とと姉ちゃん (第95回・7/22) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『とと姉ちゃん』(公式)
第16週『“あなたの暮し”誕生す』『第95回』の感想。
なお、本作のモチーフで、大橋鎭子著『「暮しの手帖」とわたし』は既読。
いろいろなことがここに書きつけてあります。この中のいくつかは、すぐにあなたの暮しに役立ち、この中のいくつかは、すぐには役に立たないように見えて、やがていつの日か、あなたの暮し方を変えてしまうかもしれない。そんなふうにいつでもこの一冊はあなたの暮しに寄り添って息づいています…。そんな冒頭で始まる雑誌を、常子(高畑充希)たちはようやく完成させる。それこそが、『あなたの暮し』という雑誌の始まりだった…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
これが、凝縮された見事なアバンタイトルだ!?
おお、久し振りに見事なアバンタイトルだ。だって、僅か2分30秒でサブタイトルの『“あなたの暮し”誕生す』を描いちゃったのだから。今週の「15分×4回=60分間」を観なくても大丈夫な、視聴者に優しいアバン。それも、あっと言う間に雑誌のタイトルと社名まで決まり、広告戦略まで完了しちゃった。なんだこりゃ?
なんか、今回は全体的に急ぎすぎてて雑
とにかく、この脚本家が過程や経過を書かずに、結論だけ並べてどんどんテンポよく物語が進んでいるように視聴者に錯覚を与える作戦は徹底している。今回もサクッと4か月時間経過させて、新聞広告のアップ。
視聴者に、どんな雑誌をより刷り込むには、この新聞広告の原稿づくりも大いに役立ったはずなのに、1秒強の1カットだけ。表紙のデザインの苦労についても、についても常子(高畑充希)の「カラーの色合いは納得するまで粘ったわ」の一言だけ。三人姉妹の会社なのに、鞠子(相楽樹)は広告料も知らずって…
それに、5分過ぎには郵便配達が「手渡しできるモノではないので、置かせて貰っても良いですか」とやってきて。「全国の読者から “あなたの暮らし” の購入を依頼する郵便でした」と語りで、もう既に大人気になってる設定に。それに郵便配達も「モノ⇒量」だし、語りも「読者⇒広告を見た人」の方が自然。雑すぎ。
なぜ、五反田に「流石、花山先生」と言わせないのか?
そして、いつもの違和感だらけのシーンの登場。それが甲東出版のシーン。社員たちが雑誌と常子を絶賛するのはわかる。しかし、ここで「流石、花山先生だなあ」とか「花山先生が生き生きと雑誌を作ってるのが目に浮かぶよ」と誰も言わない違和感。
最低でも、常子と花山(唐沢寿明)の縁結び役の五反田(及川光博)は、「花山先生の才能と常子くんの情熱で完成した雑誌だね」とか言わないとおかしいだろうに。そして、この流れでの「街中に直線断ちで作った服を着た女性が増えていきました」の語りと “とと” の遺影の時のBGM、もう偉業達成になってる。気が早すぎる。
花山のフンドシで相撲を取ってる常子なのに…
「雑誌を売って大儲けをしたいだけじゃないのかしら?」の問いに、常子が「そんなことはありません。この出版社の社長は私です」と大見得を切った。
いや、本来ならBGM同様に感動のシーンのはずなのだが、何せこちらは甲東出版での企画を自分なりに膨らませて利益を独占するために今の仕事を始めたのを知ってるから、この「そんなことはありません」はとても気になった。がしかし、あれを紋切り型で終わらせず、そのまま社長らしさの台詞につなげたのがあざとい。
どう好意的に見ても、花山のフンドシで相撲を取ってる常子なのに、いきなり社長宣言して立場を強調。それならもっと前から、「常子=社長」「花山=編集長」の立場の違いを描いておくべき。それを省略するから、結果を並べてるだけの印象が強くなる。もう「常子=お金」のイメージを払拭するのは無理だろうな。
あとがき
あのー、私はファッションセンスがないので良くわからないのですが、映像における美術、衣装と言う面でちょっと気になったシーンがありました。皆さん、特にファッションに興味関心のある方はどう感じたのかなと。
それは、終盤で綾(阿部純子)と綾の母・登志子(中村久美)と息子・太一(川原瑛都)らが着ていた「直線断ち」の服の “色と柄” への違和感です。
まずは、綾。もともと常子より大柄の体系に大柄模様の生地を使ってるから、妙に綾が巨人に見えちゃうこと。そして柄が大きいゆえに柄そのものが裁断さえてしまい、デザイン性の高い服に見えません。良い生地には見えますが。私なら和服っぽくない明るいデザインで小さめの柄を選んで、綾のスタイルの良さも見せてあげたい。
今度は、綾の母・登志子と息子・太一。おばあちゃんと孫が同じ色柄と言うのは、微笑ましいってことにするとして、色柄はきちんと少しアロハチックなテイストの小さめ柄を選んで、柄の裁断がわかりにくくていい感じ。
と言うか、綾は子供の服の修繕でパッチワーク的なことを得意にしていたのだから、もっと綾の衣装のデザインには注意を払うべきでしたね。昨日の「カフェ浪漫」での女給さんたちの「直線断ち」もカーテンを巻いたようでした。今日の街中に登場した数名の女性(女の子も)方が遥かに良かったです。
実は、本作の「衣装監修」は、かの黒澤明監督のご長女の黒澤和子さん。監修ですから、細かな部分の指示は無く現場の衣装さんの判断に委ねられているんだと思います。まさか、三姉妹以外は数ある服からささっと選んで着せてませんよね、衣装さん。
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花森さん、しずこさん、そして暮しの手帖編集部
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大橋鎭子と花森安治 美しき日本人 (PHP文庫)
大橋鎭子と花森安治 戦後日本の「くらし」を創ったふたり (中経の文庫)
花森安治のデザイン
花森安治伝: 日本の暮しをかえた男 (新潮文庫)
花森安治 増補新版: 美しい「暮し」の創始者 (KAWADE夢ムック 文藝別冊)
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【これまでの感想】
[読書] 「暮しの手帖」とわたし (大橋 鎭子/著・花森 安治/イラスト・暮しの手帖社) 感想 ※平成28年度前期 NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』モチーフ,大橋鎭子の自伝
第1週『常子、父と約束する』
1 2 3 4 5 6
第2週『常子、妹のために走る』
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第3週『常子、はじめて祖母と対面す』
13 14 15 16 17 18
第4週『常子、編入試験に挑む』
19 20 21 22 23 24
第5週『常子、新種を発見する』
25 26 27 28 29 30
第6週『常子、竹蔵の思いを知る』
31 32 33 34 35 36
第7週『常子、ビジネスに挑戦する』
37 38 39 40 41 42
第8週『常子、職業婦人になる』
43 44 45 46 47 48
第9週『常子、初任給をもらう』
49 50 51 52 53 54
第10週『常子、プロポーズされる』
55 56 57 58 59 60
第11週『常子、失業する』
61 62 63 64 65 66
第12週『常子、花山伊佐次と出会う』
67 68 69 70 71 72
第13週『常子、防空演習にいそしむ』
73 74 75 76 77 78
第14週『常子、出版社を起こす』
79 80 81 82 83 84
とと姉ちゃん あの第82話で「連続20%超え」が途切れたそうだ
第15週『常子、花山の過去を知る』
85 86 87 88 89 90
第16週『“あなたの暮し”誕生す』
91 92 93 94
「とと姉ちゃん」自己最高25.3%。これでテコ入れも期待薄か?