[読書]ブッダ 真理のことば / NHK「100分de名著」ブックス (佐々木閑/著・NHK出版) 感想
文系的な視点に、理系的で合理的な考え方が加わって…
おおもとの仏教「釈迦の仏教」を説いた本。本書の面白い所は、仏教学者である著者・佐々木閑氏が若い頃に科学を研究する立場にあったこと。従って文系的な視点に、理系的で合理的な考え方が加わっているため、とても論点が明確で解り易い。歴史や歴史上の人物の解説も、やさしく丁寧に書かれているのが良い。
ブッダの教えの原点は、シンプル・イズ・ベスト
例えば、こんなくだりがある。
超越存在を認めず、世界を原因と結果の機械論的因果則でとらえようとする視点も、「釈迦の仏教」と科学で共通しています。どうやら、おおもとの「釈迦の仏教」は、現在の日本の「十八宗」と呼ばれる宗派のような神秘的な要素が少なく、ブッダの考え方は実に原理がシンプルのようだ。
(P.58より引用)
だからこそ、より科学者視点の本書が活きてくるくだりもある。「諸行無常」を映写機に例えた比喩で……
スクリーン上の映像はたいへんな速さで移り変わっていくので、観客の目には一つの存在物が連続して動いているように見えますが、じつは一コマ一コマ区切られた別個の静止物であり、それらが一瞬毎に生まれては消えていく、その連続がこの世の真の姿なのです。この世はこれ以上分割できない短い時間のコマからできあがった集合体であるこのように、「釈迦の仏教」に書かれているブッダの教えの原点が如何にシンプル・イズ・ベストであり、現代的な解釈により十分に理解し易く書かれていることが解ると思う。(P.59より引用)
わたしは、ブッダの教えをこう捉えた
私はブッダの教えをこう捉えてみた。人間は何度死んで何度生き返っても、この世は苦しみばかり。だから、苦しみを正しく受け入れるしかない。そのために自分の心の在りようを変えるべく、自己鍛錬によって智慧や叡智の目を養い真理を見ることでしか、苦悩から解放されることはない。
これが、表紙に飾られている『仏教は「心の病院」である』と言うキーワードに繋がっていくのだ。詳しくは是非本書を読んで欲しい……
あとがき
どんなことでも「おおもと」の思想や意味合いは、時と場所が変わる度に変化して伝道してしまうものなんですね。本書を読めば「釈迦の仏教」のエッセンスだけでも垣間見ることができます。その上で、ご自身の宗派の教えを考えてみると、意外と面白いと思います。まず原点に触れよう、そんなやさしい一冊です。
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いちばんやさしい ブッダの教え
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