ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子 (第1話/初回2時間SP・2016/7/12) 感想

フジテレビ・関西テレビ系・『ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子』(公式)
第1話/初回2時間SP『SWITCH』ラテ欄『衝撃猟奇犯罪ミステリーが2時間SPで今夜開幕新人刑事が殺人者への探究心で難事件を暴く型破り捜査班&最高に危ないヒロイン誕生』の感想。
なお、原作:内藤了による小説『ON 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』シリーズは未読。
東京・八王子で遺体が見つかったと警視庁捜査一課に連絡が入る。被害者の名前を聞いた新米刑事の比奈子(波瑠)は、宮原(清水優)というその男に強制わいせつの検挙歴があると口走る。内勤の比奈子は現場未経験だが、都内で起きた過去10年の未解決事件と性犯罪の容疑者リストを全て記憶していた。班長の厚田(渡部篤郎)にその特技を認められた比奈子は、現場への同行を許される。下半身が無残に切り刻まれた宮原の遺体は、3年前の未解決強姦(ごうかん)殺人事件の被害者の状況と同じだった。
上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
想像よりは、全体の満足度は高い
脚本は、『ウロボロス~この愛こそ、正義。』『スミカスミレ 45歳若返った女』等の古家和尚氏。演出は、『銭の戦争』『戦う!書店ガール』等の白木啓一郎氏。この組合せ、結構特異だからどんな作品に仕上がるか楽しみで観始めた。
作品全体は、事件の情報をイラストに描きとめれば決して忘れないという特技を持つ女性新人刑事が、猟奇殺人犯への探求心を原動力に、同僚刑事たちと難事件を解決する話。全体の雰囲気は『ストロベリーナイト』、主人公の設定は『スペシャリスト』って感じだろうか。
初回は2時間SPと言うことが影響して、かなりの引き延ばし感があったが、それはもうしょうがない。脚本としては、登場人物の描き分けもちゃんと出来てるし、物語も面白いとまでは言えないが、流れはそれなりにあるし、何より私が好きな “猟奇殺人” を扱ったドラマとして、ネタに個性があり良く出来ていた。
演出家の演技指導力が問われる配役
演出の部分は、通常営業は22時スタートだから、この位にグロいのは十分に許容範囲。全体的に「昭和の刑事ドラマ」の匂いを感じさせるテイストも悪くない。もう少し比奈子(波瑠)の特殊能力を映像的に特徴づける必要はあるが。
それよりも気になるのは、演技指導なり登場人物らの魅せ方。特に主人公の比奈子とバディの東海林(横山裕)。比奈子は意図的に無表情にさせているのか分からないが、正直主人公がどんなに特別な能力を持つ女性刑事でも、親友の惨殺死体を目の前にして顔色一つ買えないのは、共感を得にくいのでは?
もちろん、冷静って表現なのだろうが、演者の波瑠さんの新境地を開くと言う意図もあるだろうが、流石にもう少し表情豊かなキャラに仕立てないと、『あさが来た』⇒『世界一難しい恋』⇒本作と流れてきた波瑠ファンは、彼女の演技力そのものにも黄色信号が灯るような気がする。
やはり、女性刑事が主人公のドラマは女性ファンをどれだけ惹き付けるかが勝負。もっと彼女へ演技指導をして「苦しくて辛い時に無表情」「探求心を満たされッている時は不敵な笑み」になることに説得力を持たせた方が良い。
一方の横山裕さんは、バラエティ番組で見せる彼と違って、頑張ってクールな役を演じていたと思う。但し、七味をかけて食べる時以外は無表情が多い “比奈子との対比” の意味では表情が乏しくて、それを横柄な態度でしか表現していないのは頂けない。やはり、バディらしいメリハリのある丁寧な演技指導は必要だと思う。
レギュラー俳優たちに、若手が多いのが気になる
とまあ、いつもは殆ど言及しない(できない)演技のことを書いたのには別の理由がある。それが渡部篤郎さん、要潤さん、原田美枝子さん以外のレギュラー俳優たちに若手が多いこと。ボス的に束ねられるのは班長の厚田(渡部篤郎)だけだし、お色気担当は監察医の石上(原田美枝子)くらい。
もう少し中堅どころを配置できなかっただろうか。他の班から急きょ異動の展開でも良いから、鑑識役含めてもう少しバランスの良い配役に軌道修正できたらやったほうがいい。時間はまだある。
あとがき
こんな書き方をするとファンの方には叱れれるかもしれませんが、本作は継続視聴しますし期待もありますので、第1話だけにちょっと書きます。
波瑠さんの演技、どうなんでしょう?意外に『セカムズ』の美咲とほぼ同じの、笑顔とその他と言う2パターンの表情を本作でも続けるのはどうかと思います。折角の民放連ドラ初主演なのですから、もっと表情豊かにメリハリ付けた演技を期待したいです。
そして、気になったのが比奈子が七味をかけるくだりの多さ。前期の『99.9 -刑事専門弁護士-』で主人公の深山(松本潤)が常にマイ調味料を持参していましたが、あれも登場人物の特徴としてはほぼ “趣向” ってだけで無意味で終わりました。
でも、『Doctor-X 外科医・大門未知子』の主人公の大門(米倉涼子)が手術後にコップ一杯のガムシロを飲むくだりには、一応「脳をフル回転して糖分が足りなくなるから」と言うそれなりの理由があり、未知子らしさの1アイテムなっていました。
比奈子の七味にも何か必然性なり理由があった方が、比奈子の人格に深みと広がりが出るはずです。
最後に、2時間SPの割には、想像よりは全体の満足度は高いです。ですが、細か部分、特に主人公の設定や立ち位置、それを演じる女優さんについては、演技や演技指導含めて再考と再構築の余地がありますね。そこを手抜きしなかったら、新たな刑事ドラマとして化けます、きっと。次週の通常回に期待します。波瑠さんや横山さんの演技についてコメントを下さっていますが(非公開含めて)、私が言ってるのは「演出家の演技指導力」であり、俳優さんの演技力とは違う話です。従って、この場で演技論や演技への評価にはお答え致しません。(2016/7/13 11:42)
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