[読書]「感染症パニック」を防げ! リスク・コミュニケーション入門 (岩田健太郎/著・光文社) 感想

個人で出来る有効な感染対策は、良くうがいと手を洗いをし、栄養を取り健康な体づくり、咳エチケットを徹底することだそうです。詳しくは「あとがき」で。
感染症対策の本ではない。感染報道の在り方を考える
本書は、最近世間を賑わせている韓国でのMERS感染を始め、デング熱、エボラ出血熱、SARSなどの感染症の解説や対策本ではない。むしろ、「感染症が流行している」と報道機関が発するの報道で世間がパニックにならないための、医療従事者や関係機関の正しい情報発信の方法が、実践例と共に説得力ある文章で書かれている本だ。
情報は伝わる過程で変化していく
感染症と言う、迫りくるかもしれない「恐怖」をどのように捉え、如何に「見えない恐怖」を効果的に多くの相手に伝えるか?これが、リスク・コミュニケーション。病院が報道関係者相手に記者会見をする際、報道機関が視聴者や読者にニュース報道をする際など、情報は伝達する過程で残念ながら変化してしてしまう。
効果的なリスク・コミュニケーションの方法
筆者は、効果的にリスク・コミュニケーションを可能にするには、以下の3つが重要だと述べている。リスクを減らし、不要なパニックを誘発させないようにしながら、必ず結果出す方法だ。
・だれが聞き手なのか?
・状況はどうなっているのか?
・なんのためにやっているのか
自分の意見を、相手に正確に伝える方法
実は、この3つは、人と人とのコミュニケーション全般に言えることだと解かる。そう、本書は単に感染症パニック防止論だけでなく、一般的なプレゼンテーションにも役立つ「語り方」「資料の作り方」にも話が及ぶの面白い。
あなたに、世界を震撼させるようなプレゼンの機会は滅多になくても、ここ一番と言うプレゼンは日常にあると思う。そんな人へのアイデア本としても役に立つと思う。
あとがき
まず第一に、本書を全報道関係者に読んで欲しいです。まるで感染症パニックを期待しているがごとくな興味本位なニュースや、頭を下げている映像だけを垂れ流す謝罪会見など、受け手の処理能力を完全に無視した一方的な報道を変えないと、いつまで経っても不要なパニックは減らないと思います。
もちろん、個々の感染症がどんなものかは書かれていませんが、過去に実際に発生した「感染症パニック」を例に、どうやってパニックが広がるのかのくだりは、医学や報道に無関係の人でも十分に勉強になります。また、本書を読んだ後は、ニュースや記者会見を見る目が少し変わるはずです。
私のおすすめ番組は、TBS『ひるおび!』内での医師で元厚生労働省医系技官の木村盛世さんのコメントです。国や政府に歯に衣着せぬ発言は、今の韓国のMERS感染報道の失敗と今後の日本の報道についての考え方です。国民に隠さず正確に過剰反応せず体の弱っている人への感染を防ぐ。それをやりなさいと。
因みに木村さん曰く、個人で出来る有効な感染対策は、良くうがいと手を洗いをし、栄養を取り健康な体づくり、咳エチケット(咳エチケット - 厚生労働省のPDF)を徹底することだそうです。マスクは効果が医学科学的に証明されていないため過剰に着用する意味はないとのことです。
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