とと姉ちゃん (第79回・7/4) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『とと姉ちゃん』(公式)
第14週『常子、出版社を起こす』『第79回』の感想。
なお、本作のモチーフで、大橋鎭子著『「暮しの手帖」とわたし』は既読。
昭和21年。長かった戦争が終わり、闇市は食料や職を求める人々でごった返していた。常子(高畑充希)は、貸本業を続けながら甲東出版を守っていたものの、大学出の鞠子(相楽樹)ですら勤め先はなく、君子(木村多江)と美子(杉咲花)は縫い物などでわずかな収入を得ていた。そんな折、カストリ雑誌が爆発的に売れている光景を目の当たりにする。娯楽に飢えている今、雑誌を作れば必ず売れると鉄郎(向井理)からあおられるが。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
こんなアバンを作ってるようでは、お先真っ暗か?
月曜の冒頭が嘘で始まった。「やりたい雑誌をようやく作ることができるかもしれない。その希望に心踊る常子でした」って語り。だって、心が踊るほど抑制させたとか、声高にはしゃぐ程にやりたい雑誌があるとか、ようやくと言うほど待った常子(高畑充希)を見てないから。嘘を書いて嘘を描いては困るのだ。
もちろん、いつもの超好意的脳内補完を出動させれば簡単だ。つくり手が考える程に視聴者はバカじゃない。その上、お約束の戦後の混乱期の再現映像としゃべり続ける語りによって、どんどん嘘の皮が厚くなっていく。「最悪のアバンタイトル」の称号をまた交信したのは間違いない。
15分間に次々と騒動を起こしても、盛り上がらない
それにしても、ここまで視聴者の超好意的脳内補完に頼り切った作風なのだから、ダラダラと8分過ぎまで戦後のドサクサ風景を描かないで、アバンで玉音放送の直後から五反田(及川光博)との再会で始めりゃ良いのに。あんな安っぽい再現ドラマなんて簡単に想像できるのだから。
そして予想通りにあっと言う間に甲東出版のメンバーが終結。どうやら、つくり手たちには一気に物語を進めようとしているようだが、その「一気に」が更に逆効果になってしまっている。なぜなら、こうして「騒動至上主義」によって次々と何かが起こっても盛り上がらないのは明々白々だからだ。
ヒロインの内面、努力、才能を何よりも描くべき
半年も過ぎて言うことでは無いが、常子のこれまでの努力や経験や発想力が大して描かれておらず、ただ目の前の不満に愚痴を言い、その日暮らしをしているだけ。そんなヒロインが、今後は自分のやりたい雑誌のために出版社をつくると言う話になるのをどう捉えれば良いのだろう?
小橋家の茶の間で捕らぬ狸の皮算用で浮かれてる常子を見せられるだけで違和感が充満してるのに、終盤に来て鉄郎(向井理)が強引にフラグを立てて、その上綾(阿部純子)まで登場させて、きっと明日は闇市で「女が何でも出来る時代が来た」とかトントン拍子に話を進めるのだろう。
何度書いても足りないが、話を連続性の無いエピソードの乱立でトントン拍子に進めても、肝心のヒロインの内面が、努力が、才能が描かれていない状態では、盛り上がるはずも無いのだ。そこを今からでも工夫して盛り込むしかないと思う。ヒロインのギョロ目で描いたつもりなら、大きな間違いだ。
あとがき
戦争が終わって、同僚たちが無事に戻って来ても、女学校の同級生と再会しても、なーんにも心に残らない15分間でした。やはり、前回の感想で書いたように、今は何を描いても悪いほうにしか捉えられない状況に陥ってると思います。そこから脱出するには、ヒロインを感情移入したくなるキャラに再構築するしかありません。さて、できるかどうか…
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【これまでの感想】
[読書] 「暮しの手帖」とわたし (大橋 鎭子/著・花森 安治/イラスト・暮しの手帖社) 感想 ※平成28年度前期 NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』モチーフ,大橋鎭子の自伝
第1週『常子、父と約束する』
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第2週『常子、妹のために走る』
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第3週『常子、はじめて祖母と対面す』
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第4週『常子、編入試験に挑む』
19 20 21 22 23 24
第5週『常子、新種を発見する』
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第6週『常子、竹蔵の思いを知る』
31 32 33 34 35 36
第7週『常子、ビジネスに挑戦する』
37 38 39 40 41 42
第8週『常子、職業婦人になる』
43 44 45 46 47 48
第9週『常子、初任給をもらう』
49 50 51 52 53 54
第10週『常子、プロポーズされる』
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第11週『常子、失業する』
61 62 63 64 65 66
第12週『常子、花山伊佐次と出会う』
67 68 69 70 71 72
第13週『常子、防空演習にいそしむ』
73 74 75 76 77 78
第14週『常子、出版社を起こす』