とと姉ちゃん (第71回・6/24) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『とと姉ちゃん』(公式)
第12週『常子、花山伊佐次と出会う』『第71回』の感想。
なお、本作のモチーフで、大橋鎭子著『「暮しの手帖」とわたし』は既読。
昭和17年。米英との戦争が本格化し、常子(高畑充希)たちの出版社は政府から厳しい検閲や締めつけを受けていた。滝子(大地真央)の容態は回復せず、君子(木村多江)は参拝を繰り返していた。そんな中、青柳の営業停止を待って工場の事務所として借用したいと、軍より通達があったと隈井(片岡鶴太郎)から聞かされる。数か月後に材木商の個人営業も禁止されることが決まり、看板を守り抜きたい滝子の心は大きく揺れ始める…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
語りに頼りっきりで、テレビドラマと言えるのか?
それにしても、今回のアバンタイトルもそうなんだが、ラジオからの音声と檀ふみさんの語りで、いよいよ真珠湾攻撃により太平洋戦争が始まったことは分かるが、映像的に全く “時代” が伝わってこない。もう完全に語りに頼りっきりの脚本と演出による映像制作になっている。これがテレビドラマと言えるのか。
ちっとも “時代” が見えてこない
主題歌明けも悲しい位に語りと資料映像で “時代” を描こうと必死だが、その直後の甲東出版前の町の風景には全く “時代” が見えない。こう言う1カットの情景カットで映像的に “時代” を入れ込む必要があるのに、次の常子(高畑充希)たちの校正作業にも社内風景の映像にも “時代” は見えず、また語り。
青柳商店の前の通りも “時代” は感じず、滝子(大地真央)の部屋の棚の物がなくなってるくらい。それにしても、常子が既に一人前に校正の仕事をやってるのが解せない。本来なら慣れない仕事を会社のために頑張って覚えてる姿こそ、朝ドラに必要なのでは?もうヒロインを描くのも止めてしまうのだろうか。
うーん。出番を作れば良いってものでは…
それに相変わらず無責任に君子(木村多江)が常子に、「とってもつらい決断なの」と言っていたが、映像的には滝子は即決していた。むしろ滝子はそうなることは想像出来ていたって感じ。従って、本来ならもう少し滝子の返事に間を持たせて演じさせ、君子と常子のシーンはバッサリカットで良かった。
それなのに、如何にも手元は別人のインサートカットの美子(杉咲花)の浴衣を縫うシーンを入れたり、そのシーンにも “時代” を感じないから、孫のただのおばあちゃん孝行のシーンで終わってる。もう取り敢えずみんなを出しときゃいいって感じで作っているとしか思えない。
明らかに全体の構成の失敗…
確かに、甲東出版の騒動や青柳商店の廃業も戦争が原因で発生したエピソードでだ。しかし、実際にはこの2つのエピソードと同時に、滝子の病と常子の仕事が更に並行して描かれいるのが現状。前者2つは “時代” 絡みだが、後者2つは “時代” とは無関係。それを “時代” を一切感じることのできない舞台の中で描くから、面白く無いのだ。
私はこう考える。戦争が激しくなる前に、滝子の病には決着をつけ、常子が出版社でいろいろ学び始めるべきだったと思う。そして、滝子の死後、常子が一人前になりつつあるころに戦争と言う “時代” を入れるべきだったと。やはり、明らかな全体の構成の失敗では?もう、時既に遅しだが。
あとがき
完全にヒロインが、『大地真央劇場』に埋もれてますね。そして残念ながら『大地真央劇場』には “時代” が必要ない。いや、ヒロインと同様に時代すら隠してしまう魔力があります。早くこの魔力から抜け出して、「暮しの手帖」の話に突っ込んで行くべきだと思います。
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【これまでの感想】
[読書] 「暮しの手帖」とわたし (大橋 鎭子/著・花森 安治/イラスト・暮しの手帖社) 感想 ※平成28年度前期 NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』モチーフ,大橋鎭子の自伝
第1週『常子、父と約束する』
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第2週『常子、妹のために走る』
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第3週『常子、はじめて祖母と対面す』
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第4週『常子、編入試験に挑む』
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第5週『常子、新種を発見する』
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第6週『常子、竹蔵の思いを知る』
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第7週『常子、ビジネスに挑戦する』
37 38 39 40 41 42
第8週『常子、職業婦人になる』
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第9週『常子、初任給をもらう』
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第10週『常子、プロポーズされる』
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第11週『常子、失業する』
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第12週『常子、花山伊佐次と出会う』
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