花子とアン (第155回・9/26) 感想
NHK総合・連続テレビ小説『花子とアン』(公式)
第26週『曲がり角の先に』【第155回】の感想。
なお、本作は8/26にクランクアップしたため、当記事は、ほんの僅かな編集への期待と愚痴と重箱の隅突きなっております。楽しくご覧になっている方や重隅突きはウザいと思う方は読まない方が良いです。
『アン・オブ・グリン・ゲイブルズ』を読んだ門倉(茂木健一郎)は、これほど面白い話をなぜ今まで出版しなかったのかと言うなり、出版に取りかかるため小泉(白石隼也)と共に急いで帰ってゆく。英治(鈴木亮平)と美里(金井美樹)から祝福された花子(吉高由里子)は、出版に向けて推こうに取りかかり、残るは本の題名を決めるだけとなる。ある日、門倉と小泉と共に長時間話し合った結果、題名は『窓辺に倚る少女』に決まるが…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
今作はバイキング料理だったんだ!?
今日は冒頭から、花子(吉高由里子)の「ついに本になるのね」にとても違和感を覚え、メインタイル直後の「推敲に取り掛かりました」の語りで目が覚めた。これまで当blogでは、今作を「登場人物の年表の箇条書き」や「あらすじの箇条書き」と例えてきた。しかし、今日の冒頭2分間で新たな思いが浮かんだ。
それが、「バイキング料理みたいな脚本」だと言いこと。脚本家の中園ミホ先生が、書きたいことを書きたい時に書きたい分だけ描いた脚本だったのだ。そう思えば納得できないか。この脚本では順番や分量や味わいなど、すべて二の次三の次>なのだ。
これが正しいと解ったのは、本作で初めて描かれた僅か2分間にも満たない花子の推敲シーンと、その直後の「残すは本の題名です」の語りだ。和食の“三角食べ”も洋食のコースの順番も全く関係のないバイキング料理みたいな脚本。これはNHKの編成やスタッフも同じ。こんな大事な役を二日も素人演技で見せるのだから…
こんなのが「赤毛のアン」の誕生秘話かよ!?
「あれだけ散々話し合って『窓辺に寄る少女』に決まったじゃないですか」の花子の台詞に見られるように、脚本も演出も物事が成り立つまでの経緯や経過は、すべて視聴者の“脳内補完”に丸投げ。『赤毛のアン』と言う書名が決まるまでの苦労話とは程遠い仕上り。
確かに、映像制作における脚本や演出においては「省略」は重要な要素で、作品を一定時間に収めるためにも、観客の想像を掻き立てるのにも無くてはならない。
しかし、ここまでほぼすべてを視聴者の頭の中で「○○だったはず…」とか「○○って意味かな?」と丸投げされたら、観ている映像は単なる視聴者の“想像の翼”のための情報ってだけになる。ここまで来たらもう手抜き、やっつけ仕事のレベルだと思う。
素人でも想像できることをどう魅せるかがプロだろ!?
