[読書]電車の中を10倍楽しむ心理学 (渋谷昌三/著・扶桑社) 感想

なぜ電車の中では過剰にイラッとしてしまうのか?
短気で曲がったことが嫌いな私は、電車の中の乗客のマナーの悪さに不愉快な思いをしない日は無い。悠長で心の広い方でもイラッとすることはあると思う。下記のランキングを見ても、1位の「騒々しい会話・はしゃぎまわり等」、3位の「ヘッドホンからの音もれ」、5位の「携帯電話の着信音や通話」あたりは、誰でもイラつくのではないだろうか。
日本民営鉄道協会ホームページ上でアンケート 平成25(2013)年度駅と電車内の迷惑行為ランキング発表 1位は5年連続「騒々しい会話・はしゃぎまわり等」 | 民営鉄道協会からのお知らせ | 日本民営鉄道協会
http://www.mintetsu.or.jp/association/news/2013/7241.html
イライラの原因は「なわばり意識」!
本書ではこのイライラの原因を「なわばり意識」が大きく関係すると言う。もうご存じの方も多いと思うが、人には誰でも「自分が快適であるために必要な占有空間=パーソナル・スペース」と言う「自分のなわばり」を持っており、それを誇示・誇張したい人と、その相手のなわばりに強制的に入れられてしまう不快感が原因だと言う。
確かに、2位の「座席の座り方」、9位の「床に座る」などは存在感の誇示にしか見えないからイラッとする。また、上位で既出の音関連や10位の「車内での化粧」やランク外だが「香水」などは、強制的に見知らぬ相手の世界を聞かされたり見せられたり嗅がせられるから不愉快になる。
今や“注意損”の時代。だから不快感を楽しさに変える!
そこで本書は、様々な車内でのイラッとする行為の主を、興味関心の絶好の観察対象にして楽しんでみてはどうかと言う提案をしている。言い換えれば、イライラを心の持ちようで楽しみに変えたら、少しは満員電車の通勤に楽しいひと時が生まれるかも?と言う指南書とも言える。
マナー違反を黙って見過ごすことの賛否はあるだろうが、迷惑行為を注意して我が身に危険が及ぶことが現実的な今の日本社会で、正義感と不快感から何とか現状を片付けたいと行動して裏目に出ることもある。注意すべきかどうか迷った時に、ふと本書で読んだことを思い出したら、注意の方法も変わるかもしれない。なぜなら、その人がどうしてそう言う迷惑行為をしているのか解っているのだから…
あとがき
本書で良いなと思ったのが、P.84の『なぜ「席を譲ろう」としても、譲れないのか?』に書かれている、重要なのは譲るタイミングで、気がついたらとにかく「どうぞ」と声をかけるのが正解と言うくだり。ホント、そうですよ。集中して本を読んでいると目の前の人に気づかなくて、妙なタイミングで言うのも何だし…なんて考えている内に相手が降車してしまうことってありますよね。
このように、本書には迷惑行為をする人の心理だけでなく、服装や持ち物や髪形などの人間観察の方法も書いてあり、自分が「こう言う人間に見られているのかも?」と納得させられたり、電車の中での心理学が解り易く書かれています。但し、電車の中で読むと、前の人をジロジロ見ることになるので要注意です。
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