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とと姉ちゃん (第94回・7/21) 感想

連続テレビ小説「あさが来た」

NHK総合・連続テレビ小説『とと姉ちゃん』公式
第16週『“あなたの暮し”誕生す』『第94回』の感想。
なお、本作のモチーフで、大橋鎭子著『「暮しの手帖」とわたし』は既読。


花山(唐沢寿明)が思いついたのは、「直線裁ち」という方法だった。型紙も難しい技術もいらないこの方法は、着物をほどいた布から洋服を作ることができる画期的なやり方だった。この企画を目玉に創刊号を作ろうという常子(高畑充希)たち。できるだけ写真を交えて掲載した方がよいという花山のアイデアを採用し、常子は鞠子(相楽樹)や綾(阿部純子)と自らがモデルとなる。常子たちの作る雑誌は少しずつ完成へと近づいていた…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---

完全に受け身になってる常子のアバン

前回の記事で、「毎朝、虚しくなるようなアバンタイトルを見せないで」と書いた。常子(高畑充希)のギョロ目は気になったが、あとは三姉妹+母が完全にお客様状態で花山(唐沢寿明)を見てるだけってシーンだから、流石に虚しくなることは無かった。ただ、ヒロインがこんなに受け身で良いのかと言う疑問は残る。

「ミシン=家族の暮らし」の象徴なのに、完全に台無し

つくづく残念に思う。冒頭での君子(木村多江)がミシンで縫物をするシーン。もう済んだ史実の部分だから書いてしまうが、モデルとなった大橋鎭子さんは、戦前から洋裁学校に行っており、大そうミシンを大切にした人。空襲の時もミシンを抱えて防空壕に逃げていたのだ。

そして、戦後になり最初は得意の裁縫を活かして洋裁店を始めようと考えるが、戦後のもののない時代に洋裁店で大金を稼ぐのは難しい。そこで、「私には、知恵がある」との発想で、小さな暮しの知恵を雑誌にして販売してお金を儲けようとするのだ。鎭子さんにとって「ミシン=家族の暮らし」の象徴なのだ。

しかし、本作ではそうなっていない。常子の裁縫の腕は大したことは無く、むしろ裁縫は美子(杉咲花)の役目になってる。なのに、今回のシーンでは君子がしゃしゃり出て来た。全く無意味、全く不自然極まりない。

これ、私ならミシンで縫製するのを美子にして美子の得意技を魅せ、長身の鞠子(相楽樹)に試着させ着心地の感想を文才を活かして言わせてから、常子には花山を称えつつ雑誌の成功への意気込みを語らせる。

こう言う時こそ、三姉妹の個性や存在感で好感度アップするべきなのに、話は写真に進んじゃう。だから、いつまで経っても三姉妹の花山依存が鼻につくのだ。

もっと、常子の台詞や仕草に細心の注意を払うべき

そして、カフェでの「直線裁ち」のお披露目のシーン。これも、前のシーンの後に、花山に昼間披露してもらった「直線裁ち」を自分たちでも何着か作って試着して、花山の才能に改めて驚いたり感謝したり称えるシーンを入れれば良いものを、それをせずにカフェに直結しちゃうからおかしなシーンになっちゃった。

ぎりぎり花山が同席しているから良いものの、それでも私には「三姉妹が手柄の横取り」をしたように見えてしまった。男が1人立ってる違和感を削ぐためにも、常子に一言「この花山さんが考案したんです」と言わせたら良かった。その一言がないから、「アイデアを搾り取って儲けは社長」に見えちゃう。

その上、綾(阿部純子)と常子の会話もおかしい。綾の「こんなに晴れやかな気持ちになったの、本当に久しぶりだわ」に対して、常子は「私も。そんな綾さんの綾さんの顔見られたの久々だわ」と答える。これ、おかしいでしょ?綾は “久しぶりに” おしゃれが楽しめたから晴れやかな気持ちで笑顔になった。それは良い。

しかし、その言葉に対する答えが、綾の笑顔を “久しぶりに” 見て晴れやかな気持ちになったってこと?違うでしょ。そもそも綾がおしゃれを楽しんでたかどうかが描かれていないからどうしようもないのだが、せめて強引にでも「私も、おしゃれをして嬉しそうな綾さんたちの笑顔を見られて嬉しいわ」でないと。

何となく “久しぶり” を重ねつもりだが、全く意味なし。こう言う小さな台詞のミスが日々募っていき、常子の好感度が下がることをどうしてこの脚本家は気づかないのだろう。

