マッサン (第150回 最終回・3/28) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『マッサン』(公式)
第25週/最終週『人生は冒険旅行』【第150回/最終回】の感想。
【注】楽しくご覧になった方や重隅突きはウザいと思う方は、読まない方が良いです。
エリー(シャーロット)の死後、丸二日間部屋に閉じこもり泣き続けたマッサン(玉山鉄二)は、死の間際にエリーから手渡された手紙を見つけ読み始める。そこには、いつまでもおいしいウイスキーをつくり続けてたくさんの人々を笑顔にしてほしい、私の夢はマッサンだったとつづられていた。決意の顔になるマッサン。そして10年後。「スーパーエリー」がスコットランドの栄誉ある賞に輝き催された祝賀会会場にマッサンはいた。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
“異文化交流”を描く最後のチャンスも捨てた瞬間
「重隅突き」は昨日で止めにしたから、今日はきちんとした突っ込み。なぜ、エリー(シャーロット)が英文で書いたラブレターを、エリーの日本語の台詞を被せて視聴者に伝えたのか意味が解からない。外国人を扱うドラマなのに、どうして本作は言語に対して雑なことばかりするのだろう。
留学していたマッサン(玉山鉄二)なら英語のエリーの言葉が頭の中で渦巻くはず。昨日描いたスコットランドでの結婚式にも繋げるように、マッサンの頭の中は英語で一杯で良いのだ。それがエリーへの思いなのだから。そして、それが英語でラブレターを書いたエリーの気持ちなのだから。
だから、ここはシャーロットさんの、片言のそれも病弱な演技も相まって聞き取り難い日本語の台詞でなく、普通に松岡洋子さんの語りで処理するべきだった。本作の大きなテーマの1つである“異文化交流”を描く最後のチャンスも捨てた瞬間だ。
僅か8小節のマッサンが歌うカットが最も秀逸
後半の祝賀会会場で、老いたマッサンが弱弱しくもどこか懐かしそうに口ずさむ、僅か8小節に満たない歌『オールド・ラング・サイン』は、全150回の中で最も秀逸なカットだったと思う。字幕もなく、シンプルなドリーズームでマッサンのエリートの50年間を遡ることをきれいに描いた。
因みに、「ドリーズーム」とは、ヒッチコック監督の映画『めまい』で使用された「めまいショット」のこと。被写体に向けたカメラを台車(ドリー)に乗せ、移動しながら同時にズームイン(アウト)する。そうすると、被写体のサイズはそのままに、背景の遠近感だけを変化できる。
何を歌っているのか解からなくても、これまでマッサンとエリーの人生には、いつも歌があり、エリーの歌に励まされたマッサンを知っていれば、あとは最適なカット割りが生み出す雰囲気と、その俳優の演技力によって、30秒程のカットでも十分伝わるのだ。なぜ、これをずっとやらずにきたのだろうか。ホント、残念で仕方ない。
朝ドラこそ、真面目なドラマづくりをして欲しかった
総括気味に。やっと終わった。それが今の気持ちだ。本作のどの辺が日本初の国産ウイスキーを作った「日本のウイスキーの父」の物語で、スコットランドから夫の夢を一緒に追い続けるために見知らぬ国へやってきた外国人女性との国際結婚した夫婦の愛と冒険の物語だったのか、未だに良く解からない。
しかし、全話が終わった今解かるのは、日本語のできない外国人女性俳優をヒロインに起用して、実在の人物をモデルにした物語を朝ドラにしてしまったこと自体が間違いだったことだ。もっと日本語の流暢な外国人女性俳優はいるだろうに、そうしなかったことで実在のモデルとも掛け離れた人物になり、結果的にマッサンまで別人に仕立てることになった。
そのために、シャーロットさんの片言の日本語を活かすことできる序盤の「大阪編」が膨れ上がり、マッサンの大きな転機が軽んじられ、全体の物語の中で、ウイスキーのくだりが脇道に追いやられた印象になったと思う。話題づくりも大事だが、何もしなくても視聴率が取れる朝ドラだからこそ、民放や他の連ドラとは違う心構えで臨んで欲しかった。
あとがき
これ程までに期待してドラマと違ったのは久し振りです。結局、国際結婚した夫婦のイチャイチャぶりを見せられ、マッサンも最後の最後まで、かかあ天下で女々しい男に描かれちゃいました。
「夫人が亡くなった後、2日間自室に籠り喪に服した」ことは記録にも残ってますが、本作のマッサンが史実通りで良かったのかは最後の疑問です。せめて最後くらいは、マッサンが葬儀を取り仕切って家族全員で明るくエリーを天国へ見送ってあげても良かったような。
まだまだ言いたいことはありますが、今日はこの辺にしておき、また機会があれば総括します。最後に、半年間に亘り私の拙い感想記事にお付き合い下さった読者の皆さま、本当にありがとうございました。何とか完走できました。明後日からの『まれ』もまずは様子見からですが、よろしくお願いします。
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【これまでの感想】
第1週『鬼の目にも涙』
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第2週『災い転じて福となす』
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第3週『住めば都』
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第4週『破れ鍋に綴じ蓋』
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第5週『内助の功』
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第6週『情けは人のためならず』
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第7週『触らぬ神に祟りなし』
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第8週『絵に描いた餅』
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第9週『虎穴に入らずんば虎子を得ず』
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第10週『灯台下暗し』
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第11週『子に過ぎたる宝なし』
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第12週『冬来たりなば春遠からじ』
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第13週『急いては事をし損じる』
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第14週『渡る世間に鬼はない』
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第15週『会うは別れの始め』
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第16週『人間到る処青山有り』
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第17週『負うた子に教えられる』
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第18週『遠くて近きは男女の仲』
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第19週『万事休す』
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第20週『夏は日向を行け 冬は日陰を行け』
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第21週『物言えば唇寒し秋の風』
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第22週『親思う心にまさる親心』
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第23週『待てば海路の日和あり』
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第24週『一念岩をも通す』
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第25週/最終週『人生は冒険旅行』
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