「アルジャーノンに花束を」Blu-ray & DVD BOX 発売記念:第6話の新たな感想

TBS系『アルジャーノンに花束を』(公式)
2015年11月6日の Blu-ray BOX と DVD BOX 発売を記念して、全10話の中でも私が好きな第6話『孤独が天才を連れてくる…蓋された心』の新たな感想。
なお、今回は “俳優・山下智久” の応援団としての贔屓目線で綴るため、異論のある方は最初から読まない方が良いです。
咲人(山下智久)は、自分が開発した薬を梨央(谷村美月)に注入する手術を医師に提案する。遥香(栗山千明)は、自分のことを後回しにして梨央の治療に全ての時間を捧げる咲人の行動を受け入れることができない。そんな中、窓花(草刈民代)が咲人を訪ねてきた。一方、蜂須賀(石丸幹二)は、研究資金を流用した詐欺罪で河口(中原丈雄)に告訴される。手術が迫る中、咲人は自分が元に戻った後のことを考えて、準備を進める。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
全10話中、最も過激で哀れな咲人が見られる第6話
第5話で手術を受け、第6話の序盤での咲人(山下智久)の脳は着実に成果を上げており、まだ暴走をする前の状態。今思えば、この頃の咲人が “咲ちゃん” から “ロボ咲人” への衝撃的な変貌を遂げる直前の、シリーズ中で最も不安定で変化の著しい、過激で哀れな咲人を見ることが出来る。
序盤の研究室のシーンで、見るもの、触れるもののすべてが新鮮に見え、我がモノに見えてハツラツとした力強さを感じつつも、大好きだった遥香(栗山千明)のきらきら光るイヤリングをデスクの引き出しに封印する場面の悲しさが半端ない。
やはりこれまでの咲人とは違う、純粋さや透明感だけでなく、冷静さや知性まで兼ね備えた不思議な光を放ちつつも不安定な眼差しの咲人を、“俳優・山下智久” がしっかりと魅せたこのオープニング。特に、咲人のこの心の声が、のちの「人間にとって知性と感情、そして幸福とは何か?」と言う本作の大きなテーマに結び付くのが印象的だ。
咲人「もう、何度も心の中で繰り返している。
これは大したことじゃないと。
好きな女性が別の人を好きだった。
ただ、それだけの話だ。
理性の力で心に蓋をすれば良い。
そうすれば、この痛みも時間と共に消えていくだろう。
そう、心に蓋をすれば良いわけだ」
咲人は “花束” で咲ちゃんになる…
咲人が母親の窓花(草刈民代)の家を訪れるシーンも、何度観ても恐ろしい。以前も書いたが、上質なサスペンス映画でも見るような雰囲気が漂う。心に暗ーい闇を抱えているにもかかわらず外見はイケメンな咲人が花束を持って窓花の前に立つ。放送前は咲人をイケメンが演じることへの賛否両論があったが、それが全く意味のないことだと思ったカットだった。
そして、今思えば、この玄関先で花束を渡す時に咲人が「ママ」と言うが、最終回で咲人がアルジャーノンに捧げる花束と重なるのだろう。きっと咲人にとって “花束” は “蘇り” や “回帰” と言った意味があり、第9話でアルジャーノンの死体の箱の上に蒔いた花の種や、最終回での「Lucas's Burger」の店のデザインなど、咲人は “花束” で咲ちゃんになる…そんなことはないだろうか。
「僕にとっては時間の無駄なんです」の本当の意味…
本放送の感想で触れなかった、咲人が梨央(谷村美月)に別れを告げ恋愛指南をするシーン。ここで再び「心に蓋を」の台詞が登場する。
梨央「私はあなたと一緒にいるだけで、
何と言うかすごく幸せで…」
咲人「非合理的。報われなくても良いなんて、
余りに非合理的ですよ」
梨央「報われなくたって良いって言う
恋愛感情だってあるんです」
咲人「片思い。蓋をすれば良い」
梨央「蓋を?」
咲人「心に蓋を。理性的であれば出来ることです」
この会話を聞くと、咲人は決して自分が感情を表に出すことが理性的でないと言う考えでなく、合理性の乏しい言動に不潔とも似たような異常な嫌悪感を抱き、それを自身の中から排除する最適な方法として「心に蓋を」することを選んでいる。
進化と崩壊の同時進行が絶妙に描かれた印象的な2シーン
理論尽くめを自己防衛力にして、相手を論破して自己保身。これが、このあとに登場する怪物 “ロボ咲人” に繋がる訳だが…
最後に「僕にとっては時間の無駄なんです」と席を立つ咲人の表情が少しだけ和らぐのが見えた。もしかしたら、この時点で咲人の中に自分には梨央よりもっと「時間」が無いことを感じていたのかもしれない。頬の僅かな緩みで演技が良い。
そして物語は、「お前は誰なんだ?」と聞く檜山(工藤阿須加)に「質問の意図が解かりません」と答える咲人へ繋がる。上のシーンと共にこちらも進化と崩壊の同時進行が絶妙に描かれた印象的なシーンだ。
2人の俳優の眼差しの演技対決
蜂須賀「解かるね。人は対等では無いんだ」
咲 人「対等では無い?」
蜂須賀「価値が違うと言い換えても良い」
咲 人「価値が違う?」
蜂須賀「君は素晴らしい価値を持った人間になったんだ。
生まれ変わって称賛を受けるに値する人間に」
咲 人「先生」
蜂須賀「私は誇らしい。自分の息子のことのように嬉しいよ」
咲 人「はい、先生」
終盤の学会の楽屋での咲人と蜂須賀のこの会話も、改めて見てみると、内容こそ恐ろしい蜂須賀(石丸幹二)による咲人への恐怖の洗脳だが、この2ショットのシーンは2人の俳優の眼差しの演技対決にもなっている。見つめ合う2人の男、人間、父と息子、先生と教え子の関係が異常に過激に変化していく怖さが見事に演じられていた。
あとがき
ラストの学会のステージ袖で、「そっちに行っちゃダメ」と泣いて咲人を止める遥香に対し、冷静に「時間です」とステージへ上る咲人の冷静で恐ろしい表情、そしてステージ上で称賛とスポットライトを浴びても満足なのか見えてこない無表情の咲人と、背後のスクリーンに映る咲ちゃんの印象的なカットで終わる第6話、ホント、盛りだくさんですね。“俳優・山下智久” も絶好調って感じも良いです。
放送終了から半年近くなりましたが、何度観直しても新たな感動が押し寄せてきます。2015年11月6日に Blu-ray BOX と DVD BOX が発売されます。【Amazon.co.jp限定】のオリジナルトートバッグ付もありますので、まだ予約をされていない方、下記のリンクからどうぞ。もちろん私は Blu-ray BOX へポチッと済んでます。
そして、忘れてはいけないのが、『5→9~私に恋したお坊さん~』の星川高嶺役ですね。脚本の中途半端さと演出のブレでイマイチ状態が続いていましたが、今週の第4話ではかなり良い感じになりました。山下さんの細かな演技にも目が行くようになって良かったです。
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TBS系 金曜ドラマ「アルジャーノンに花束を」オリジナル・サウンドトラック
アルジャーノンに花束を〔新版〕(ハヤカワ文庫NV)
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【これまでの感想】
第1話 第2話 第3話 第4話 第5話 第6話 第7話 第8話 第9話 今からでも間に合う完全ガイド 第10話/最終回 アルジャーノンに花束を:Web拍手への御礼と最終回の新たな感想
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