 18
第4週『常子、編入試験に挑む』
19 20 21 22 23 24
第5週『常子、新種を発見する』
25 26 27 28 29 30
第6週『常子、竹蔵の思いを知る』
31 32 33 34 35 36
第7週『常子、ビジネスに挑戦する』
37 38 39 40 41 42
第8週『常子、職業婦人になる』
43 44 45 46 47 48
第9週『常子、初任給をもらう』
49 50 51 52 53 54
第10週『常子、プロポーズされる』
55 56 57 58 59 60
第11週『常子、失業する』
61 62 63 64 65 66
第12週『常子、花山伊佐次と出会う』
67 68 69 70 71 72
第13週『常子、防空演習にいそしむ』
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第14週『常子、出版社を起こす』
79 80 81 82 83 84
とと姉ちゃん あの第82話で「連続20%超え」が途切れたそうだ
第15週『常子、花山の過去を知る』
85 86 87 88 89 90
第16週『“あなたの暮し”誕生す』
91 92 93 94
「とと姉ちゃん」自己最高25.3%。これでテコ入れも期待薄か?
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第17週『常子、花山と断絶する』
97 98 99 100 101 102
第18週『常子、ホットケーキをつくる』
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