映画「イット・フォローズ」 感想と採点 ※ネタバレなし


ざっくりストーリー
19歳のジェイ(マイカ・モンロー)は彼と一夜を共にするが、突如彼が豹変し彼女を椅子に縛り付けて奇妙なことを告げられる。“それ” は移された者だけにしか見えず、“それ” に殺される前に性行為をして誰かに映すことが出来るが、その相手が “それ” に殺されたら、 “それ” はまた自身に戻ってくると言う。
さて、ジェイは何時何処に現れるか分からず、自分にしか見えない “それ” の恐怖から逃れることは出来るのか…。
本作の最も好感が持てるところ…
各国の映画祭で高評価を獲得し、ジョン・カーペンター監督やクエンティン・タランティーノ監督も絶賛する、新鋭デヴィッド・ロバート・ミッチェル監督のレトロ風異色ホラー。
物語は、低予算こその1つのアイデアで最後まで突っ走るスタイル。全体の雰囲気は、全盛期のジョン・カーペンター監督作品のようなレトロなテイスト。
カメラワークは超ロングショットを効果的に多用し、優雅にさえ思えるドリー撮影と編集の妙で、驚かすのも静かにじんわり攻めてくる程度。音楽も電子音楽をBGMにしっとりと敷いた感じで、今どきの押し付け演出の類いは一切なし。この辺が、本作に最も好感が持てるところだ。
観る人で感じ方が全く違うであろう作品
あとは、正直言うと、観る人がどう感じるかで作品への思いや価値観が全く変わってくると思う。
例えば、小物の選択。ブラウン管テレビやそこに映る白黒映画や携帯電話や化粧コンパクト型のタッチパネル式電子書籍リーダーなど、監督が敢えて時代(場所も)を特定させたくない意図が見えるが、本作では随所に60年代~80年代のホラー映画から多くのインスパイアされた部分があり、私の大好きな時代でありジャンルだから、ついニヤニヤして観て楽しんでしまった。
そう言う人にはまさしくレトロ風異色ホラー映画となる。因みにジョン・カーペンター監督・脚本・音楽『ハロウィーン(1979)』の影響はかなり受けていると見受けられる。
哲学的な観念を持った作品にも映る
また、私よりも感受性も知的水準も高い人には、哲学的な観念を持った作品に映ると思う。特に、“それ=IT” が何であるかに思いを巡らせば、私にはあの知りきれで中途半端なエンディングも深みを増すに違いない。そう、日常にどこにでもある、原因不明の “恐怖” や “不安” として観れば…である。
中盤から青春群像劇風の味付けが増すところがミソ
何れにせよ、中盤までは意外と普通のホラー映画として物語も映像も進んで行くが、中盤から青春群像劇風の味付けが増し、青春時代の “心の迷い” や “性” や “自由” や “出会いと別れ” にロマンチックな雰囲気さえ加えて誇張したような不思議な謎を残したまま終わるのは、観客の解釈に委ねたエンディングとしても新鮮で良かった。
あとがき
80年代のジョン・カーペンター監督全盛期の作風を彷彿させる新感覚のレトロ風異色ホラー映画。60~80年代のホラー映画好きならマニアックに楽しめるし、物語の核心に迫れば哲学的な観念をも見出すことも出来、青春ロードムービー的な要素もあります。驚かすのもじんわり、押し付け演出も無し。とにかくあの美しいロングショットは劇場で観ないと…
★ケータイの方は下記リンクからご購入できます。
It Follows [Blu-ray + DVD + Digital Copy + Digital Soundtrack] (Bilingual)
IT FOLLOWS [DVD]
It Follows (Original Soundtruck)
ハロウィン BD [Blu-ray]
★本家の記事のURL → http://director.blog.shinobi.jp/Entry/7996/
★FC2ブログへトラックバックが送信できない方は、
http://dmesen.seesaa.net/article/432745786.html でも受付けております。
- 関連記事