あさが来た (第86回・1/12) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『あさが来た』(公式)
第15週『大阪の大恩人』『第86回』の感想。
なお、原案:古川智映子氏の『小説 土佐堀川』は既読。
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働いてばかりで家にあまりいないあさ(波瑠)は、娘の千代に「なんで普通のお母ちゃんと違うの?」と聞かれ、うまく答えられないでいた。新次郎(玉木宏)も、父としての自分に自信が持てず…。あさは五代友厚(ディーン・フジオカ)から銀行づくりのポイントを聞く。銀行経営に消極的な榮三郎(桐山照史)と言い争っていたあさは、自分の間違いを素直にあやまる。榮三郎は、あさの柔らかさに感心して…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
今週の佐々木氏の演出方針の答えがアバンに見えた
昨日の感想に書いた「今週の佐々木氏の演出は、ヒロインあさを魅せてくるのか?」に直球の回答を寄越してくれたような1分25秒のアバンタイトルだった。とにかく、これまで決して目立たせて描いてこなかった「母親になった大人のヒロイン」として、あさ(波瑠)を描こうと言う姿勢。これで良いと思う。
寝床と店先の場面転換にも、演出方針を感じる
主題歌明けは、寝床にいる夫婦が娘の千代(中川江奈)のことを話すシーン。アバンはキジバトの声が聞こえたから多分朝の時間帯、そして、主題歌明けは夜のシーン。すぐに回想シーンが挿入されてしまうが、ここの回想シーンの場面転換にちょっとした工夫をしたことで、夫婦の千代への深い愛情が見えてきた。
それが、寝床から店先のシーンへと店先から寝床のシーンへの2か所のディゾルブ(一つの画面を消しながら、重ねて次の画面を写しだす技法)の方法。普通はディゾルブも不要でカット切り替えで済ませても良い場面を、敢えて1秒強のセピア色の効果を付けて切り替わっていた。
真昼間の強い日差しの下での店先のシーンと、行燈照明の柔らかな灯りの寝床のシーンを違和感なく繋げると共に、重要なシーンは寝床であることを映像(編集)で自然に視聴者に訴えた演出。ここでも佐々木氏の演出方針は貫かれているのが分かる。
ヒロインを持ちあげる小さな演出の積み重ねが大切
寝床の次の「大阪商工会議所」のシーン頭もあさのカット。実に単純なことだが、新しいシーンや場面のファーストカットをあさにするのも実に正しい。表紙を見ただけで誰が主人公であるか一目瞭然みたいな印象を視聴者に与えるから。実は、こう言うヒロインを持ちあげる小さな演出の積み重ねが本作には無かったのだ。
あさにモデルがいても、芯がブレなければ創作すべき
そして、やっと8分過ぎに五代(ディーン・フジオカ)登場。この2週が「五代ウィーク」だとすると、やや遅めの登場だ。しかし、いくら五代が重要人物とは言え主人公はあさ、描くべきはヒロインであることをここでも訴えてる。でも、ここで五代が本作の重要なキーワードを発する。
「あささんは、大阪一のおなごの実業家やありませんか」
あさと榮三郎(桐山照史)との関係も商人らしさと義理の姉弟らしさが上手く混ざり合ってフィクションの良さを引き出そうとしているのが分かる。見方によれば、もっと史実寄りにすべきと言う意見もあるだろうが、本作は原作ありきのフィクション。
だから、史実上で女傑で女実業家のパイオニアだとしても、少し男性の力を借りている素振りを入れることで、現代風のアレンジが施され、それが本作らしさに繋がっているのではないだろうか。大切なのは史実通りに描くことで無く、現実に生きた人物を題材にするなら、その生き様を捻じ曲げないこと。
芯がブレていなければ創作すべきなのだ。それがものづくりの本質だと思う。
あとがき
先週は脇役の恋バナと祝言の中で、新次郎(玉木宏)独特の “パーソナリティー” を描き始め、今週は漸くあさ独特の “パーソナリティー” を描き始めましたね。本来ならもっと前から描くべきでしたが、ここで気づいて描き始めたのはとても良いと思います。お蔭で、とてもドラマらしい仕上がりになってきました。
要は、大量の台詞ととナレーションと登場人物で物語を描くのでなく、魅せるべき登場人物たちの言動で物語を紡ぐべきってこと。今週はこん2日間を見る限りですが、やっと叶うような気がしています。このまま、きちんとあさを描いて欲しいです。
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【これまでの感想】
[読書] 小説土佐堀川 女性実業家・広岡浅子の生涯 新装改訂版 (古川 智映子/著・潮出版社) 感想 ※平成27年度後期 連続テレビ小説「あさが来た」 の原案
第1週『小さな許嫁』
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第2週『ふたつの花びら』
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第3週『新選組参上!』
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第4週『若奥さんの底力』
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第5週『お姉ちゃんに笑顔を』
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第6週『妻の決心、夫の決意』
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第7週『だんな様の秘密』
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第8週『京都、最後の贈り物』
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第9週『炭坑の光』
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第10週『お姉ちゃんの旅立ち』
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第11週『九転び十起き』
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第12週『大阪一のおとうさま』
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第13週『東京物語』
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第14週『新春、恋心のゆくえ』
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第15週『大阪の大恩人』
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