新春ドラマスペシャル「坊っちゃん」 (2016/1/3) 感想

フジテレビ系・新春ドラマスペシャル『坊っちゃん』(公式)
『「人にも自分にも嘘をつくのだけは、まっぴらごめんです!」正直者だが破天荒な教師が繰り広げる、夏目漱石原作の痛快学園ドラマを、豪華キャスト陣で映像化!』の感想。
なお、原作小説・夏目漱石『坊っちゃん』はだいぶ前に既読。
親譲りの無鉄砲と真っ直ぐ過ぎる性格で子供の時から問題ばかり起こし、周囲からいつも問題児として扱われてきた坊っちゃん(二宮和也)。唯一、住み込みの女中・清(宮本信子)だけは立派な気性だと褒めてくれ、坊っちゃんのことを何かとかばってくれていた。
物理学校を卒業した坊っちゃんは、校長(佐藤浩市)から松山の中学に教師の口があるが行かないかと勧められる。鎌倉より遠くに行ったことがない江戸っ子の坊っちゃんだが、特に就職のあても無かったので松山に赴任することを決める。
着任早々、校長(岸部一徳)から生徒の模範になるようにと言われ、模範とはどういうことか聞く。校長の代わりに教頭(及川光博)が教えると「できません」と答えて、教師たちをあぜんとさせる。
下宿先に向かう途中、坊っちゃんは同僚の英語教師(山本耕史)が町一番の美人・マドンナ(松下奈緒)と密かに思い合っていて、しかもその女性を教頭が狙っているという話を聞く。田舎にもいろいろとあるものだと思いつつ下宿先へ着くと、なんだか隣の男(又吉直樹)が気に掛かる。
そして、いよいよ教べんを執ることになる坊っちゃん。しかし生徒たちとは、とんとうまくいかない。
やがて、マドンナの両親(小林薫・浅野ゆう子)を巻き込んだ赤シャツの卑劣なはかりごとを知り、ずるいことが許せない坊っちゃんの快刀乱麻な大暴れが学校を、街を、人々を変えていくー。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
最も評価すべきは、二宮和也さんらのキャスティング
今回は少し切り口の順番を変えてみようと思う。まず、配役。今作で最も評価すべきはキャスティングではなかったろうか。
まず、国民的高認知度のキャラクター・坊っちゃんを演じた二宮和也さん。親譲りの無鉄砲と真っ直ぐ過ぎる性格で、子供の時から問題児の江戸っ子気質の坊っちゃんをいつもながらの演技力で、語り手を演じながらの平成風にアレンジされた明治時代の坊っちゃんを違和感なく蘇らせたと思う。
また、脇役たちも実に適材適所の配置。原作を読んだのは大昔のことだが、こちらも程良く平成風アレンジが効いており、特に二宮さんとの共演が新鮮な俳優陣が揃えられたことによる、スペシャル感は正月特番に相応しかった。
方言無し、現代仮名遣いは残念だが、脚本はなかなか
続いては、橋部敦子氏の脚本について。橋部氏の脚本と言えば淡々とした台詞回しが特徴の1つで、そこが私の苦手な部分でもある。しかし、今作はそのが功を奏して、坊っちゃんの語りを含めて “明治の文芸大作” の実写テレビドラマ化した感じが最後まで踏襲されたのが良かった。
ただ、全体的に江戸っ子の新米教師が四国に行っての、東京と田舎の文化のカルチャーショック的な見所に関して、方言が使われなかったのは残念。せめて生徒たちと下宿のおばちゃんくらいは松山弁でも良かったかも。それに所々に登場した現代仮名遣いもちょっと違和感。まあ、演出も絡む問題かもしれないが。
残念なのは、既視感ある演出と大量CMでのブツ切れ編集
そして、フジテレビの大物演出家・鈴木雅之氏の演出。と、一部プロデューサーや番組編成について。まず、演出は『古畑任三郎』のレトロ感と『HERO』風の音楽の入れ方や真正面のアップとドリーによる横移動のカメラワークの多用、そして似たようなカット割りの連続に、CGのチープさも気になった。
また、大人の事情とは言え、案の定、録画でCM飛ばしで観ていても集中し難いコマーシャルの多さが、本作の最大の減点ポイント。まあ、これはジャニーズ系主役のドラマではフジテレビ定番の “悪い癖” だが、そろそろ改める時期に来ていると思う。
敢えてドラマ愛から厳しく書くが、折角、俳優陣が新鮮味を醸し出しても、演出に既視感が漂っては元子もない。また、俳優さんたちの努力、例えば左利きなのに右利きの芝居を見事にやってのけた二宮さんの主役魂にも失礼なレベルだと思う。
あとがき
全体としては、新春ドラマスペシャルらしい豪華さがあって期待以上の名作小説のドラマ化だったと思います。オリジナル解釈を取り入れたながらも原作寄りの脚本も新鮮味があったり、俳優陣はいずれも良かったです。やはり、惜しむらくは『HERO』風の既視感と大量なCMによるブツ切れ。
いくらキャストが頑張っても、スタッフが足を引っ張るのだけは避けるべき。それが、2016年のフジテレビに課せられた連ドラ成功への道の1つだと思いました。
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【これまでの感想】
TBS年末ドラマスペシャル「赤めだか」 (2015/12/28) 感想
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