アルジャーノンに花束を (第5話・5/8) 感想

TBS系『アルジャーノンに花束を』(公式)
第5話『輝く世界の果てに待つ愛奪われたキス』の感想。
なお、原作小説:ダニエル キイス『アルジャーノンに花束を』は確か読んだはず。過去の映画やテレビドラマも数本鑑賞済み。
術の効果で知能と心が急速に成長し始めた咲人(山下智久)は遥香(栗山千明)への思いを募らせる。柳川(窪田正孝)や檜山(工藤阿須加)は、咲人の見違えるような変化に驚く。さらに、蜂須賀(石丸幹二)から車を贈られた咲人は、自動車教習所にも通い始める。梨央(谷村美月)は、遥香との初ドライブを楽しみにする咲人の姿に胸を痛める。一方、遥香は咲人の恋心が以前のように無邪気なものでないことに気付き、困惑する。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
もう少し咲人以外の部分をコンパクトに描いても…
相変わらず、梨央(谷村美月)のくだりや、蜂須賀(石丸幹二)と遥香(栗山千明)のくだりが、必要以上な尺で描かれ、「咲人の数奇なる人生」をややブツ切れ状態にしているのは気になる。まあ、物語に深みを増すためとは理解できるが、モノには程々がある。もう少し抑えてくれたら。
まあ、最後には何とかまとまったので、今日のところはこの位にしておこう。なぜなら、今日は書きたいことがたくさんあるから。私を含め読者さまも脳内編集機能フル活動で、無駄なシーンは削除しつつ読んで頂きたい。
咲人の初受注のシーンにビビッと来た
まず、ツカミの2分半で描かれた咲人(山下智久)が初めて電話で花の注文を受けたシーンにビビッと来た。特に前回とはまるで別人のような集中力を感じさせる眼(あえて “眼差し” の意で)とその表情から醸し出される咲人が、「数奇なる人生」を歩み出しことの提示が上手かった。
更に「初受注成功」と言う社会人としての成長まで描き、テレビの前の視聴者のどれだけの人が、竹部社長(萩原聖人)らと一緒に拍手を送ったことだろう。これぞ、登場人物たちに共感できる楽しさだ。そして今回の “俳優・山下智久” の眼の芝居の鋭さと的確さに、私は驚きの連続になる…
「誤解」と「成長」。頭と心の年齢差が生み出す妙
そして、今回の2つのメインキーワード「誤解」と「成長」が登場した脳生理科学研究センターでの咲人と蜂須賀(石丸幹二)との会話も衝撃的だ。ここまで僅か10分。今回は展開も速く、観ているこちらの脳も活性化される感じだ。本題に戻そう。
この先に訪れる自分をかく乱させようと攻め込む蜂須賀を本能的に感じているかのような、咲人の「誤解」の少し手前の「困惑」と「挑戦的」な眼差しがとても印象的なこのシーン。しかし直後には、「ごめんなさい」と蜂須賀の息子の死を知った時の咲人は素直な少年に。
とにかく今回の咲人はめまぐるしく「誤解」と「成長」の大きな渦に飲み込まれていきつつ、あのクルマのキーを受け取ったことで、悪魔の手中に収まってしまったような恐ろしさを上手く描いたと思う。「自尊心の憤り」なんて偉そうに言う蜂須賀に負けるな、咲人。
今回も物語に揺さぶりをかける竹部社長が気になる
竹部「頭良くなったから、あいつ、一丁前に」
竹部「もし、あんたにその気が無いんなら、
あいつをちゃんと振ってやって下さい」
竹部「今のあいつなら、ちゃんと受け止められると思います」
毎回、数は少ないが竹部社長の言葉に注目してしまう。咲人を純真無垢のままの子どものままにしておき(やり)たい思うからこその “優しい言葉” であり、今や脳だけが急速に成長し心は子どものまま状態の咲人にとっては、“過保護な親心” にも映るのが巧みな台詞。成長は嬉しいが傷つくのは見たくないから…
そして、頭が良くなることで竹部自身の手から遠くに行ってしまうかもしれない淋しさや怖さや不安感を、「あいつなら」と自分に言い聞かせている点も見逃せない。やはり、竹部の台詞には今は亡き咲人の父・久人(いしだ壱成)の父親の魂が宿っているに違いない。
悪魔の心が動き出した蜂須賀と思春期真っ最中の咲人
研究センターのスポンサーである「興帝メディカル産業」河口社長(中原丈雄)に学会発表を煽られ窮地に追い込まれた蜂須賀の悪魔の心がついに大きく動き出す。それに蜂須賀からの突然のキスで冷静になった遥香は、咲人への母心と恋心の芽生えに気づく。咲人の出現で人生を翻弄されるこの2人も気になるが…
もっと気になるのは、梨央(谷村美月)をドライブデートに誘った咲人だ。「そう言って、皆嘘をつくんですね」と笑顔が消え冷酷な眼差しの咲人が印象的。そして「本当のキスは…」と混乱する咲人は正に思春期の一方的な愛であり性的欲求。それを梨央との抱擁、そして2人の涙とキスで美しく誤魔化したのも本作としては得策だと思う。
あとがき
いやあ、今回は “俳優・山下智久” の見せ場の連続でしたね。第4話まで地道に積み上げてきた脳障害を持ちながらピュアな咲人が花開いた、そんな第5話でした。着実に「大人のためのファンタジー」に向かってます。また、本当にあったらちょっと怖いような大人向けのお伽噺って感じも好きです。
前回も書きましたが、既に咲人にしか見えない “俳優・山下智久” の存在感も見事。きれいな顔立ちの必然性もちゃんとあるし、ファンタジーの主人公にはもってこいの魅力が活かされています。次週からこれまで自分を蔑んできた世間への、咲人の反乱が始まりそうです。でも、またピュアな咲ちゃんも観たいですけどね。
長文の感想を最後まで読んで下さり、ありがとうございました。
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