ナポレオンの村 (第1話 初回25分拡大・7/19) 感想

TBS系日曜劇場『ナポレオンの村』(公式)
第1話・初回25分拡大『この村に不可能はない!消滅寸前の限界集落でスーパー公務員が奇跡の村おこし』の感想。
なお、原案:高野誠鮮氏の『ローマ法王に米を食べさせた男 過疎の村を救ったスーパー公務員は何をしたか?』は既読。読書感想の記事はこちらです。
都庁のエリート職員・浅井(唐沢寿明)は限界集落を復活させる事業に取り掛かるため、東京の西、星河市にある神楽村に乗り込む。警戒した市長の福本(沢村一樹)は職員の由香里(麻生久美子)に浅井の監視役を命じる。間近に迫った祭りの担当を任された浅井だが、予算はわずか1万円。村人の登美子(大谷直子)がすく和紙に目を付けた浅井は、和紙とろうそくのランタンを夜空に飛ばす「スカイランタン」を祭りの目玉にしようとする。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
第1話を観て感じた「5つの良かったこと」
原作小説を既読の私としては、いろいろ書きたいことがあるが、まずは、連続テレビドラマとして第1話を観終えた率直な感想は、以下の「5つの良かったこと」だ。
●原作小説を上手にテレビドラマ向けにアレンジしている。
※この件は、下に詳しく書く。
●自然豊かな日本の原風景を観られて気持ちが良い。
●主人公が明るく前向きで、しなやかに問題を解決する姿が清々しい。
●住民同士の絆、家族の絆、同僚たちとの絆など家族で観るのに適している。
●日曜日の夜に、月曜から自分も小さいことからやってみるかと思わせる内容。
その他にも、俳優陣が役柄をピッタリ合っているのも良かった。また、全体の描写が丁寧だから、物語の世界にすんなり入って行けたし、適度な第三者目線でも楽しめるドラマらしいクライマックスまでの道のりなど、予想よりもだいぶ連ドラとして楽しめそうな気がした。
後出しばかりになりそうなのが心配だ
では、逆に残念だったこともある。例えば、浅井(唐沢寿明)が神楽村に来た理由や、福本市長(沢村一樹)が廃村にしたい理由やそれなのになぜ当選したのかや、村民たちの考え方や日常生活あたりの描写が足りないこと。特に浅井と福本市長の言動の根拠が第1話で明確に描かれなかったと言うことは、後出しになるのは必至だ。
正々堂々と浅井と村民たちの改革を描いた方が良い
今回を観ても、浅井が1人で勝手に興奮して行動して、村民たちもそれに乗っかって、結果オーライになった感じが否めない。となると、浅井の行動による「成功」も浅井と福本の「言動の根拠」もすべて後付けになる訳だ。妙な秘密隠しは止めて、浅井と同じに正々堂々と浅井と村民たちの改革を描いた方が良いと思う。
敢えて、原作小説と本作を比較してみる
基本的に原作と映像作品は比較しない立場だから、第1話の記事にだけ原作との違いに少し触れてみる。従って、原作はどうでも良いと言う人は「あとがき」直前まで飛ばして下さい。
原作小説は、こんな感じ
原作小説は、主人公のスーパー公務員が限界集落の村興しのために、大胆で奇抜なアイデアを強烈な実行力で成し遂げる話。読み所は、主人公がその村を廃村にしたい市長と、超保守的で新参者や新しいことを受け入れたくない村民たちの気持ちを「なるほど」と思わせるやり方で、村だけでなく村民(市長も)の心まで改革を成し遂げてしまうところ。
本作は “主人公に改革される村民たちの心” が薄め
では本作はと言うと、主人公のスーパー公務員が限界集落の村興しを大胆で奇抜なアイデアを強烈な実行力で成し遂げる骨格は同じだ。しかし、本作では「主人公とその仲間たちVS市長」言う対立構造を明確に且つ全面に打ち出している。そのために原作にある “主人公に改革される村民たちの心” が、やや脇に追いやられている。
まあ、ドラマチックと言う意味では、悪代官(市長)と貧しい村人と助っ人と言う対立構造を主軸に構成した方が面白さは容易に創り出せると思うが。
主人公の施策の面白さより、結論の面白さを目指してる
原作、いや浅井(唐沢寿明)のモデルとなった実在の高野誠鮮氏の行動は村の埋もれた魅力を徹底的に調べ上げて生み出したアイデアで、村民や市長の心を少しずつ変えていった。その変化の過程が本作ではやや雑に描かれているのが、原作を知る者としてとても残念だ。
要は、感動的な着地点に持ち込むために、主人公と村民との対峙はかなり薄められ、第1話から村民たちが主人公の味方になりすぎているのだ。まあ、テレビドラマだから主人公の施策の面白さより結論の面白さを選択したと言うことだろう。
今後は、お涙頂戴だけが前面に出ないことだけを願う
1施策1話完結と言う構成は悪くないと思うし、高野氏の改革の肝は、大胆さでなく1人ずつ丁寧に接して心を変えていったこと。そして、自分自身と自分の村が一番だと言う自信を取り戻させたこと。このドラマは原作の大事な部分は外れていない。従って、今後はお涙頂戴だけが前面に出ないことだけを願う。
あとがき
原作とは一味違った物語に仕上がっていましたが、『日曜劇場』としては前作同様に丁寧で感動的な作品になっていて安心しました。この類の結果の面白さで魅せる作品なら、謎の小出しや後出しは止めて、直球勝負が良いと思います。次回に大いに期待します。
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