[読書] 見てすぐわかる犯罪地図 なぜ「あの場所」は犯罪を引き寄せるのか (小宮 信夫/著・青春出版社) 感想

「犯罪機会論」とは「機会が無ければ犯罪無し」のこと
本書は、「機会が無ければ犯罪無し」と言う「犯罪機会論」に注目し、どのようにして個人や地域や社会全体が犯罪が成功しそうな雰囲気を作らずに、未来の犯罪を防ぐかについて書かれている。で、犯罪が成功しそうな場所とは何か?(犯罪者が)目的を達成できて、しかも捕まり難そうな場所だと言う。
「景色解読力」を身につける
そこを、犯罪者は見つけて犯罪を起こす。従って、犯罪者に選ばれやすい場所を減らし、選ばれにくい場所を増やす。そのための「危ない場所」を見抜く「景色解読力」を身につけると良いそうだ。
具体的には、『序章:見てすぐわかる犯罪地図 危ないのはどちらか?』で地図やイラストを使い、今の自分の「景色解読力」を判断できる9つのテストがある。
多くの読者は正解すると思うが、『第三章:「景色解読力」で危ない場所を見抜く』で、実際に発生してしまった事件現場の写真と解説を読むと、より犯罪者の視点で「選びたくなる場所」が見えてくるようになる。
次は、「地域安全マップ」づくり
そして、本書はそれなりの「景色解読力」を身につけた上で、「地域安全マップ」づくりを推奨する。ただ、地図の作成はオマケで、大事なのはマップづくりに参加する人たちの犯罪への意識高揚と言う。特に、子どもたちを巻き込んでのマップづくりは、子どもたち自身の犯罪への意識が高まり有効性が高いそうだ。
「うち」意識を上手に利用して、未来の犯罪を防ぐ
「うち」意識とは、自分の所属集団を「うちの家」「うちの会社」「うちの学校」などと呼びつつ、そこに自分の居場所を見いだし、そこを安心感や安定感の源泉とすることである。
これとセットになっているのが「よそ」意識である。それは、自分の所属集団の外側にいる知らない人(=社会一般)に対して、自分とは無関係と考え、それゆえ無関心・無責任になることである。 ※P.150より引用
確かに、日本人には「うち/よそ」の二分法が鮮明だと思う。しかし本書によれば、西洋でのそれは「個人/社会」の二分法だと言う。そして、この「うち」集団の内部には同調プレッシャーが強く、外部のルールが届きにくい性質があり、それが犯罪抑止にもなるし誘発することもあると言う。
自分の実際の町内会や会社や学校などを思い返してみると、何となく納得できると思う。この「うち」意識を上手に利用して、未来の犯罪を防げないものか?と、本書は締め括られる。
あとがき
前半の犯罪を引き起きしやすい場所の話と、後半の「うち」意識の話が、今一つ連携させていないのが残念です。しかし、著者の言わんとしていることは脳内補完できます。是非、みんなで「景色解読力」を身につけて、「うち意識」を活用して自らや身近な人たちを守る環境をつくりたいと思いました。
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