あさが来た (第134回・3/8) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『あさが来た』(公式)
第23週『大番頭のてのひら』『第134回』の感想。
なお、原案:古川智映子氏の『小説 土佐堀川』は既読。
※ 本作は 3/5 にクランクアップ(撮影終了)しています。
※ 従って、僅かな編集への期待と、直感的な賛美や愚痴を書いています。
※ 毎日、ベタボメ感想だけではないので、ご理解を。
事故にあった雁助(山内圭哉)を心配し病室に駆けつけた新次郎(玉木宏)たち。そこで雁助の家族が新次郎たちにする話とは…。残って雁助の様子を見ることになったうめ(友近)は雁助の妻ツネ(松永玲子)とふたりになってしまい…。次の日、うめは意識の戻らない雁助と二人きりになる。うめは雁助に話しかけているうちに…。そこへあさ(波瑠)が遅れてやってくる。あさは、懸命に雁助の手を握って話しかける。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
脚本の遅筆で、収録現場にしわ寄せでも来たのか?
前回はお粗末なアバンタイトルだったが、流石に火曜日は前回の続きだからマシと思う。ただ、これまでの新田真三氏の演出手腕を考えると、明らかにテンションが下がってる。夕日の差し込み方も演者に当たる照明も何か雑に見えてしまう。因みに終盤の病室の窓外の書き割り(風景画)もかなりやっつけ感が…。脚本の遅筆で収録現場にしわ寄せが来たなら納得できるが。
唐突に雁助に “ある” 役目を押し付けるから…
主題歌明けは「うめ劇場」。と言うか「友近劇場」。確かに雁助(山内圭哉)は本作の前半を盛り上げた重要人物。そんな雁助をこんな役割で利用するのに違和感を覚えるのだが、その話は後述するとして、うめ(友近)に1話を授ける必要があるのだろうか。雁助はともかく、うめに…である。
友近さんが芸人として芸達者なのは大いに認める。ただ、ハッキリ言うと彼女の所作はコント風の所作。和服を着慣れた女性の所作とは明らかに違う。所作指導や呉服指導も、当然演出家の演技指導もあるはずなのに、うめに関しては友近さんに “お任せ” って感じが見えてしまう。
決して、友近さんが悪いのでなく、友近さんをキーパーソンの相手役を演じる女優さんとして使うなら、スタッフにもっとキッチリとやって欲しかったってこと。そして、今更こんなことを書かなくてはならないのは、唐突に雁助に “ある” 役目を押し付けたから。それがそもそもの原因なのだ。
今さら、脚本にどうこう言っても効果なしだが…
前回で既にクランクアップした本作の脚本に触れても意味が無い旨のことを書いたばかりで恐縮だが、今回は現在進行中の「雁助の入院」のくだりについて少し書こうと思う。「雁助の入院」は、あさが保険会社設立へ向けてのネタ振りであることは、多くの人がお察しだしご存知だと思う。
雁助が加野屋に不義理をする設定に変わるのが解せない
この雁助(山内圭哉)と言う人物。これまで幾度となく脚本家の都合の良いように書かれてしまう可哀想なキャラ。雁助は加野屋の元大番頭で、加野屋の家業・両替商に誇りを持ち、新しことをしようとするヒロイン・あさと対立する構造にあった。その真面目さや男気が雁助の魅力だ。
だから私も、演出的には雁助が加野銀行開業を見届けてその宴の間に加野屋を去る時の、雁助らしく静かでひっそりと落ち着いた姿で去る姿が印象的だった。また、ミーハー的には折角相思相愛になったうめ(友近)はどうなるのか心配したし、脚本へはいつかきっとうめと一緒になるのだろうと、あれこれ感動し涙し期待をしたのだ。
しかし、雁助が20年前に家出した妻(これが今回の伏線だった)から娘が重篤との知らせを受け、家族を支えるために突然に退職を決めたり、手紙でマッチ工場で妻子と働いてると知らせて、うめとの寄りが戻る話をバッサリ切ったりと、何かと加野屋に不義理をする設定に変わっていく。(これも今回の伏線か)
「死」を盾にして、話を強引に進めるのはあざとい
そして今週。加野屋を辞めてだいぶ経っている元従業員の会ったこともない家族から、加野銀行に事故で意識不明の連絡が来るのも唐突。また、夫の事故をきっかけに元職場の銀行に経済的支援を要求するのが見え見えの雁助の家族と、金よりも人のためと何かと上手く行ってるヒロイン家族(九転十起してないのは問題だが)と比較対象に置き描くのがあざとい。
その上、雁助が加野屋を去る時は “雁助の娘の”、今度は “雁助本人の” 「死」を脚本上の免罪符、言い訳、盾にして、これまでの話を無かったことにして話を前に進める、そう言うあざとい脚本が残り1か月を切って描かれるのことが、驚きを超えて違和感と嫌悪感が漂うのだ。
ついでに書くと、ドラマ的に都合良く紆余曲折しながら進行中の、あさが女子大学を設立する話も、キンキン声の娘の今一つよく分からなかった反抗期の子育て話と、ボサボサ髪の成澤のこれまた内容が今一つ描かれないままのスゴ本の話で、辛うじて進んではいるが、お世辞にもあさが九転十起しているようには見えないが。
「サトシの炭坑爆破」や「あさの長期入院」ではダメ?
