あさが来た (第155回・4/1) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『あさが来た』(公式)
最終週『柔らかい心』『第155回』の感想。
なお、原案:古川智映子氏の『小説 土佐堀川』は既読。
新次郎(玉木宏)のもとに、あさ(波瑠)や千代(小芝風花)、啓介(工藤阿須加)や加野屋で働く亀助(三宅弘城)や榮三郎(桐山照史)が集まってくる。そろったみんなに新次郎は…。そして、新次郎とあさは、ふたりの時間を過ごす。新次郎は、あさに今まで思っていたことを改めて伝えると…。加野屋にはつ(宮崎あおい)がやってくる。はつや千代たちが和やかに話をしているなか、あさが庭に出てみると…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
アバンタイトルにも、演出の細かい気配りが…
今回のアバン、前回のラスト部分と同じに見えて、あさ(波瑠)の台詞の最後の一言「旦那様が」がカットされて、「がんばる女性たち」の写真まで引っ張っていたBGMも「誰か来て」のあとでスーッとフェードアウトして主題歌へ。僅か3秒程度の変化だが、前回の「衝撃」を若干和らげる演出。うーん、細かい気配りだ。
「パチパチはん」で回想場面を入れないのが良かった
「パチパチはん」の話をしながら倒れた新次郎(玉木宏)故に、しっかりと尺を確保して「パチパチはん」のインサートカット。もう、この1カットだけで、老夫婦の歩んできた歴史が視聴者には走馬灯のように蘇る。
だから、前回までは挿入していた回想シーンを敢えて入れずに、千代(小芝風花)の台詞とあさの涙だけで思い出話を紡いだ。小道具と俳優の芝居で魅せる西谷演出なのだが、アバンでの編集同様に同じような表現でも時と場によって使い分けこそ、脚本の箇条書きっぽさや似たようなくだりっぽさを感じさせない工夫だ。
あさが新次郎を後ろから支え抱える人物配置が新鮮
新次郎の最期を看取る時、あさと新次郎の位置関係をどう演出するのかと思ったが、あさが背後から新次郎を支え抱えるような、お互いが向かい合わない位置関係だった。
今は病院で亡くなることが多いから、ベッドの上と脇で看取る側が上から見下ろす構図が多い。そこで、(多分)時代を映すためと、二人をより密接にするために、この位置関係が選ばれたのだろう。お蔭で、あさの顔も新次郎の顔もカメラ方向に向いたまま最期の瞬間を描くことが出来た。
写実主義風の人物と照明が、時間が止まった世界を…
そのため、前回での障子戸の前で二人が向き合って座る屏風絵のような美しいカットととても対照的な、ヨーロッパの絵画の写実主義のような現実を美化せず客観的に描くような人物と照明。その後の、加野屋の家人たちの悲しむカットもどことなく時間が止まった絵画のような世界で描いていた。実に凝ってる。
新次郎の死を、お涙頂戴にしなかった西谷演出に脱帽
そして、一晩明けるといつものテレビドラマの描写へ戻る。しかし、映像全体はどことなくグレー系。強い光を避けることで必要以上に白装束が目立たぬようにとの配慮だろう。しかし、そのお蔭でチラリと映る5輪の梅の花がとても印象的。夫婦の生きた証と見たり見なかったりの泣き崩れるあさもホントいい感じ。
また、そこへ天気雨が降ってくるが、あさは天から振る日差しと雨を、亡き新次郎との思い出のように腕を広げて全身で受け止める。カメラもあさの笑顔を捉えるため上から撮るが、真正面でなく少し脇から。
今回全編に通じる現実を美化せず客観的に描く演出が、新次郎の死を奇を衒ったお涙頂戴にしなかった要因だと思う。今回は西谷演出に一本取られた。
あとがき
数年前、急逝した父の最期を看取ったのは息子の私一人でした。今回の新次郎はんは多くの人に看取られて幸せな最期だったろうなと、こちらまでジーンと来てしまいました。今回は脚本を俳優と演出で単なるお涙頂戴に仕上げなかったのがすごく良かったです。だって、そんなことしなくても十分に悲しいのですから。
さて、明日の最終回はどんなエンディングになるんでしょう。名匠で名俳優のチャールズ・チャップリンの言葉に「人生はクローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇だ。 」と言うのがあります。解釈は人それぞれですが、どうか本作の最後は登場人物たちの笑顔で魅せて欲しいです。
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【これまでの感想】
[読書] 小説土佐堀川 女性実業家・広岡浅子の生涯 新装改訂版 (古川 智映子/著・潮出版社) 感想 ※平成27年度後期 連続テレビ小説「あさが来た」 の原案
第1週『小さな許嫁』
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第2週『ふたつの花びら』
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第3週『新選組参上!』
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第4週『若奥さんの底力』
19 20 21 22 23 24
第5週『お姉ちゃんに笑顔を』
25 26 27 28 29 30
第6週『妻の決心、夫の決意』
31 32 33 34 35 36
第7週『だんな様の秘密』
37 38 39 40 41 42
第8週『京都、最後の贈り物』
43 44 45 46 47 48
第9週『炭坑の光』
49 50 51 52 53 54
第10週『お姉ちゃんの旅立ち』
55 56 57 58 59 60
第11週『九転び十起き』
61 62 63 64 65 66
第12週『大阪一のおとうさま』
67 68 69 70 71 72
第13週『東京物語』
73 74 75 76 77 78
第14週『新春、恋心のゆくえ』
79 80 81 82 83 84
第15,16週は “五代さまウィーク”、その後は “はつが来た” で「あさロスが怖い」視聴者対策をするNHKをどう思う?
第15週『大阪の大恩人』
85 86 87 88 89 90
[備忘録] 自分の「あさが来た」の感想がブレる理由
第16週『道を照らす人』
91 92 93 94 95 96
第17週『最後のご奉公』
97 98 99 100 101 102
第18週『ようこそ!銀行へ』
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第19週『みかんの季節』
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第20週『今、話したい事』
115 116 117 118 119 120
第21週『夢見る人』
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第22週『自慢の娘』
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第23週『大番頭のてのひら』
133 134 135 136 137 138
第24週『おばあちゃんの大仕事』
139 140 141 142 143 144
第25週『誇り高き人生』
145 146 147 148 149 150
最終週『柔らかい心』
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