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[読書]弱いロボット(シリーズ ケアをひらく) (岡田美智男/著・医学書院) 感想

弱いロボット
【おススメ度】★★★★


「佛教情報誌」の新刊案内で知ったロボットの本

本書を知ったのは、宗派を超えた、仏教、お寺版のフリーペーパー、佛教情報誌『ムディター』の“新刊案内”で。仏教の情報誌になぜロボットの本が紹介されていたのか?

理由は、本書で紹介されている“弱いロボットたち”が精神的な障害を持った人や老人たちに寄り添って、心や人生の支えになっている点が、仏教と似ていると言う視点からのようだ。

また、詳細は後述するが、本書に書かれた医学、看護、介護そのものを、“誰かに積極的に解釈してもらう”と考えることが、ブッダの心理のことばを後世の私たちが積極的に解釈する仏教と似たような感覚があるかもしれない。

できないのなら、やってもらえばいい

本書に登場するのは、ゴミは見つけるけれど拾えない、雑談はするけれど何を言っているかわからない、そんな不思議な「引き算のロボット」だ。現在の人間が求める作業を完璧に熟す「便利ロボット」や、あれもこれも自動的に勝手に行う「足し算型ロボット」ではない。

「手足もなく、目の前のモノが取れないのなら、
   誰かに取ってもらえばいいのか」

こんな捨て鉢ともいえる発想で作られたロボットは
世の中にまだないのではないか。

ポイントとなるのは「一人では動こうにも動けない」という、
自分の身体に備わる「不完全さ」を悟りつつ
他者に委ねる姿勢を持てるかどうかである。

つまり、他者へのまなざしを持てるかどうかということだろう。
※本文より引用(P.116)

また、ロボットと人間の関係を、機械工学やコミュニケーション論的な見地が主で無く、“ケア”や“介護”の視点から書かれている点が、医学書院から出版されているロボットの本と言う異色な面白さだと思う。

弱いロボットの誕生から進化を著者の自伝で語る

本書の内容は、骨子は情報・知能工学系学者の著者の15年以上前からのロボット研究の歴史を辿るスタイルで進んでいくから、流れが自伝的な要素が強くて実用書や解説書の類とは違うため、人によっては若干読みづらいと思う。

ただ、著者が作り出す「弱いロボット」たちが、どのように誕生し進化しているのかを知るには、この形態が読みやすかった。また、『「とりあえずの一歩」を踏み出すために』と題された著者と編集部のインタビューが、本書全体のまとめ的な役割も果たし、読み物として楽しい。

あとがき

私は医学の専門家でないですが、従来の医学、看護、介護では、「身体や心のマイナス面」は筋トレやリハビリやクスリでプラスし、自身を変化させると言うことであったと思うし、今でもそう言う一面はあります。

しかし、著者のアプローチは、弱い人に変化を求めずに、周りの人たちや環境を巻き込んで解決すると言うものです。

決して弱い人を甘やかすのでなく、弱い人は自らの状況や状態を知った上で他者に自然に委ねられる社会、様々な人を自然に受け入れるまなざしを常に持つ社会、これこそ一つの理想的な福祉社会と言えるかもしれません。


     

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Author : みっきー

★管理人:みっきー

★職業:宴会/映像ディレクター(フリーランス)

★略歴:東京下町生まれ千葉県在住。ホテル音響照明映像オペレータ会社を経て、2001年独立。ホテルでイベント、パーティー、映像コンテンツ等の演出を手掛ける。活動拠点は都内と舞浜の有名ホテル等。

★ブログについて:フリーの宴席/映像ディレクターが、テレビ,映画,CM,ディズニー,音楽,仕事等を綴ります。記事により毒を吐きますのでご勘弁を。

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