女性作家ミステリーズ 美しき三つの嘘 (2016/1/4) 感想 ※ネタバレあります

女性作家ミステリーズ 美しき三つの嘘 (2016/1/4) 感想 ※ネタバレありま

フジテレビ系・『女性作家ミステリーズ 美しき三つの嘘』公式
『湊かなえ、三浦しをん、角田光代の短編小説を、オムニバスドラマ化。永作博美、土屋太鳳、鈴木京香ら、超豪華キャストが終結。』の感想。
なお、第一話『ムーンストーン』の原作・湊かなえ(ハルキ文庫刊『サファイア』所収)、第二話『炎』の原作・三浦しをん(新潮文庫刊『天国旅行』所収)、第三話『平凡』の原作・角田光代(新潮社刊『平凡』所収)は未読。


【ムーンストーン】
主人公の私(永作博美)は、市議会議員の妻。高級住宅街に暮らし、何不自由なく暮らしているかのように見えたが、夫(滝藤賢一)から日常的なDV被害を受けていた。ある日、夫の暴力から娘を守ろうと抵抗したはずみで、夫を殺してしまう。逮捕され警察から取り調べを受ける私のもとに、ある女性(檀れい)が現れる。物語は私の中学時代の回想とシンクロしながら進行し、最後には驚がくの展開が待ち受ける。
【炎】
毎朝、通学バスで登校する高校生の香川亜利沙(土屋太鳳)の日課は、憧れの先輩・立木尚吾(村上虹郎)の横顔を眺めること。そんな憧れの立木がある日突然、学校のテニスコートで焼身自殺をする。一瞬の出来事に衝撃を受けた亜利沙だったが、その後、立木と親しかった楢崎初音(門脇麦)とともに自殺の原因を探っていく。果たして、立木に死を選ばせたものとは?
【平凡】
宮本紀美子(鈴木京香)は、結婚生活も20年を越え、近所のスーパーでパートをしている主婦。紀美子がテレビをつけると、紀美子の同級生・榎本春花(寺島しのぶ)が出ていた。春花は人気料理研究家で、彼女の活躍を見るにつけ、自分が地味で不幸に思えてしまう紀美子は、春花に会えば、退屈な毎日から脱却できるのではと考え連絡を取る。喫茶店で20年以上ぶりに再会を果たす2人。思い出話に花を咲かせる中、突然、春花が「わたし、人を殺したかも」とつぶやく。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---

永作博美さんの迫真の演技が
“小説の映像化の難しさ” を魅せた第一話

第一話『ムーンストーン』
脚本は『結婚式の前日に』の山室有紀子氏と『偽装の夫婦』の深川栄洋氏の共作、演出は『神様のカルテ』『白夜行』の深川栄洋氏。原作は未読。最も印象に残ったのは、永作博美さんの迫真の演技。多分、彼女の演技が無ければ、ただただ「最後の驚がくの展開」に疑問しか残らなかったと思う。

文字で表現する小説メディアだからこそ成立する構成

ネタバレすると、「私」と「わたし」は別人だってオチ。中学時代は根暗でいじまられていた「私」が大人になり夫を殺してしまった。それを中学時代は人気者で正義感に溢れた「わたし」が弁護士となって現れた。が、しかし現実は夫殺しが「わたし」で弁護人が「私」って話。

原作は未読だが、著者は意図的に「私」と「わたし」と同じ “音” で主人公展開する物語で読者を徐々に混乱させ、予想外の展開へと言う、如何にも文字で表現する小説メディアだからこそ成立する構成なのは分かる。

登場人物の成長過程や人格形成が 映像ではしっかりと描かれないと感情移入は難しい

しかし、これは実写ドラマ。「私」と「わたし」の中学時代以降の人間関係や設定が描かれていない(描いたらバレちゃうのだが)から、根暗の「私」が弁護士になり、正義感の「私」が夫殺しに人格転換したような違和感が残るし、何よりそこを描かぬまま尻切れでブツッと終わるから、どうしようもないとしか言いようがない。

私の “土屋太鳳アレルギー” はまだまだ非力なものだった

第二話『炎』
脚本は『トランジットガールズ』の加藤綾子氏、演出は『ストロボエッジ』『余命一か月の花嫁』の廣木隆一氏。原作は未読。最も印象に残ったのは、『下町ロケット』で私にもやっと免疫ができたと思っていた “土屋太鳳アレルギー” はまだまだ非力なものだったってことだ。

