映画「ブリッジ・オブ・スパイ」 感想と採点 ※ネタバレなし

映画「ブリッジ・オブ・スパイ」 感想と採点 ※ネタバレなし
映画 『ブリッジ・オブ・スパイ(日本語字幕版)』 公式)を公開初日の本日に劇場鑑賞。採点は、 ★★★★ (5点満点で4点)。100点満点なら80点にします。

私の評価基準(映画用)

ざっくりストーリー

アメリカとソ連が冷戦下の1950~60年代。保険の分野で敏腕弁護士のジェームズ・ドノバンは、真面目に務めキャリアを重ねてきたベテラン弁護士だ。ある日、彼は米国が身柄拘束したソ連のスパイ、アベルの国選弁護人を強引に委ねられる。

周囲の反対にあいながらも、如何なる人間も正当に裁判を受ける権利があると信じるドノヴァンの弁護で、アベルは死刑を免れる。数年後、ドノヴァンはCIAからソ連に捕らえらえたアメリカ人スパイとアベルを交換を成功させると言う大役を任される。それは、米ソの全面核戦争を食い止める世界平和をも左右する重大任務だった…

オスカー狙いが見え見えの社会派感動映画を超えてる

東西冷戦下の1960年に実際に起きた、ソ連による米国偵察機撃墜事件 “U-2撃墜事件” の舞台裏を描くヒューマン・ドラマが本作。

監督がスピルバーグ、主演はトム・ハンクス、そして実話の映画化とくれば、長年のスピルバーグ監督ファンの私でも、オスカー狙いが見え見えの社会派感動ドラマと想像する。確かにその匂いはあちこちに漂うが、想像以上にサスペンス性が色濃いエンターテインメント映画に仕上がっている。

また、実話の上に米ソの全面核戦争の恐怖が背景にある割に、意外とユーモアや皮肉が盛り込まれ、これまでのスピルバーグ監督作品とは違った印象も受ける。この辺はコーエン兄弟が脚本に参加している影響が強いと思う。

人間を真正面から描くと言うドラマのお手本的な作品

やはり、本作の見所は、米国、ソ連、西独の3者による息が詰まるような交渉術の描写だ。中でも、普通の民間人であるドノヴァンの法に実直な愛国者たる人間味溢れる描写とトム・ハンクスの心に染み入る演技が最大の見所。それが、良き夫、良き父、良き市民として、普通に生きてきた男が起こした奇跡の実話をリアルに魅せる。

また、ソ連のスパイのアベルも決して祖国を裏切らない。絵描きとして長年身を潜め生きてきた男の生き様も見事に描いている。その意味では、自分の信念に忠実な2人の男の間に生まれる奇妙な友情がどうなるのかも大きな見所になる。とにかく人間を真正面から描くと言うドラマのお手本のような作品と言えよう。

人と人のつながりの大切さを改めて確信する

映画としては142分と長尺だが、序盤の物語が動き出した辺りが少しもたつくが、プロローグの観客の惹き付け方も上手いし、その後の展開も実に速く、長いと感じることは無い。

特に、後半の舞台が東ベルリンに移ってからのスパイ交換の過程は、スクリーン内の色数を極限まで減らして創出したブルーグレーの世界にスピルバーグらしい照明演出で、スリリングで息詰まるようなサスペンスを魅せてくれる。

また、建設途中のベルリンの壁や交渉に使われる橋など、ロケとセットとVFXを巧みに使って冷戦時代の雰囲気を上手に創り出しているあたりも、スピルバーグ監督らしい。派手なドンパチもアクションも無いが、人と人のつながりの大切さを真面目に描いた本作、予告編は超えていると思う。

あとがき

上と重なりますが、人間を真正面から描くと言うドラマのお手本のような作品です。142分と長尺ですが、長いと感じることはありません。特に、後半のスクリーン内の色数を極限まで減らしたブルーグレーの世界とスピルバーグらしい照明演出が、息詰まるようなサスペンスを魅せてくれます。

人と人のつながりの大切さを真面目に描いた本作、予告編は超えているので、スクリーンで確かめる価値はあると思います。

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