[読書] 健康になれない健康商品: なぜニセ情報はなくならないのか (佐藤 健太郎/著・春秋社) 感想

科学、医学、商売の視点が中立な立場で書かれてる
所謂「ニセ科学」の類の本は大好きで良く読んでいる。そんな中でも、本書はかなり科学、医学、商売の3つの視点がとても中立な立場で書かれているのが特徴。たまに、一方的にすべてを「ニセ科学」と強引に結論付ける本や、科学的根拠に欠ける本があるが、その点全体的にバランスが良い。従って、信用度の高い本と言うことになる。
「使った、治った、効いた」の「三た論法」で騙される
ある商品を「使った、治った、効いた」と言う単純な理屈で効能を判断してしまうことを、本書では「三た論法」と書いてある。確かに、使用体験者が登場するテレビCMなどはすべてこの「三た論法」だ。これが怖いのは、薬を飲んで頭痛が治っても、偶然に自然治癒のタイミングが合うことも、プラセボ効果かもしれない。
特に、「しつこい痛みが引いた」と言う体験には感動があり、意識に強く残ってしまうから、冷静な判断がくるってしまうそうだ。結局、本当に「その商品の効能で治った」のかは、その人次第と言うところがあると思う。頭ではわかっていても信じたい、縋りたい、それが人間。だから、騙されやしいとも言えるのだ。
世に溢れる健康情報の見分け方
世に溢れる健康情報の見分け方が書いてある。物事を心に焼き付けるには、以下の方法が有用性が高いそうだ。
単純明快、意外性、具体的、信頼性、感情に訴える、物語性
確かに、これらのテクニックを巧みに応用したテレビCMを多く見かける。膝痛で困っていた有名女優が、知り合いから偶然に貰った「商品」を飲んだら、早くも1か月で効果が出て、今では元気に舞台に立っていられるのは、もう3年以上も「商品」を使ってるから…なんてCM、あちこちに転がってる。まずは、疑ってみよう。
あとがき
本書のあとがきに、こうあります。
本書の内容を全て鵜呑みにすべきではありませんし、またそうされてしまうようなら本書を書いた意味はないともいえます。
本書に書いてある科学情報だって今は最新でも陳腐化することだってあるわけで、そう言う意味で、自ら健康管理の意味を学び直すきっかけにして欲しいと言うのが著者の答えです。皆さんも世に溢れる健康情報を、十把一絡げに「怪しい」「偽物」とせずに、きちんと自分で精査する第一歩に本書を読むのが良いと思います。
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「健康食品」のことがよくわかる本
なぜ疑似科学が社会を動かすのか (PHP新書)
ニセ科学を見抜くセンス
悪魔が教える 願いが叶う毒と薬
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