アルジャーノンに花束を (第9話・6/5) 感想

TBS系『アルジャーノンに花束を』(公式)
第9話『終幕…対等のトモダチとの永遠の別れ』の感想。
なお、原作小説:ダニエル キイス『アルジャーノンに花束を』は確か読んだはず。過去の映画やテレビドラマも数本鑑賞済み。
服用した薬「ALG」の副作用の恐れを知った咲人(山下智久)は、効力の退行を防ぐために、蜂須賀(石丸幹二)と共にその改良に取り掛かる。2人が出した結論に遥香(栗山千明)ら研究員たちは驚きを隠せない。一方、檜山(工藤阿須加)と鹿内(勝矢)が、ドリームフラワーサービス内でけんかをしている姿を目撃した竹部(萩原聖人)は激怒。その夜、竹部はなぜこの会社を始めることにしたのかを柳川(窪田正孝)らに明かし…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
“俳優・山下智久” の成長や存在感に驚きと称賛
ここ数話で “俳優・山下智久” の成長や存在感に驚きと称賛がしたくなるシーンが増えている。その中の1つが、例えば花屋での喧嘩のシーン直後、咲人(山下智久)が咲ちゃん時代の自分の映像を見るシーンだ。
これまでは、咲ちゃんを見る目は蔑んだ冷たい目線だったのだが、咲人の進化と退行のバランスの変化で、冷静の中に優しさや温かさや問いかけのようなものを感じるようになった。大きく開いた眼だけで魅せる咲人の変化。実に良い。こちらの心にしっかりとそれが届くのが。
そして、亡き父の久人(いしだ壱成)の「お前には愛嬌があるじゃないか。あいきょでしょ」の回想を挟んでのシーンもそう。。さて、咲人はあの親しみ感溢れる愛嬌を取り戻せるのか、友だちとの関係は?喧嘩のシーンと合わせて、何かが始まる予感を上手く漂わせたプロローグだった。
竹部の優しさと厳しさの原点が見えた素敵なシーン
竹部「本当にくだらねえ。そうやって人生を、
そう言うつまんねえことで人生を棒に振る、
つまんねえ人生、ちっぽけな命だな。
いいよ、やれよ、ここで殺し合え」
今回はとにかくツカミが良い。まだメインタイトル前なのに竹部社長(萩原聖人)のこの喧嘩する2人に向かた怒りと教えの言葉も素晴らしい。このあとの「君の勝ちだ」と自信ありげに語る笑顔の咲ちゃんを評価する咲人が、これから自分の小さな命をつまらない人生で終わらせない決意をしたように魅せる流れ。
そして、あの竹部が疼く古傷の話は衝撃的だった。先の怒りの言葉の意味はもちろん、これまでの竹部の咲人への優しさや咲人の家族への思いが繋がった。「(人は)同情するふりはする」と思っていた竹部に “優しさの種” が蒔かれた人生の分岐点。正に最終章の第9話に相応し、物語のキーマンらしい素敵なシーンだった。
柳川のやるせない気持ちが悲し過ぎる…
遥香(栗山千明)が柳川(窪田正孝)に咲人の退行の可能性を初めて打ち明けるシーンの緊張感も半端無かった。「本当に時間との戦いなの」と告げる遥香の後ろ姿に、何もできない自分に怒りにも似た絶望感の柳川。前回での軽トラでの咲人と柳川の友情を確認するシーンを重ねると、柳川のやるせない気持ちが悲し過ぎる…
複雑な咲人の心情が痛い程伝わった
そして、自分の運命を「タイミングが悪過ぎる」と捉える咲人。愛する遥香への分析も実に冷静沈着に見えて、優しさに溢れていた。もうロボ咲人ではない。遥香の愛を受け入れ受け止めた上で、友だちや遥香を同時に大切に愛したい、しかし自分にはやることが多く時間は無い。そんな複雑な咲人の心情が痛い程伝わった。
小久保とアルジャーノンの関係に泣いた
本作で、竹部社長に次いで、影のキーマンだと思っていた小久保(菊池風磨)がアルジャーノンへの気持ちを吐露した森でのシーンも印象的だった。小久保が唯一の友だちとしてアルジャーノンを可愛がる繊細さの秘密が解かったような。墓に土をかけ手を合わせる咲人たちにジーンときた。そして、すべては繋がっている…
このような遥香の咲人への愛を魅せるシーンが良い
遥香「それが、私が咲人さんに惹かれた
本質的な部分でもあるんですから」
遥香が咲人の母・窓花(草刈民代)に思いを打ち明けるシーンも素敵だった。「彼と私を助けて下さい」と自分のプライドなどすべてを捨てて懇願する本気モードの遥香。このような咲人への愛の気持ちを映像で魅せるシーンがもっとあったら、本作の完成度ももっともっと高まったと思う。もちろん、今でも十分名作であるのは間違いないが。
あとがき
ラストの咲人が檜山(工藤阿須加)と抱き合い、柳川が小さく頷くシーンがとても素敵でした。男3人、いや3人の人間たちの厚い信頼と友情を確認し合ったのに心が揺さぶられました。そして、窓花が遥香の肩にそっと触れるインサートカットも印象的。
そして、最後の最後に見せてくれた、咲人の「あいきょでしょ」のシーンは、何とも言えない悲しさの中に溢れる明るい未来を感じさせた名シーンと言って良いのではないでしょうか。
もう、最終回の予告編は恐ろしくて目を覆いたくなりました。どんなラストが待っているのか。楽しみと言うより、ただ咲人たちを最後まで見守りたい、そんな気持ちでいっぱいになりました。
今回も、長い駄文を最後まで読んで下さり、ありがとうございました。
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