「諦めずに今日までやってこられたのは、二人の支えがあったからよ」と言われても、半年間で思いつくのは、ほんの数分前の夫婦での推敲作業と美里の書名のゴリ押しだけ。「スコット先生との約束を果たすのに13年も掛かってしまったわ」と言われても、スコットから原書を貰ったのが、第23週の第137話(9/5)だから、僅か3週間しか経っていない。
その間に描かれたのは、純平の入隊、子どもたちの疎開、美里の出生の秘密の暴露、純平の戦死、第二次世界大戦終結、醍醐と吉太郎の結婚、意味不明な花子のラジオ出演とおとうの死、かよが戦災孤児の姉妹を引き取り、蓮子がラジオで子供たちの死や平和を訴え、村岡家に図書館を増築しただけ。
その間の『赤毛のアン』なんて、数回だけチラッと原稿が見えただけ。本格的に登場したのは昨日が初めてで、今日には原稿がもう本になって発売まで行っちゃった。これなら、ある意味『花子とアン』って今日と明日だけで良いってことになりやしないだろうか。
最後の最後も「一度は断って懇願されたら喜んで」…
戦前に英語の勉強をするのはさぞ大変だったろう…
戦中に翻訳するのもさぞ大変だったろう…
戦後に原稿を売り込むのもさぞや大変だったろう…
なんて誰でも思いつく。そこをどう魅せるのかが脚本家の醍醐味だし、視聴者が見たかったところだと思うのだが、結局それらは語りと“スーパー時間経過”でお茶を濁して終了。
折角の『赤毛のアン』の題名決定のくだりも、これまで散々使い古した「一度は断って懇願されたら喜んで」のパターンに見えたのが残念だし、これをパターン化した作者の失敗だと思う。なんか観ていて虚しい気分になった15分だった…
あとがき
明日は、まず、『赤毛のアン』を読んで作家魂を再燃させた宇田川(山田真歩)が描かれるようですね。最終回にこれを描くってことは、中園先生がバイキングで帰り際につまんでいった最後の食べ物ってことですよね。どうしても、あと一口食わずに帰れなかった一品。
だったら、最初から、花子と醍醐と宇田川の戦前戦中戦後を生き抜いた3人の女流作家のドラマにしたら良かったのに。そして、花子のキメ台詞は「私、絶対に妥協はしませんので」って芯のある主人公にしたら、中園先生お得意の作風で描けたろうに…
本日も、長文で駄文の記事を最後まで読んで下さり、ありがとうございました。
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【これまでの感想】
第1週「花子と呼んでくりょう!」
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第2週「エーゴってなんずら?」
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第3週「初恋パルピテーション!」
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第4週「嵐を呼ぶ編入生」
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第5週「波乱の大文学会」
25 26 27 28 29 30
第6週「腹心の友」
31 32 33 34 35 36
第7週「さらば修和女学校」
37 38 39 40 41 42
第8週「想像のツバサ?」
43 44 45 46 中間総括 47 48
第9週「はな、お見合いする」
49 50 51 52 53 54
第10週「乙女よ、大志を抱け!」
55 56 57 58 59 60
第11週「グッバイ!はな先生」
61 62 63 64 65 66
第12週「銀座のカフェーで会いましょう」
67 68 69 70 71 72
第13週「その恋、忘れられますか?」
73 74 75 76 77 78
第14週「ゆれる思い」
79 80 81 82 83 84
第15週「最高のクリスマス」
85 86 87 88 89 90
第16週「あなたがいる限り」
91 92 93 94 95 96
第17週「腹心の友ふたたび」
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第18週「涙はいつか笑顔になる」
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第19週「春の贈りもの」
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第20週「海にかかる虹」
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第21週「ラジオのおばさん誕生」
121 122 123 124 125 126
第22週「新しい家族」
127 128 129 130 今後の展開と最終回予想 131 132
第23週「アンとの出会い」
133 134 135 136 137 138
第24週「生きている証(あかし)」
139 140 141 142 143 144
第25週「どんな朝でも美しい」
145 146 147 148 149 150
第26週「曲がり角の先に」
151 152 153 154
花子とアン ロケ地情報 [オープニングの農村風景/勝沼ぶどうの丘編] ※検証動画あります
勝沼の資料館にある蝋人形が「花子とアン」のヒロイン親子に似てる!?
残り14回しかないのに、未だぐだぐだな「花子とアン」ですが、(本家blogへの)今週のWeb拍手の数と皆さんのコメントで、最終回まで見届けようと決めました。
SWITCHインタビュー 達人達(たち)「美輪明宏×中園ミホ」(2014/9/15) 感想
残り7回しかないのに、未だ主人公が翻訳家らしさを殆ど魅せない「花子とアン」ですが、宣言通りに最終回まで見届けます。
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