[読書]病名がつかない「からだの不調」とどうつき合うか (津田篤太郎/著・ポプラ社) 感想

内容は、タイトルとだいぶ異なる
著者は、NHKで放送された医学・医療関連のクイズバラエティ『総合診療医ドクターG』へ出演歴のある聖路加国際病院リウマチ膠原病センター副医長・津田篤太郎氏。現代医学と漢方、西洋医学と東洋医学の両方を取り入れた診療を実践している。
さて、本書の内容だが、実はタイトルとはだいぶ異なる。本書の前半は、医師が患者に病名をつける際の方法論や、現代医療の限界と言う著者の愚痴的な内容。残りが、病名がつかない「不調」との付き合い方について書いてあるのだが…
病名のつかないからだの不調=未病
後半で、本題に入るのだが、本書での“病名のつかない「からだの不調」”とは、東洋医学における“病気以前の「未病」”であるとの立場で話が進む。
「未病」とは、中国の最も古い鍼灸医学の文脈の1つである『難経』という書物にある言葉で、「上工は未病を治し、中工は已病を治す」という文章が知られています。
※本文P.114より引用
要は、「上工(腕の良い医者)」は病気になる前(未病)に治し、「中工(普通の腕前の医者)」は病気になってから(已病)治すそうだ。そもそも、どの医者が腕が良くて悪いのかが素人目に判らないから本書を手にしているわけで、その点でもちょっと解り難い。
現代医療では、【原因→結果】がセットでないと困る
そこで、私なりの本書の解釈。現代医療では、【原因→結果(症状)】が過去の症例に見合ったセットになっていると病名がついて治療が出来る。しかし、原因が解らない場合や症状がはっきりしない場合は病名がつきにくい。ほら、ここがタイトルの『病名のつかない「からだの不調」』なのだ。
そこで著者は、「病名のつかない状態=未病」と定義して、本書の後半で医者との付き合い方へ進んでいく。
医師は「病名をつけくれる人」程度に考えよう
結論は、まず、自分自身が日頃の自分の身体の調子をよく知ることが大事。そして、自分で「この程度なら市販薬で様子見しよう」とか「この状態は医者の意見を聞こう」と判断しよう。あくまで病院の医師は、「私に病名をつけて治療をしてくれる人」程度に考えろと言うことらしい。なかなか現実的な視点で面白い本だ。
あとがき
結局、病名がつかないと治療は始まらないわけですよ。だから、患者は病院に病名をつけに貰いに行く訳ですが、そこで肝心なのが問診。自分の今の状態、状況、症状を医師と言うプロに的確に伝えなければいけない。そのためには、「日頃から自分の身体のプロになっておけば良い」ってことだと思います。
こう解釈をしたらタイトルと内容がそれほど解離しているとは思いませんが、少々タイトルが狙い過ぎって感じです。内容は、「東洋医学的な考え方も取り入れて、医師に過大な期待をせず、自分を信じて生きましょう」と言ったところでしょうか。
|
★ケータイの方は下記リンクからご購入できます。
NHK「総合診療医ドクターG」『医者は病気をどう推理するか』
9割の病気は自分で治せる (中経の文庫)
女40歳からの「不調」を感じたら読む本 (静山社文庫)
自癒力 自分の力で病気を治す100の方法
★本家の記事のURL → http://director.blog.shinobi.jp/Entry/6783/
★FC2ブログへトラックバックが送信できない方へ → コメント欄に、ブログ名、記事のタイトル、URLをご記入下れば、確認次第公開させて頂きます。お手数をお掛けします。
【当blog内(本家)の関連記事】
[読書]デジカメ写 [読書]妻の化粧品はなぜ効果がないのか 細胞アンチエイジングと再生医療 (北條元治/著・角川マガジンズ) 感想(2014/11/12)
[読書]なにを食べたらいいの? (安部司/著・新潮文庫) 感想(2014/07/12)
[読書]怒らないクスリ: 専門医が語る、心が楽になる処方せん (熊井三治/著・小学館101新書) 感想(2013/11/28)
【書評】「死ぬ瞬間―死とその過程について」エリザベス キューブラー・ロス (著)
- 関連記事
-
- [読書]仕事も人間関係もうまくいく 「気遣い」のキホン (橋本英樹/著・祥伝社) 感想 (2015/04/04)
- [読書]千葉が最高 (千葉ベスト選出委員会/著・リンダパブリッシャーズ) 感想 (2015/03/22)
- [読書]病名がつかない「からだの不調」とどうつき合うか (津田篤太郎/著・ポプラ社) 感想 (2015/03/09)
- [読書]「そのひと言」の見つけ方 -言葉を磨く50のコツ- (渡邉洋介/著・実務教育出版) 感想 (2015/02/27)
- [読書]フリーランス&個人事業主 確定申告でお金を残す! 元国税調査官のウラ技 (大村大次郎/著・技術評論社) 感想 (2015/02/18)