映像的に亜利沙に偏り過ぎなのが残念

物語は実に単純。今どきの女子高校生・香川亜利沙(土屋太鳳)の目の前で、憧れの先輩・立木尚吾(村上虹郎)が焼身自 殺をする。亜利沙は立木と親しかった楢崎初音(門脇麦)と一緒に彼の死の真相に迫る内に、立木の母が不倫していた学校教師が別の女性と婚約したことへの「抗議の死」と書かれた遺書を見つける。

しかし、実は教師と交際していたのは初音で、立木と二股をかけていた。そのショックで立木は自 殺。亜利沙からそのことがバレるのを恐れた初音が遺書を偽装し、亜利沙にショックを受けさせこの世から消そうと企んだ計画…と言う解釈で良いのだろうか???

ラストでそれがショックの脱力感で亜利沙まで自 殺したのかも謎のままだし、「彼氏の敵討ちのために命をはる」物語ならもっと初音が描かれたら良かったと思う。

短い尺ながら廣木監督らしい2か所の演出が光った

2人が見つけた遺書を、まず初音の顔のアップに立木の声を被せて見せ、その後は亜利沙の顔のアップで亜利沙の声で読ませる演出が、今作のポイントだったと思う。廣木監督らしくシンプルで飾り気のない編集で、女子高生の苦悩を描いた良いシーンだった。

また、学校の屋上で教師が自白したのを見た亜利沙の複雑な心情を廣木監督らしい長回しでじっくり描いたのも良かった。ただ、業界ウケが良いと噂される土屋さんだからなのか、私には多過ぎる程の真正面からのどアップで、物語に感情移入する余裕が無かった。私には主演女優が違っていたらと悔やまれる。

瀬々敬久監督らしい演出は良かった第三話

第三話『平凡』
脚本と演出は『アントキノイノチ』『64』『ストレイヤーズ・クロニクル』の瀬々敬久監督。個人的には『ドキュメンタリー頭脳警察(2009年)』が大好きな映像作家。序盤のアラフォー女性2人の車内での音楽の使い方や、ロケでの手持ち撮影なんて、実に瀬々敬久監督らしい。

一応、こんな話

結婚20年で子なし夫婦、どこにでもいる主婦・宮本紀美子(鈴木京香)はパート生活の “平凡” な主婦。一方、中学高校の同級生だった榎本春花(寺島しのぶ)は華々しい笑顔で人気料理研究家として活動中。20年ぶりに再会した2人だが、春花が突然に「人を殺した」と打ち明け、“大介” の話をし始める。

学生時代、親友だった2人は同じ人、4つ年上の教育実習生 “大介(染谷将太)” を好きになったと打ち明け、お互い抜け駆けはしないと約束していたのだ。しかし、当時の紀美子はその約束を破り、自ら告白して交際していたと春花は聞かされる。また、春花は同じ男性を好きになった苦悩から東京に引っ越したのか…

だが実は、現在の紀美子の夫がその大介(寺脇康文)で、今は焼身自 殺し、重症で入院していた。実は紀美子が大介と付き合う前に、春花が既に付き合っており、春花は紀美子との誓いを別れることにしていたのだ。が、その後大介が紀美子とすぐに交際し結婚までしていたことが許せず恨んでいたのだ。

華やかな人生を歩む女と平凡な人生を歩む女の真相か?

うーん、どうやら春花は学生時代以降に波乱万丈の人生で離婚を経験をし、何とか手にしたのが今の人気料理研究家と言う華やかな人生。だから、春花は紀美子と大介には「不幸になれ」と恨み、 “平凡” な人生がくるようにと恨み続けていたと言うことだろうか。今の大介がもう少し描かれていたら印象の違う作品になったかも。

映像作品としては、瀬々敬久監督らしいドキュメンタリータッチの臨場感もあったし、サスペンス的な面白さもあった。ただ、如何せん編集なのか原作なのか、人物描写が物足りなくて、その割に時間が行ったり来たりするから、ブツ切り感が否めなかった。やはり放送尺と内容が噛み合わなかったと言うことだろうか。

あとがき

全体的に、かなりの部分を視聴者が脳内補完しないと楽しめない虫食い状態の映像作品に感じました。やはり、短編小説と言う文字情報でエッセンスを凝縮させた完成品を、映像化で再構築するのはかなり困難だってことだと思います。特に今作の3作品は時間軸を行き来する話。その今と過去の演出的な魅せ方の難しさを実感した作品になりました。
最後に、それなりに面白かったと言うことは付け加えさせて頂きます。

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  • 2016-01-07│08:54 |
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