コウノドリ (第3話・10/30) 感想

TBSテレビ系・金曜ドラマ『コウノドリ』(公式)
第3話『風疹で…2つの手が繋ぐ奇跡』の感想。
なお、原作漫画:鈴ノ木ユウ氏の『コウノドリ』は未読。
10年前にサクラ(綾野剛)が出産に立ち会った加奈子(石田ひかり)が、娘・遙香(山田望叶)を連れて病院を訪れる。ピアノが大好きな遙香は「先天性風疹症候群」で生まれつき目が不自由だ。そのことを知った加奈子の夫の知人がテレビ出演を依頼。遙香は乗り気だが、加奈子は気が進まないという。一方、四宮(星野源)の担当する妊婦・法子(山田真歩)が、喫煙が原因による「常位胎盤早期剥離」を起こし、緊急手術に入る。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
第3話で “同僚役” に、一歩踏み込んだのは大成功
今回も、周産期医療の現在の数多くの問題と言う思い命のテーマを、視聴者に厳しい現実を描き教えて啓蒙しつつ、連ドラとして心地良い余韻を残してくれる仕上がりになっていた。そこで、医療のことについてはあとで書くとして、まずは、今回が連ドラの第3話として良かったことを書いてみる。
過去2話も決して、主人公サクラ(綾野剛)だけを突出して描いている訳ではないが、今回はサクラの天才ピアニストであり産婦人科医と言う部分で1時間を外側からサンドイッチして、脇役(と言うより “同僚役” と言いたい)の四宮(星野源)と今橋(大森南朋)にスポットを当てた。
私は、第3話と言う早い段階で “同僚役” にもう一歩踏み込んで描くのを選択したのは大成功だと思う。普通なら綾野剛さん初主演ドラマだから綾野さん人気に乗っかってサクラ中心の話でも良いところを、敢えて四宮と今橋を描くことで、彼らのこれまでの2話と今後の展開に広がりや深みが出て来ると思うから。きっと、第3話でやったことがあとあと効き目を表すと思う。
よくぞ採り上げた「安定期だから “マタ旅”」
さて、今回幾つか描かれた今の周産期医療の抱える問題について。まず、冒頭の「安定期だから “マタ旅”」のくだり。これ本当に多いそうだ。東京ディズニーリゾートで産気づく妊婦が浦安市周辺の救急病院に年に何人も救急搬送される。これは知り合いに聞いた実話だが、九州から東京ディズニーランドに安定期だと言う夫婦が遊びに来て、そこで超未熟児を出産することになった。
当然、母子共に転院不可で数か月お母さんと赤ちゃんは千葉県のNICUに入院が決定。ご主人は九州から度々お見舞いなんて来れないし、そもそもNICUにいる妻と我が子を放っておけないと、会社に長期休暇を申請し近くのホテルで1か月以上暮らし、結局会社を辞めることになったと言う。これが安定期を過信した夫婦の現実。よくぞ本作で採り上げてくれたと思う。
「四宮、木村さんは5年前の患者とは違うよ!」
そして、喫煙が原因による「常位胎盤早期剥離」のくだりもよくぞ描いてくれたの一言。特に良かったのは、サクラが四宮に「四宮、木村さんは5年前の患者とは違うよ!」と強く厳しくも冷静に且つ優しく四宮のトラウマを解きほぐそうとするシーン。
この台詞1つで2人の5年間の関係が、そして術後の会話で四宮の今の医療スタイルの根源が手に取るように見えた。一度犯してしまった失敗は次の患者に生かすしかない医師の複雑な厳しさと苦悩と喜びを上手に表現したと思う。
また、医師同士も医師と患者を妙な対立構造にせず、新たな命に真正面から向き合う人間同士として描く本作、ホントいいドラマだ。
コミカルとシリアスが見事に融合したピアノ連弾
そして、今回メインの遙香(山田望叶)のエピソード。中でも新生児科の部長で周産期センター長である今橋が、加奈子(石田ひかり)に子供の将来についてアドバイスするくだりで、妊娠と出産だけでなくその後のことまでも配慮する今橋のドクター魂が垣間見れたも良かった。
そして、何よりコミカルな部分とシリアスな部分が見事に融合していたのが、サクラと “BABY” と遙香のやり取り。サクラ自身の過去と遥香を重ね、天才ピアニストで産婦人科医と言う特殊なキャラを十分に活かしたライブハウスのシーンは圧巻。やさしさと力強さが滲み出た本作ならではシーンだった。
あとがき
最後の最後に、遥香の言葉で風疹の予防接種を促し、若菜(佐藤栞里)自身が海外旅行を思い直したりと、後味の心地良さも最高でした。
シリアスだし、医療ジャンルは絞り込まれているし、遊び心が少ないため、好みが分かれる作風だと思いますが、周産期センターを「病棟」でなく「健康棟」として描こうとしている本作を、私は今後も応援したいです。次回も大いに期待します。
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コウノドリ(1)
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