そんな状態で、今度は保険会社設立の話を同時進行させるのだから、史実に忠実に描く必要はないとした上で言えば、サトシ(長塚圭史)が起こした炭坑爆破で生活が困窮した炭坑夫やその家族を救済する際に、本作では加野屋が補償する話で終わったが、保険会社の話が出てもおかしくなかったはず。
また、と 萬谷与左衛門(ラサール石井)に刺されてあさが長期入院する際には、当然あさは経済的に困らないが、折角見舞いに来たはつは経済的に厳しいのだから、「うちやったら…」と嘆くはつの言葉に保険会社を思い付くとか。こう言うのが「死」を脚本上の免罪符にしなくても済む、自然な流れと言うものではないだろか。
とにかく、大学設立を描いて欲しい
終盤、あさ(波瑠)が病室にやってきて、自分が入院した時の話をするが、なぜかこれも、病室セットと同じで使い回し感が強くて引いてしまった。どうも、ここへ来て脚本がドタバタしてきているのがとても気になるし残念。とにかく、大学設立を描いて欲しい。
あとがき
多分、脚本についてここまで書くのは最後になると思います。だって、書いたってしょうがないですから。それにしても、残り4週間になって、一気に脚本も演出もドタバタしている感じがします。最終回までにすべての登場人物に見せ場を提供しようとでも考えているのでしょうか。
ラスト1か月を「華麗なる最終章祭り」として楽しみ感動したいって気持ちの視聴者がいるのは理解しますし、私も懐かしい登場人物が再び観られるのは嬉しいです。が、この1週間殆ど話が進んでいません。進んだと思ったらこんなやり方。
新田真三さんの奇を衒わない演出のお陰で落ち着いて見られますが、その分脚本に目が行ってしまいます。何度も書いて恐縮ですが、昨年暮れから2月くらいのあの躍動感ある作風が再び観られることを期待します。
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【これまでの感想】
[読書] 小説土佐堀川 女性実業家・広岡浅子の生涯 新装改訂版 (古川 智映子/著・潮出版社) 感想 ※平成27年度後期 連続テレビ小説「あさが来た」 の原案
第1週『小さな許嫁』
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第2週『ふたつの花びら』
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第3週『新選組参上!』
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第4週『若奥さんの底力』
19 20 21 22 23 24
第5週『お姉ちゃんに笑顔を』
25 26 27 28 29 30
第6週『妻の決心、夫の決意』
31 32 33 34 35 36
第7週『だんな様の秘密』
37 38 39 40 41 42
第8週『京都、最後の贈り物』
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第9週『炭坑の光』
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第10週『お姉ちゃんの旅立ち』
55 56 57 58 59 60
第11週『九転び十起き』
61 62 63 64 65 66
第12週『大阪一のおとうさま』
67 68 69 70 71 72
第13週『東京物語』
73 74 75 76 77 78
第14週『新春、恋心のゆくえ』
79 80 81 82 83 84
第15,16週は “五代さまウィーク”、その後は “はつが来た” で「あさロスが怖い」視聴者対策をするNHKをどう思う?
第15週『大阪の大恩人』
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[備忘録] 自分の「あさが来た」の感想がブレる理由
第16週『道を照らす人』
91 92 93 94 95 96
第17週『最後のご奉公』
97 98 99 100 101 102
第18週『ようこそ!銀行へ』
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第19週『みかんの季節』
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第20週『今、話したい事』
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第21週『夢見る人』
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第22週『自慢の娘』
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第23週『大番頭のてのひら』
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