とと姉ちゃん (第20回・4/26) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『とと姉ちゃん』(公式)
第4週『常子、編入試験に挑む』『第20回』の感想。
なお、本作のモチーフで、大橋鎭子著『「暮しの手帖」とわたし』は既読。
仕出し弁当配達の帰り、常子(高畑充希)は、お寺で植物の実験をしている帝大生の星野(坂口健太郎)に出会う。苛酷な状況で育てた植物は順応して生命力を高めるのだという。森田屋に戻ると、慣れない仕事に手こずる母・君子(木村多江)の姿があった。星野の言葉を思い出し、君子を励ます常子。そんなある日、常子たちは弁当の種類を間違えて配達してしまう。「もう頼まない」と激怒する得意客が押しかけ、一大事へと発展する…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
語りで、「波乱万丈な人生」と伝えるのは逆効果
「突然、戦場のような森田屋の仕事に巻き込まれた常子たち」
言いたいことはわからなくもないが、この語りは解せない。先日の映像では明らかに無理を言って家族で住み込みさせて頂いている立場の家族を、「巻き込まれた」と表現するのは正しいとは思えない。確かに「巻き込まれた」の方が波乱万丈の人生には見えるが、ここは素直に「悪戦苦闘する」程度で良かったと思う。
その後も、この類の語りが次々と登場。すべて書き出すのは止めておくが、土曜日の感想にも書いたが、3週間を振り返ると、波瀾万丈な人生には見えるだけでは困る。きちんと登場人物たちの葛藤と乗り越えがなければ、本当の意味での面白さは出てこないと思う。
君子と滝子に、昔何があったのかをきちんと描くべき
前回で、君子(木村多江)の「訳あって出て行くことになりました」の直後の常子(高畑充希)は「荷じゃあ、造りしよっか。かかが決めたことなんだよ」と物分かりが良いように描いていたのに、今回の回想シーンでの常子は「おばあさまと何かあったんですか?」と問うて、君子は「どうしても分かり合えなくて」と答えていた。
何か、合点が行かない。モヤモヤの理由は、滝子(大地真央)と君子の間の「どうしても」が何なのかが描かれていないからだ。何十年も前の母子のことなのか、先日の常子をめぐってのブチ切れなのか。もう少し、丁寧に描いて貰えないものだろうか。
これはマズい。かかの「まれ化」が始まったかも…
悲壮感や貧乏感をまるで感じない割に主義主張だけは一人前の君子の、今回の板場での仕事の出来なさを目の当たりにして、ついに『まれ』のヒロインが重なってしまった。こうなると、常子も仕事をさぼって、空気入れをしているかかと無駄話をしているようにしか見えない。将棋指しの1カットを前倒しするだけで良いのに…
まあ、常子と鞠子(相楽樹)のリヤカーを押すシーンも幾度かあったが、嫌々やりつつ無駄話ばかりで、どうも真剣さが感じられない描き方。辛いことも楽しく前向きにってことなのだろうが、残念ながらかかの「まれ化」によって、好意的に観るのが厳しい。
ヒロインをドジでのろまに描いて視聴者の共感を得るにも、やり方次第で大失敗することはNHKも『まれ』で散々痛い目に合ってるはずなのに、今回はヒロインの母親でやるのか。まだ、ヒロインにはほぼ何にも起こっていない第4週で、この状態はどうかと思う…
あとがき
毎回書きますけれど、私は、日本の家庭を変えたとまで言われる月刊誌を発刊する物語、大橋鎭子さんと「暮しの手帖」の素晴らしい実話をモチーフにした物語を見たいのです。でも、この状態では常子が就職するのを待つのも辛くなりそうです。まだ、第4週が始まったばかり。テコ入れするならまだまだ間に合うと思います。
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【これまでの感想】
[読書] 「暮しの手帖」とわたし (大橋 鎭子/著・花森 安治/イラスト・暮しの手帖社) 感想 ※平成28年度前期 NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』モチーフ,大橋鎭子の自伝
第1週『常子、父と約束する』
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第2週『常子、妹のために走る』
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第3週『常子、はじめて祖母と対面す』
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第4週『常子、編入試験に挑む』
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