常子が御託を並べても、手柄の横取りにしか見えない

そして、どこからともなく高級カメラと三脚とフラッシュライトが登場。素人モデルたちと水田(伊藤淳史)のお寒いコントも、空回りしちゃって完全に時間の引き伸ばしってだけ。そして、いつも通りに経過は無くて完成品を見せられて終了。これも、ただ常子はバカ騒ぎをして金儲けしてるって印象になる。

更に、相変わらず引っ張り続ける鞠子と水田のくだり。さっさと裕福な常子に雇ってもらえばいいのに。それに何だよ、あの常子のそろばんの腕前。社長でしょ?金儲けするんでしょ?それがあのそろばん習いたての小学生レベルって。いくら多忙でも、もう少しマシなそろばんさばきの練習はできなかったのかな。

今回何度も書いているが、こう言う小さな仕草や台詞や演出が常子の好感度を左右する。唐沢さんは筆のアップは手タレが代役としても、ちゃんと絵を書いているように見える演技をしてる。それとカットバックする常子の手にももっと注力すべき。口でいくら偉そうなことを並べても、手柄の横取りにしか見えていないから。

あとがき

今回は、完全に脚本家が描きたいことと、俳優の演技と、演出すべてが噛み合っていませんでした。コミカルにしたいシーンでは俳優の演技が空回り。シリアスな予定のシーンでは台詞が全部後出しジャンケン状態。とにかく、常子がどんな “思い” で雑誌を作ろうとしているのかが、常子の言葉として発されていません。

花山の “思い” は唐沢さんの演技力で何となく分かりますが、三姉妹+母は何を考えているのかさえ見えてきません。このまま、花山の説明台詞を聞きながら、淡々と進んでいく雑誌創刊までを見ろと言うのでしょうか。うーん、何とかしてほしいです。

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【ポケット版】「暮しの手帖」とわたし (NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』モチーフ 大橋鎭子の本)
花森さん、しずこさん、そして暮しの手帖編集部
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【これまでの感想】
[読書] 「暮しの手帖」とわたし (大橋 鎭子/著・花森 安治/イラスト・暮しの手帖社) 感想 ※平成28年度前期 NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』モチーフ,大橋鎭子の自伝
第1週『常子、父と約束する』
1 2 3 4 5 6
第2週『常子、妹のために走る』
7 8 9 10 11 12
第3週『常子、はじめて祖母と対面す』
13 14 15 16 17 18
第4週『常子、編入試験に挑む』
19 20 21 22 23 24
第5週『常子、新種を発見する』
25 26 27 28 29 30
第6週『常子、竹蔵の思いを知る』
31 32 33 34 35 36
第7週『常子、ビジネスに挑戦する』
37 38 39 40 41 42
第8週『常子、職業婦人になる』
43 44 45 46 47 48
第9週『常子、初任給をもらう』
49 50 51 52 53 54
第10週『常子、プロポーズされる』
55 56 57 58 59 60
第11週『常子、失業する』
61 62 63 64 65 66
第12週『常子、花山伊佐次と出会う』
67 68 69 70 71 72
第13週『常子、防空演習にいそしむ』
73 74 75 76 77 78
第14週『常子、出版社を起こす』
79 80 81 82 83 84
とと姉ちゃん あの第82話で「連続20%超え」が途切れたそうだ
第15週『常子、花山の過去を知る』
85 86 87 88 89 90
第16週『“あなたの暮し”誕生す』
91 92 93

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とと姉ちゃん 第94回

内容花山(唐沢寿明)は、あるコトを思いつき、常子(高畑充希)らに説明する。続けて、雑誌を売るために、写真掲載。。。モデル。。。。と立て続けに、アイデアを披露する 敬称略 三姉妹。。。自慢気に、綾達に語っているけど。。。。。。

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花山(唐沢寿明)が思いついたのは、「直線裁ち」という方法だった。 型紙も難しい技術もいらないこの方法は、着物をほどいた布から洋服を作ることができる画期的なやり方だった。 この企画を目玉に創刊号を作ろうという常子(高畑充希)たち。 できるだけ写真を交えて掲載した方がよいという花山のアイデアを採用し、常子は鞠子(相楽樹)や綾(阿部純子)と自らがモデルとなる。 常子たちの作る雑誌は少しずつ...
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Author : みっきー

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★職業:宴会/映像ディレクター(フリーランス)

★略歴:東京下町生まれ千葉県在住。ホテル音響照明映像オペレータ会社を経て、2001年独立。ホテルでイベント、パーティー、映像コンテンツ等の演出を手掛ける。活動拠点は都内と舞浜の有名ホテル等。

★ブログについて:フリーの宴席/映像ディレクターが、テレビ,映画,CM,ディズニー,音楽,仕事等を綴ります。記事により毒を吐きますのでご勘弁を。

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