[読書]意味不明でありがたいのか――お経は日本語で (戸次公正/著・祥伝社) 感想

聖書は日本語で読まれるのに、なぜお経は日本語で読まれないのか?
「教会で聖書は日本語で読まれているのに、なぜお寺のお経は漢訳の音読なのか?」と言う浄土真宗のお坊さんの小さな疑問から始まる本書。構成は大きく2つに分かれる。前半は真宗の僧侶である著者が、日本語でお経を読むようになるまでの経緯と理想のお葬式論。後半は代表的なお経の現代日本語訳。
“お坊さんはサービス業”とするなら理解できる!
確かに“お坊さん”目線で、「お坊さん」をサービス業として捉えると、葬儀や法事でお客さまに意味不明な音読を長時間聞かせてお金を貰うより、きちんと意味の解るような現代語訳の朗読(読み聞かせ)をしてお金を頂くほうが良いはず、と思うのは、ある意味でまともだし、間違っていないと思う。ただ…
お布施の料金表ほどに、お経の日本語訳に需要はあるか?
そもそも私たちが“お客さま”目線で、「お坊さん」をサービス業として捉えているか?と言う大きな疑問も湧いてくる。
確かに、葬儀や法事で「お布施に料金表があったら良いのに」と思う人も多いだろうし、実際私もこの中年なり菩提寺を守る立場となった今、料金表が欲しいと思うことはある。しかし、お経の日本語訳が本当に求められているのか甚だ疑問…
本書から、お念仏の声が聞こえてこないのが残念…
本書の中には、お坊さんの朗読力と言うか話術の向上も不可欠とある。しかし、著者は真宗の僧侶。だとすれば、お念仏の相続こそ極楽浄土への往生の約束となる「正行」ではないのだろうか。
ならば、檀家や参列者にお念仏のお称えを相続することの大切さをどう説くのかを第一に重視すべきではないだろうか。もちろん、その上でのお経の日本語訳だと思うが…(これこそ釈迦に説法か?)
あとがき
私の家は浄土宗なので、小さい頃から朝晩仏壇に手を合わせ「南無阿弥陀仏」を10ぺん唱えるのが日課でしたが、「南無阿弥陀仏」の意味を知りたいと思ったことはありませんでした。と言うより、子供なりにご先祖さまと通じることのできる“不思議な呪文”として親しんできました。
大人になって、意味を知り、他のお経も調べましたが、私にはピンときませんでした。むしろ、浄土宗だけでなく他宗派のお坊さまの法話から、その宗派の教えや考え方をストレートに感じます。「日本語のお経」は読み物としては面白いですが、果たして聴いてピンと来るのか。実際に聴いてみたいと思いました。
ただ、自分の宗派が浄土真宗ならば、全184ページの半分近くを占める「第四章 現代日本語で読むお経」は一読の価値はあると思います。また、自分や親族がお寺関係者なら啓発されると思います。いろいろな宗派の「日本語のお経」の本があったら良いですね。
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