[読書] LGBTってなんだろう? -からだの性・こころの性・好きになる性- (薬師 実芳,古堂 達也,小川 奈津己,笹原 千奈未/著・合同出版) 感想

LGBTってなんだろう? -からだの性・こころの性・好きになる性-
【おススメ度】★★★★

私の評価基準(書籍用)


LGBT の理解を深めるのに有意義な一冊

以前に読んだ『LGBTQを知っていますか? “みんなと違う”は“ヘン”じゃない』が、養護教諭のためのスキルアップ本のスタンスだったのに対して、本書は、教育関係者はもちろん、子どもや教育に関わるすべての大人たちが LGBT の理解を深めるのに有意義な一冊に仕上がってる。

LGBT 当事者の学生50人の生の声を聞くべき

本書の最大の特徴であり良い点は、LGBT 当事者の学生50人の生の声をふんだんに掲載されていること。自分がまだ幼い頃にどんな思いで過ごしたのか、そしてその経験を経て今はどう考え生きているのかが、手に取るように見えてくる。

また、全体の文字が大きめで老眼にも優しいことや、見出しやレイアウトが明快で読み易く、イラストもシンプルなため、幅広い層で読み易い工夫がなされているのも良い。

専門的知識をより深く知るための参考書と言うより、基礎知識を学ぶ教科書だが、堅苦しさは一切なくスラスラと読めるし、読んだ後は「知らなかった」と言う心苦しさと同時に、「知ることが出来た」と言う喜びや充実感が味わえる。とにかく、読まないことには始まらない。

こんな声に心が震えた…

当blogでは、テレビドラマの記事が多く、よく恋愛ドラマの際に「胸キュン」などと表現するが、「恋愛全体がわからない」「きゅんきゅんするって言葉の意味がよくわからない」と言うアセクシャル(無性愛)の学生さんがいると言うこと。

また、「高校生になってからずっと死にたかった。でも誰かを悲しませるとか誰かに迷惑がかかるから死ねなかった。だから、死なないために責任ある役職に就いたり仕事をいっぱい引き受けて死なない理由を作った」と言うゲイ(男性同性愛者)の優等生の影を見せてくれた学生さん。

そして、「先生の中では女の子だと思っている子どもでも、自認は男の子かもしれないし、その子らしさを尊重してあげられたらいいと思う」と言うポリセクシャル(多性愛のこと。全性愛のパンセクシャルは異なる)の学生さんなど、とにかく苦しくて辛い日々を過ごしたからこそ話せる生きた言葉の数々を読んでみると良いと思う。

用語を知ること=性の多様性を知り尊重すること

また、大学2年生の息子からある日突然「自分はゲイ」とカミングアウトされたお母さんは、「息子がいろいろ説明してくれるんだけど、覚えられんのですよ。ちゃんとした言葉、ありますやん。言葉を覚えなアカンのかなかって、それがしんどかったんです」と言ったそう。これも実にリアルな話だと思う。

とにかく、「性」を表す言葉が多いことに驚く。実は、それだけ「性」は多様化し複雑化している証拠なのだが。例えば、「LGBTQ」とは以下の英語の頭文語でだそう。

  L:女性同性愛者(レズビアン、Lesbian)
  G:男性同性愛者(ゲイ、Gay)
  B:両性愛者(バイセクシュアル、Bisexual)
  T:身体の性別と心の性別に違和感や不一致を感じる人のこと
     (トランスジェンダー、Transgender)
  Q:性的指向や性自認がはっきりしない、
       決められないあるいは悩んでいる状況にある人
     (クエスチョニング、Questioning)

また、トランスジェンダーの中には、更に、「両性・中性・無性」の3つからなるXジェンダーの人を含めて、4つの分類があるそうだ。

  MtF:出生児の<からだの性>が男性で<こころの性>が女性の人
  FtM:出生児の<からだの性>が女性で<こころの性>が男性の人
  MtX:出生児の<からだの性>が男性で<こころの性>が女性~中性寄りの人
  FtX:出生児の<からだの性>が女性で<こころの性>が男性~中性寄りの人

その他に、出生児のからだの性別が男女にはっきり区別できない状態を「性分化疾患」と言い、<こころの性>との<からだの性>が不一致に感じている人達に対する医学的疾患名が「性同一性障害(米国では「性別違和」)」など、言葉が多い。

中高年になって、これらをすべて正しく覚え理解し対応するのは、それなりの努力が必要だと思う。そう言う意味では、頭が固くなりつつある中高年世代で、本記事でまだ知らないことが多いと思った方は、是非本書で知ることから始めるのも、1つの方法だと思う。

あとがき

20人に1人いると言われる LGBTQ の人たちのことを知らなすぎるなと思います。本書では、トイレや体育、制服や修学旅行、友だちとの関係や恋バナ、いじめ、カミングアウト、将来など、LGBT の学齢期の子どもたちの誰もが通過する問題を項目別に生の声と共に解説されています。

冒頭に書いた通り、教育関係者はもちろん、子どもや教育に関わるすべての大人たちが LGBT の理解を深めるのに有意義な一冊です。

また、LGBTQ を知るには過去の名作映画で学ぶと言う選択肢もあります。私がおすすめの LGBTQ を扱った名作から、現在DVDで新品が安く購入できる4作品を選びました。未見の方はご覧になってみてはいかがでしょうか。


             

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百合のリアル (星海社新書)
同居人の美少女がレズビアンだった件。 (コミックエッセイの森)
カラフルなぼくら: 6人のティーンが語る、LGBTの心と体の遍歴 (一般書)
ブロークバック・マウンテン [Blu-ray]
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