[読書] 図説 中世ヨーロッパの暮らし (ふくろうの本) (河原 温,堀越 宏一/著・河出書房新社) 感想

事前知識無しでも、中世の暮らしの全体像が見えてくる
中世の絵画や、中世を舞台にした映画などは触れる機会が多い。しかし、実際の中世ヨーロッパの人々の暮らしがどんなものだったのか無学で知らなかったため、書店で探して見つけたのが本書。
当時を描いた絵画だけでなく、図説も多く、地形や建物については多くの写真が添えられており、細かい説明を読まなくてもビジュアルだけでも、何となく全体像が伝わってくるように書かれている。
そのため、私のように中世ヨーロッパにほぼ無知な状態でも、ざーっと読むだけで当時の人々の暮らしの全体像が見えてくる。そして、全体像が見えると、興味を持つジャンルが出てきて、更に細部を熟読する。そんな何度も何度も読み返して理解が深まり、また飽きないのが本書の良いところだ。
彼らが宗教に向かっていった気持ちが見て取れる
中でも興味深く読んだのが、第3部「中世人の日常」の中の第7章「中世の人々の一年と一生」だ。中世の人々の一年間の暦を例に、当時の人たちが如何に宗教と密接な生活を送っていたのかが良く解かる。また、誕生から結婚、家族と死についての捉え方も強く宗教の影響を受けていたことも見えてくる。
更に、飢餓や疫病や火災、民衆の反乱や戦争と言った恐怖にいつも怯えて暮らしていた時代。そんなやるせなかったり無気力になりそうな時に、宗教に向かっていった彼らの気持ちも解かる気がした。
あとがき
かなり専門的な言葉も登場しますが、説明が豊富なのである程度の歴史の下地があれば読めると思います。と言っても冒頭で書いたように、専門知識ゼロの私でも楽しく最後まで読めましたので、タイトルに興味を持てれば大丈夫です。とにかくざっくり中世ヨーロッパの暮らしを知りたい人に丁度良い内容だと思います。
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