とと姉ちゃん (第84回・7/9) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『とと姉ちゃん』(公式)
第14週『常子、出版社を起こす』『第84回』の感想。
なお、本作のモチーフで、大橋鎭子著『「暮しの手帖」とわたし』は既読。
大成功を収めた常子(高畑充希)の雑誌『スタアの装ひ』。増刷をかけ闇市に出かけると、そこには似たような名前の雑誌であふれかえっていた。焦って売る常子たちだが、類似品よりも値段が高く紙質も悪いため、大量の在庫を抱えることに。落ち込む常子たちに、鉄郎(向井理)はもう一度頑張れと促して去る。常子は失敗の原因を探るため、谷(山口智充)を訪れると、かつて内務省にいた花山(唐沢寿明)に聞いてみたらと助言される。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
購入者の反応なりで、雑誌の中身に触れば良かった
だから、前回の感想で書いたのだ。雑誌が飛ぶように売れていく様を手と雑誌とお金の単純なカットバックで処理しないで、せめて雑誌と手だけでもオーバークランク(早回し)などせずに、購入者の反応なりで、雑誌の中身に触れて「内容が良い」と言うことを描かけば良かった。
でも、しないから「素人が作った雑誌だもの、真似されて当然」と見えてしまう。
"間"抜けな三姉妹と、不思議な鉄郎に益々なっていく
そして、三姉妹の、特に常子(高畑充希)の「準備」や「邁進」を描かずに、売れ残った雑誌の山だけ編集で入れるから、「思慮が浅いだけ」に見えちゃう。すべては、起承転結の「起=騒動」でササッと描いたあとは、「承転」を抜いて「結=顛末」だけを描くからこうなる。
正に、脚本家も小橋家三姉妹も肝心な部分が抜けてる “間抜け” なのだ。そして、鉄郎(向井理)も「起」と「結」にだけ登場する不思議なキャラクターに、どんどんなっていくのだった…
なぜ、常子と花山との再会まで"間"を空けるのか
そして今回は、山のように売れ残った在庫を何とか努力や工夫で売り切ると言う「結」を描かぬまま、花山(唐沢寿明)が闇市に現れる。このこと自体が新たな「起=騒動」なのだから、いつものように “中抜き” してストレートに常子を偶然の再会まで一気に進めたら良いものを、今回は無駄な “間” が入る。文字通りに “間延び” だ。
むしろ、花山が闇市で『スタアの装ひ』とパクリ雑誌の両方を偶然に手にして、『スタアの装ひ』の内容を店主に絶賛しているところへ偶然に売れずに途方に暮れている三姉妹と再会で良かった。そうすれば、一気に「素人にはこの雑誌を作った人間の才能が解らないのか」と常子たちの非凡な才能を垣間見せられたのに。
そうすれば、来週からは『常子、花山に教えを乞う』と言った感じで区切りが良いし、何より週末の土曜日のラストカットが常子の笑顔で終われるじゃないか。でも実際は、常子の無表情で終了。こう言う印象操作は、もっと効果的に使うべきだと思う。だって、作品全体の印象が芳しくないのだから。
あとがき
終盤の常子の雑誌を読む花山と、花山のイラストを見る常子の切り返しが、今週の最後にしては、大袈裟と言うかもったいぶってる感じが強過ぎて鼻につきました。背後のBGMの荘厳さと、五反田(及川光博)が書いた花山の住所のアップの大きさの影響が大きいと思いますが、再会だけをクライマックスみたいにされても…
そして、今回も直接使いましたね。小橋家以外を “悪者” に描いく「差分比較で有意差を描く手法」が3日ぶりに登場。鞠子になんてハッキリと「敵」と言わせてました。そして今日は君子に「こっちが元祖」と自ら言わせちゃいましたね。
「敵」と言ったって、「今は生きていくのに誰もが必死の時代だから、自分たちも人生を賭けて起業したんじゃないの?」と言いたくなるし、「元祖」なんてのは他人に言われて価値があるもので、自ら名乗るのは何となく怪しさが漂うし、自信がない表れに見えてしまうのですが。
どうして、小橋一家の好感度を下げるような表現を避けないのでしょう?それを意識的にやるだけでも、だいぶ “いやらしさ” は薄まると思うんですが…。そして、そもそもこの内容で『常子、出版社を起こす』とまで言えますかね。せめて、『常子、ついに自分の雑誌を出版する』じゃないかなあ。
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大橋鎭子と花森安治 戦後日本の「くらし」を創ったふたり (中経の文庫)
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【これまでの感想】
[読書] 「暮しの手帖」とわたし (大橋 鎭子/著・花森 安治/イラスト・暮しの手帖社) 感想 ※平成28年度前期 NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』モチーフ,大橋鎭子の自伝
第1週『常子、父と約束する』
1 2 3 4 5 6
第2週『常子、妹のために走る』
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第3週『常子、はじめて祖母と対面す』
13 14 15 16 17 18
第4週『常子、編入試験に挑む』
19 20 21 22 23 24
第5週『常子、新種を発見する』
25 26 27 28 29 30
第6週『常子、竹蔵の思いを知る』
31 32 33 34 35 36
第7週『常子、ビジネスに挑戦する』
37 38 39 40 41 42
第8週『常子、職業婦人になる』
43 44 45 46 47 48
第9週『常子、初任給をもらう』
49 50 51 52 53 54
第10週『常子、プロポーズされる』
55 56 57 58 59 60
第11週『常子、失業する』
61 62 63 64 65 66
第12週『常子、花山伊佐次と出会う』
67 68 69 70 71 72
第13週『常子、防空演習にいそしむ』
73 74 75 76 77 78
第14週『常子、出版社を起こす』
79 80 81 82 83
とと姉ちゃん あの第82話で「連続20%超え」が途切れたそうだ