いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう (第10話 最終回・2016/3/21) 感想

フジテレビ系・月9『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(公式)
第10話/最終回『永遠の約束』の感想。
互いに好きだとあらためて確認した音(有村架純)と練(高良健吾)。木穂子(高畑充希)はそれぞれに、自分の気持ちに正直に生きてと懇願する。練と朝陽(西島隆弘)、どちらを選ぶのか決断を迫られる中、音は東京に来たばかりで戸惑う少女・明日香(芳根京子)と出会う。彼女を助けようとしたことで、音は思わぬ騒動に巻き込まれる。その事態により、音自身を始め、練、木穂子、朝陽、小夏(森川葵)、晴太(坂口健太郎)の運命が大きく動きだす。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
最後まで「優しさ」を描き通した
最終回まで離脱しなくて良かった。今朝は、そう思う…
本作の良かったことの1つに、最後まで「優しさ」と言うものを描き通したことがある。確かに東京の「冷たさ」を誇張し過ぎて描いた違和感はあったが、それも誰もが感じる日常的な「優しさ」を描くため。特に、音(有村架純)と練(高良健吾)はそんな状況に常に置かれて描かれた。過酷な職場環境や辛い境遇など…。
「生きるのは厳しいけれど、恋をしている時は忘れられる」と言う部分を心のどこかにもって力強く前向きに生きていく6人の男女は、恋することの一瞬の煌めきを頼りに頑張って生きていく。貧困社会の今の東京を生きる若い地方出身者のラブストーリー。これが、高く無い視聴率の中で最後まで踏襲されたのは、つくり手魂として評価したい。
いろいろ込められた「想像力」と言う裏テーマ
さて、あの5年の時間経過をどう捉えるか?結果的に2010年からの6年間と言う長い期間を、それも東日本大震災を登場人物たちに経験させて描いた。きっと、時間経過で登場人物たちの変化、特に恋愛観の変化を描きたかったのだろう。ただ、構成上で「一部と二部」のように物語が分断されたのは逆効果だったと思う。
ただ、本作が描こうとしていただろうと私が勝手に考える「想像力」と言う部分。「遠いところにいるあの人は、今何をしているのだろう」と思いをはせることを音も錬も他の人物たちも劇中でやっていたと思う。この辺は震災でもう会うことのできない人を忘れないと言う「想像力」に繋がっていたように思う。
桃缶を手に亡き母に手紙の台詞を言う音も、正に「想像力」を描いてる。そして、先にも書いたつくり手魂として正しい選択だったのが、この劇中で起きた震災で亡くなる登場人物を創造しなかったこと。あくまで、前面に描かれない震災で変化したであろう心を描くことにしたのは良かった。本作に必要だったかどうかは別にして。
不幸を描いて幸福を描くのは “あざとい脚本” だが…
上でも書いたが、本作では誰もが日常の中で感じる「冷たさ」や「厳しさ」を登場人物だけでなく、特に若い視聴者に体現させようとしたと企んだと思っている。そして、絶望的な状況下だからこそ小さな恋の光も強く輝いているように見えるって感じ。
不幸を描いて幸福を描くと言う脚本は基本的にあざといと思っている。特に「死」。『あさが来た』や『家族ノカタチ』でやった登場人物の死を利用して幸せを描くのは腹が立つ。本作もそれと同じだと前回は書いた。
しかし、最終回を観て感じたのは、本作は主人公の「死」であることが違う。そして、その後の音も周囲の人物たちも「変化」したことが丁寧に描かれた。終わってみれば、これはこれで良かったと思う。
あとがき
全話を通してみると、朝陽(西島隆弘)と小夏(森川葵)のくだりが、主人公の音と練と同じくらいに描かれ、群像劇化が徐々に肥大化したのが、多くのベタな恋バナを期待した私を含めた若くない『月9』ファンに受け入れられなかったように思います。
そこと5年間の時間経過をもう少し上手く使えば、表面的に描かれた「優しさ」と裏で描いていた「想像力」と言う両輪で「生きることの素晴らしさ」を難しいけれど丁寧にしっかりと描いた名作になったと思います。
ラストの可愛らしいハッピーエンド含めて、最終回まで観ないと完結しなかった本作を離脱しなくて良かった。そう思います…
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