映画「キングスマン」 感想と採点 ※ネタバレなし

映画 『キングスマン』 （公式）を本日劇場鑑賞。採点は、 ★★★★ ☆ （5点満点で4点）。100点満点なら85点にします。

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ざっくりストーリー

ロンドンの高級スーツ店 “キングスマン” の実体は、何処の国にも属さない世界最強のスパイ機関だ。中でもブリティッシュ・スーツをスタイリッシュに着こなす紳士ハリー（コリン・ファース）は、凄腕のエリートスパイ。

ある任務で仲間が殺害され、ハリーは街の不良少年エグジー（タロン・エガートン）にスパイの素質を見出し、候補生に抜擢する。実は、エグジーの父もスパイ活動中に命を落としたキングスマンの1人だったのだ。

そんな中で、巷では科学者や富豪や政治家たちの失踪事件が頻発していた。事件の首謀者のヴァレンタイン（サミュエル・L・ジャクソン）は、両足が凶器の部下の女ガゼル（ソフィア・ブテラ）と共に、恐ろしい地球救済と言う名の人類抹殺計画を進めていた…
※R15+

スタイリッシュでクールで馬鹿げてて、
シュールでイカれた英国紳士大活躍のスパイ映画

監督のマシュー・ヴォーンは『キック・アス 』で殺りくのヒロインと言う奇想天外なヒーロー映画を見せてくれたが、本作は更に英国紳士らしい優雅さを加えて、爽快感と痛快さを進化させた映画に仕上がっている。

とにかく、本作の見所は英国人オスカー俳優コリン・ファースがキレッキレのアクションを魅せてくれること。パブで街のチンピラたちを蹴散らす場面で驚くのはまだ早い。教会での大虐殺アクションのシーンは、まるで社交ダンスでも楽しむかのような動きとリズミカルなカット割りで見とれてしまう程のクールな美学を魅せる。世界征服を企む

また、ヴァレンタインの部下で両足の義足が凶器になってる女殺し屋のアクションは、ジャズダンスのようなバレエの優美さとバランス感覚が見事にポップな映像に仕上がってる。

いろいろな名作映画へのオマージュも楽しめる

また、本作は一方で英国の階級社会下での様々な階級抗争を描いているのだが、ハリーは古い貴族社会の弱体化を知っているかのように、自らの組織にエリートでなく労働者の家に生まれ育ったエグジーを迎え、新時代のスパイ組織を再構築しようと、スパイや英国紳士のすべてを一から仕込むくだりが面白い。

靴、ライター、ピンキーリング、傘、ライター、万年筆などの英国紳士御用達のアイテムなどには映画『007』風の楽しさが詰まってるし、何より台詞の中で「映画」と言う単語が実にたくさん登場する。

考えるだけで頭が爆発する人間が登場する映画『スキャナーズ 』を思い出させる花火大会のようにポップでリズミカルな大量殺りくシーンや、映画『シャイニング 』っぽいエグジーの母の恐怖の行動など、80年初頭のホラー映画テイストのシュールさやイカれた感じも上手に現代風にアレンジされている。

悪趣味だが、優雅で爽快感で痛快さは半端じゃない

とにかく悪趣味さなら『テッド2』にも引けを取らない場面が散りばめられているのに、先にも書いた英国紳士の優雅さが加わったお蔭で、爽快感と痛快さが半端ないスパイ映画に仕上がっている。

エグジーの亡き父とハリーとの過去のくだりや、ハリーとエグジーの信頼感、エグジーの成長物語も必要最小限の引用で、決してお涙頂戴になっていないのも、あくまでスパイ映画であることを前面に押し出してのことだろう。

ただ、“シュールでイカれた” が少々度が過ぎて、観る人によっては人間の命を軽んじて描いているように見えるかもしれない。そこのエグさも本作の魅力なのだが、万人ウケするかと言うとちょっと厳しい面もあるから、星★4つに留めた。

あとがき

スタイリッシュでクールで馬鹿げてて、シュールでイカれた英国紳士大活躍のスパイ映画。ブラックジョークを軽ーく超えちゃう悪趣味さも満載。でも、優雅で爽快感で痛快さは半端じゃないし、テーマも人間ドラマもしっかりある。
但し、少々人命が軽んじて描かれいるので、そこが気にならなければ、スカッとするには最良の映画です。

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