映画「ラスト・ナイツ」 感想と採点 ※ネタバレなし


ざっくりストーリー
戦士の時代が終わりを迎え、悪賢い政治家がはびこるとある封建国家。高潔なバルトーク卿(モーガン・フリーマン)は強欲な大臣ギザモットから賄賂を要求されるが、断った上に刃物で切り付けたため、反逆罪に問われ、最も残忍な死罪を告げられる。
それは、自身の愛弟子であり、後継者として信頼する騎士ライデン(クライヴ・オーウェン)の手で打ち首だった。バルトーク卿は、武士の掟を全うし、我が身亡き後の一族を守れと諭して斬首されてしまう。1年後、ライデンは刀を捨て酒浸りの日々を送っているが、それは敵の目を欺き、仇討の機会を伺うためだった…
多国籍軍団による無国籍のチャンバラ風アクション映画
『CASSHERN』『GOEMON』と創る度に品質が下がる紀里谷和明監督のハリウッドデビュー作である、多国籍軍団による無国籍のチャンバラ風アクション映画。配役もスタッフも世界から集めたって感じで、彼らを最後までまとめたと言う部分では、監督として評価しても良いと思う。
「洋風アレンジの薄味忠臣蔵
~日本人俳優の伊原剛志を添えて~」って感じ
ただ、問題は作品の仕上がりだ。上のストーリーを読んでも解かるように、所謂「洋風アレンジの薄味忠臣蔵~日本人俳優の伊原剛志を添えて~」って感じ。とにかく、仇討に至るまでのストーリーが弱過ぎる。本家の忠臣蔵の四十七士のような一致団結した風でなく、ライデン1人の敵討ち風に仕上がってる。
本作の原題『LAST KNIGHTS』が示すように、どうも騎士道と武士道との違いや類似性を履き違えている節があるように思う。本作は仇討が決まるまでが、孤独な戦士の師匠への忠誠心物語に重きが置かれてしまったのが残念だし、ハリウッド映画のフィルターを通すとこう仕上がっちゃうのは止むを得ないのか。所謂「敵討ち」的な浪花節が弱い。そこがどうしても忠臣蔵と比べてしまうと盛り上がらない。
忠臣蔵を知る日本人にとっては、浪花節的な描写が無いから盛り上がらないのは、ハリウッド映画だから仕方がないとして、果たして世界の観客に、耐えに耐え忍びに忍び主君の敵を討つ “武士道精神” が伝わるのは甚だ疑問。ただ、『47 RONIN』のようなトンデモ解釈で無いだけ、日本人としては精神衛生上は気楽に観られる
映像には拘りまくりの紀里谷監督、今回はどうした?
映像には拘りまくりの紀里谷監督と言うイメージがあるが、今作はどうだろう。ダークファンタジー風と言えば聞こえが良いが、全体的に映像が暗いだけって感じだし、紀里谷監督お得意のSFX見本市も今作ではしょぼしょぼ。仇討のシーンの雪の必然性もあまり感じなかった。
序盤のモーガンが創った世界観が中盤以降も続けば…
ただ、討ち入り当日のくだりの描き方は、「洋風アレンジの薄味忠臣蔵~日本人俳優の伊原剛志を添えて~」が良い方向へ。殺陣はアクションに変わり上手い具合の洋風アレンジ。伊原剛志とクライヴ・オーウェンの一騎打ちもそれなりの迫力はある。
ただ、惜しむらくは、序盤の名優モーガン・フリーマンが創出する独特の世界観が中盤ですっかり消え去ってしまったこと。あれがもう少し持続できれば、もう少し見応えがあったかもしれない。
あとがき
お金を出して劇場鑑賞するには、正直地味過ぎます。とにかく「洋風アレンジの薄味忠臣蔵~日本人俳優の伊原剛志を添えて~」の比喩にピンと来たなら劇場で観るべき。そうでなければDVD鑑賞で十分。もしかすると、紀里谷監督がハリウッド進出に「日本」を題材にしたことこそが、彼なりの武士道(騎士道)だと捉えて、星★1つ追加。
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