とと姉ちゃん (第101回・7/29) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『とと姉ちゃん』(公式)
第17週『常子、花山と断絶する』『第101回』の感想。
なお、本作のモチーフで、大橋鎭子著『「暮しの手帖」とわたし』は既読。
広告を載せる以外に手はない。このままでは水田(伊藤淳史)を解雇しなければならなくなる。経営者として苦渋の決断の迫られる常子(高畑充希)は花山(唐沢寿明)から許諾を得ようと説得するが、済んだ話をするなと一喝されてしまう。悩んだ末、花山に伝えず広告を載せることに決める常子だが、花山を心酔する美子(杉咲花)は不満をあらわに。谷(山口智充)からは正しい決断だと擁護されるも、どこか不安を払拭できずにいた…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
常子を "ワンマン社長" に見せるだけの好感度下げエピ
うーん、また首をかしげるしかないアバンタイトルが始まった。先日に放送された大橋鎭子さんのセミドキュメンタリー番組でも紹介されていたと思うが、『暮らしの手帖』が自社以外の広告掲載をしなかったのは、商品の比較やダメ出し記事の公正性や信憑性を担保するため。
ならば、「直線断ち」「果物箱」の次に何かの商品比較記事のエピソードを入れて、その商品購入資金などで経営が圧迫され、社外広告に頼らざるを得ないと言う流れにすれば良かったのでは? これでは明らかに “やり手社長” に描くつもりが、常子(高畑充希)がワンマン社長ですと描くようなものでは?
まずは雑誌の内容を。そして庶民が豊かになったのか描け
アバンのおかしなことはまだまだ続く。花山(唐沢寿明)が「広告主の意向に沿わねばならなくなるかもしれない」とだけ言われても、そもそも雑誌『あなたの暮し』が花山が言うような「正しいことを伝える」雑誌なのかも視聴者は知らされていない。庶民の暮らしを豊かにしたいのは好意的に理解するが…
そして、「質と落とさず続けるためには」と常子が花山ににじり寄るが、どんな “質” の雑誌なのかも知らされていない。ついでに言えば、「直線断ち」「三十七個の果物箱」の記事で、“庶民” の暮らしが “豊か” になったのかさえも描かれていないのだ。
そんな雑誌そのものの描写欠落状態で、花山が大声で「雑誌を守るために!」と訴えても、常子が「どうしたもんじゃろのう」の顔じゃ何の意味もない。僅か1分40秒だが、前回に続いて絶望的なアバンと言わざるを得ない。
その後も、何となくのらりくらりと話が続き…
その後も、何となくのらりくらりと話が続くだけ。花山家のシーンでは折角の「庶民の現状」を上手く描けば良かったのに、語りでざっくり説明を入れて終了。そして、昨日読者のゴンゾウさんにご指摘頂いた通りに、広告主が「料理学校」だった。私に先読みされるようではプロの作家としてどうかと思うぞ。
あとがき
とにかくテンポよく話は進んでます。でも、それで良いのでしょうか。本作って「戦争で悪化した人々の暮らしを豊かにしたい」と願う常子と花山の雑誌づくりのお話ですよね。だったら、会社の経営窮地を描く前に、雑誌の存在意義を映像で見せないと、会社の存続にまで、こちら側の気が進みませんよね。
それに、第1号と第2号で記事に協力してくれたのは、常子の親友と恩師。少なくともその二人の庶民の生活が少しでも豊かになったのか描くべきです。その後の二人を気遣う常子の姿も。その上で、こんな人たちが日本中に少しずつではありますが増えています。だから、雑誌を会社を止めるわけには行かない。これが自然な流れです。
それを描かずにどんどん話が進むから、常子が社会的に良いことをしているように見えないし、自分勝手な利己主義に見えてしまうんです。今からでもチヨ(片桐はいり)夫婦と綾(阿部純子)のその後をインサートした方が良いです。
【追記 2016/07/29 12:12】
『とと姉ちゃん』のキャラクター設定に疑問をお持ちの方におススメの本があります。なぜ、登場人物に魅力がないのか? なぜ、登場人物に共感できないのか? その答えの一つが見つかります。
『[読書] 人を惹きつける技術 -カリスマ劇画原作者が指南する売れる「キャラ」の創り方- (小池 一夫/著・講談社) 感想』
http://dmesen.blog71.fc2.com/blog-entry-7447.html
★ケータイの方は下記リンクからご購入できます。
【ポケット版】「暮しの手帖」とわたし (NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』モチーフ 大橋鎭子の本)
花森さん、しずこさん、そして暮しの手帖編集部
しずこさん 「暮しの手帖」を創った大橋鎭子 (暮しの手帖 別冊)
大橋鎭子と花森安治 美しき日本人 (PHP文庫)
大橋鎭子と花森安治 戦後日本の「くらし」を創ったふたり (中経の文庫)
花森安治のデザイン
花森安治伝: 日本の暮しをかえた男 (新潮文庫)
花森安治 増補新版: 美しい「暮し」の創始者 (KAWADE夢ムック 文藝別冊)
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【これまでの感想】
[読書] 「暮しの手帖」とわたし (大橋 鎭子/著・花森 安治/イラスト・暮しの手帖社) 感想 ※平成28年度前期 NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』モチーフ,大橋鎭子の自伝
第1週『常子、父と約束する』
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第2週『常子、妹のために走る』
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第3週『常子、はじめて祖母と対面す』
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第4週『常子、編入試験に挑む』
19 20 21 22 23 24
第5週『常子、新種を発見する』
25 26 27 28 29 30
第6週『常子、竹蔵の思いを知る』
31 32 33 34 35 36
第7週『常子、ビジネスに挑戦する』
37 38 39 40 41 42
第8週『常子、職業婦人になる』
43 44 45 46 47 48
第9週『常子、初任給をもらう』
49 50 51 52 53 54
第10週『常子、プロポーズされる』
55 56 57 58 59 60
第11週『常子、失業する』
61 62 63 64 65 66
第12週『常子、花山伊佐次と出会う』
67 68 69 70 71 72
第13週『常子、防空演習にいそしむ』
73 74 75 76 77 78
第14週『常子、出版社を起こす』
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とと姉ちゃん あの第82話で「連続20%超え」が途切れたそうだ
第15週『常子、花山の過去を知る』
85 86 87 88 89 90
第16週『“あなたの暮し”誕生す』
91 92 93 94
「とと姉ちゃん」自己最高25.3%。これでテコ入れも期待薄か?
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第17週『常子、花山と断絶する』
97 98 99 100