アルジャーノンに花束を (第2話・4/17) 感想

TBS系『アルジャーノンに花束を』(公式)
第2話『対等な友情、親友のために溢れでる涙』の感想。
なお、原作小説:ダニエル キイス『アルジャーノンに花束を』は確か読んだはず。過去の映画やテレビドラマも数本鑑賞済み。
また、当blogは原作との比較、演技への言及は基本的にしない立場ですが、本作については原作へ思い入れもあり、“俳優・山下智久” への個人的な期待もあり、通常とは違った目線になることをお断りしておきます…
給料日、咲人(山下智久)は受け取った金を貯金する。檜山(工藤阿須加)から、貯金をして何か買うのかと問われた咲人は夢を語る。一方、柳川(窪田正孝)は会社にまでやって来た母親の京子(田中美奈子)に給料袋をそのまま手渡す。同じころ、治験の参加者探しに行き詰まった遥香(栗山千明)は、咲人に白羽の矢を立てる。乗り気でない竹部(萩原聖人)を説得して咲人の母親・窓花(草刈民代)の住所を聞き出し、訪ねるが…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
「お兄ちゃん、ガチャ」と現代版アルジャーノン考
私が本作を評価するのは、原作の持ち味を残しつつ、きちんと現代向けに、連ドラ向けに上手くアレンジしているところだ。これに通じるドラマが前期にあった。それがドラマ『お兄ちゃん、ガチャ』(最終回の感想記事)だ。
妹が気に入らないお兄ちゃんを次々と消去(抹消)する殺伐とした世界観で、人間の愛と死と過去の記憶と言う大きなテーマを、ポップな近未来の家族ドラマに上手に仕立てたのが、脚本家・野島伸司氏。そう、本作の脚本監修担当だ。
原作を詳細に語るつもりはないが、少しだけ。原作の序盤での主人公・精神遅滞の青年チャーリイはずっと孤独だ。いじめを受けるているが気づか(け)ない。そのチャーリイの基本設定が悲し過ぎて、本で読むから丁度良いのだ。映像で見たいなどとは思わなかった。
物語と演者の関係や重なりこそ本作の “妙”
ところが、本作(連ドラ)の主人公・咲人(山下智久)には最初から職場の仲間がいる。何だかんだとお節介を焼いて温かい眼差しで見守る仲間がいる。難しい役どころを演じる山下さんを上手く支える窪田正孝さんや工藤阿須加さんらが脇役がいる。この物語と演者の関係や重なりこそ本作の “妙” だと思う。
私が本作を観終わったあと、切なくも優しい気持ちになれるのは、この “妙” が理由だと思っている。一般的に演者の “素” が表面化するのは良くないことだが、本作の内容はガッツリ物語に入り込むような仕上がりでは見ている側が相当疲れる。
そこで、金曜深夜の連ドラとしては、ほんの少しだけ俳優さんたちの “素” を残すことで、軽いタッチを演出しているのだと思う。精神遅滞と言うちょっと重たくて怖い印象の咲人を現役アイドルの山Pが演じる安心感と言っても良いかもしれない。
だから、この点に共感出来なければ作品もろとも拒否してしまう、好みが分かれる作風であることは間違いないと思う。誤解をしないで頂きたいのは、これは山下さんの演技力云々ではなく、彼の存在感が澄んだ瞳、博愛の心、無邪気な咲人を創っていることの証なのだ。
第2話で最も私の心にグサッと刺さった台詞
「個人的には今のままの咲人で良いと思ってるんだ」
第1話でも竹部社長(萩原聖人)は咲人に「お前はバカなままでいいんだ」と言ったが、第2話で最も私の心にグサッと刺さったのが、社長が遥香(栗山千明)に言ったこの台詞だ。意外かもしれないが…
多くの病気に治療方法があり症状を改善することが出来る現代。しかしその一方で未だ治療方法が見つかっていない病気もたくさんある。脳の発達については特にそう。しかし、人間の脳には想像できない治癒力が備わっていると言う。その1つが、人との関わりから生まれると思うし、そう思いたい。
だからこそ、薬や手術に頼らず、咲人を支えていきたいと言う社長の親心が、ズッシリと重たく現実的な台詞としてグサッと刺さるのだ。でも、本作の咲人はこれから違う道を歩むことになる。同じような立場の親御さんにとっても、咲人の今後が明るい未来につながるようなドラマになって欲しいと思う。
あとがき
今日は、ストーリーや咲人の台詞でなく、少し角度を変えて感想を綴ってみました。親子、友だち、職場の仲間との関わりで、少しずつ脳と心が今までと違った動きをする咲人から目が離せません。
長文ついでに、最後にいつもの論調で。あれこれ描き過ぎだと思います。特に研究所内の人間関係が。大人の事情もあるでしょうが、もっともっと咲人を描かないと全体のバランスがとれていないと思います。
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【これまでの感想】
第1話
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