映画「ボーダーライン」 感想と採点 ※ネタバレなし

映画「ボーダーライン」 感想と採点 ※ネタバレなし
映画 『ボーダーライン』公式)を昨日の公開初日に劇場鑑賞。採点は、 ★★★ ☆☆ (5点満点で3点)。100点満点なら65点にします。

私の評価基準(映画用)

ざっくりストーリー

エリートFBI捜査官ケイト(エミリー・ブラント)は、巨悪化するメキシコ麻薬カルテルを殲滅すべく、特別捜査官(ジョシュ・ブローリン)に召集され、謎のコロンビア人アレハンドロ(ベニチオ・デル・トロ)と共に、国境付近の捜査を開始する。

しかし、その極秘任務は仲間の動きさえも早く出来ない型破りな任務だった。人が簡単に殺される現場に直面したケイトは、善悪の境界が解からなくなっていく。正義感の強いケイトが法無き世界で悪を滅ぼす合法的な方法はあるのか?ケイトは困惑と模索の中で、アレハンドロがこの作戦に参加した本当の目的を知ることになる… ※R15+

監督らしい味付けの「フィルム・ノワール」風が秀逸

アメリカとメキシコの国境で巻き起こる麻薬戦争の闇を、衝撃的且つ圧倒的な臨場感で描いた本作。監督は、『灼熱の魂』『プリズナーズ』など毎回ユニークな映像と語り口で描くドゥニ・ヴィルヌーヴ監督。今回は「フィルム・ノワール」風のテイストに監督らしい味付けを加えて、グッとテーマが際立った作品に仕上がってる。

因みに、「フィルム・ノワール」とは、1940年代から50年代にかけてアメリカで流行した映画のスタイルで、主にモノクロの犯罪映画で、画面は暗く、夜の場面が多く、警察さえも悪に染まった暗黒の世の中で、男を破滅させる運命の女が登場し、作品全体には行き場のない閉塞感が漂っているが大よそのお約束。

女性の主人公と、メキシコの強い日差しと、色彩と…

しかし、本作が面白いのは、まず主人公が女性ってこと。もちろん今時の映画だから性差別な物語は不可能なのだが、監督はそれを逆手に取って新鮮味に変えているのは秀逸なアイデア。

また、モノクロで画面が暗いのが特徴の「フィルム・ノワール」だが、本作ではメキシコやアメリカとの国境付近の強い日差しを効果的に入れたり、グロい表現もカラーできちんと見せたり、地獄のような戦場を美しく魅せたのも、監督らしいドライなタッチがまた一段と強まって巧いと思う。

★★★★★管理人おすすめのフィルム・ノアール作品4選★★★★★
     
『三つ数えろ』ハワード・ホークス監督 (1946)
『白熱』ラオール・ウォルシュ監督 (1949)
『現金(ゲンナマ)に体を張れ』スタンリー・キューブリック監督 (1956)
『ローラ殺人事件』オットー・プレミンジャー監督 (1944) ※左から順に

一見縁の無いテーマを、身近な問題に引き寄せる魅力

物語としては、ヒロインのケイトが正義感が強いモラリストで、正しいと思うことが出来ず、味方からも反故にされるケイトの無力感と混迷に誰もが同調すると思う。また、本作で描かれる “正義(時に悪に転じる)” VS “正しいことが正しく行われていないかもしれない世界” も実にリアルなテーマ。

「アメリカ VS 中東」も「アメリカ VS メキシコ」もそうだし、進行中のアメリカ大統領選も似た構図。もちろん、私たち身近な所にも似たような図式はあると思う。一見、自分には全く無関係の地獄のごとき戦場での命懸けの戦いの映画だが、気付かぬ内に我が事に置き換えて観てしまう巧みさが本作の魅力だ。

あとがき

「フィルム・ノワール(1940~50年代のハリウッド産の白黒犯罪映画」をドゥニ・ヴィルヌーヴ監督らしい味付けで新鮮さを醸し出した、地獄のごとき戦場での命懸けの戦いの映画。行き場のない閉塞感と、米国とメキシコの国境で巻き起こる麻薬戦争の闇を、衝撃的且つ圧倒的な臨場感を、優美にさえ見える不思議な美学で魅せてくれます。

個人的には、星★4つなんですが、お勧めするとなると減点の理由が…。
  [1] 序盤のテンポの良さに反して、中盤の主人公の察しの悪いくだりが、ちょっと長くてダレること。
  [2] 従って上映時間が長く感じてしまう。100分位なら良かったかも。
  [3] そもそも、テーマが観る人を選んでしまう。
  [4] 最後に、グロい表現がそのまま登場しますので、苦手な方はご注意を。

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