SWITCHインタビュー 達人達(たち)「美輪明宏×中園ミホ」(2014/9/15) 感想
NHK総合系『SWITCHインタビュー 達人達(たち)』(公式)
『美輪明宏×中園ミホ』の感想。
当番組は、9/13のNHK教育(午後10時00分~午後11時00分)の再放送。
「花子とアン」の脚本家中園ミホと「ごきげんよう、さようなら」でおなじみの美輪明宏が、朝ドラを表からも裏からも語り尽くす!美輪の恋愛観から女の友情まで白熱トーク!
人気沸騰中の石炭王・嘉納伝助、花子を一途に思い続ける幼なじみの朝市など、ドラマに登場する“イイ男”たちを美輪が徹底分析!名シーン名セリフの舞台裏が明らかに。「女どうしに真の友情は成り立つか?」という永遠の命題から、「愛の讃歌」の本当の意味、嫉妬しない方法に至るまで、話題は縦横に展開する。元占い師という異色の経歴を持つ中園が占う美輪の運勢は?ヒロイン吉高由里子らからの人生相談に美輪が答える一幕も!
【出演】歌手・俳優・演出家…美輪明宏,脚本家…中園ミホ,脚本家…大石静,【語り】吉田羊,六角精児
---上記のあらすじは[NHK公式サイト]より引用---
ライバルの大石静さんを人選するNHKのアクドサ!
番組中盤で脚本家の大石静さんが、中園ミホさんの脚本全般なのか今作のことなのか解らないが、こう高評価していた。
とても計算された構成を作られるんです。確かに、『白鳥麗子でございます!』『ハケンの品格』や『ドクターX~外科医・大門未知子~』などごく一部の作品には当て嵌まるのは認めるが、こと今作に関して、どの辺が「ち密な構成」で「アーティスティックな台詞」なのか聞いてみたくなった。
直感的でアーティスティックな台詞も書けないとつまらない。
直感的な感じとち密な感じが非常にバランスよく存在している。
ただ、「直感的」には一部賛成する。何せ、ほぼ思いつきのように好きなように、ヒロインそっちのけ、『赤毛のアン』そっちのけで、脇役ばかりを描いては尻切れで次の登場人物に乗り換えての連続だったのだから。これが「計算」だとしたら大した「暗算力」だと思うしかないような…
「ごきげんよう」に込められた美輪さんの思い…
美輪さんが「ごきげんよう」の語りについて話されていた。多分、美輪さんのナレーション録音の際は映像だけは繋がった状態だと思うから、毎回その映像を観て、自分なりにプロデューサー感覚で物語を再構築して、ディレクター感覚で“美輪明弘”と言う語り手に指示を出していたのだろう。その原点がその昔に近しい男性を戦争で亡くした時の話だ。この体験談は私の心にも強く響いた。
小さな体のお母さんが出兵する息子との別れ際に「死ぬなよ。どげんことあっても生きて帰って来いよ」と大声で言ったら、憲兵たちに「国賊!」と突き飛ばされた。戦死した息子が最後に見た母親の顔が、憲兵に怒鳴られて突き飛ばされて血だらけになった母親の姿が可哀想だと。この強烈なイメージが、以下のような語りへの思いに繋がっているのだと思う。
「登場人物みんな愛おしい」
「ナレーションの底に人類愛のようなものが流れてた方が。兎に角膨らむんじゃないかしらと思って、うんとクールなやり方を止めた」
そう、この語りの「温かさ」「温もり」が微妙なのだ。なぜなら、基本的にこの脚本は“熱くない”からだ。冷静と言うより淡々と、時に派手に描くだけで、決して情熱的でない。ロマンティックでもない。
美輪さんの名曲「愛の讃歌」のこと…
例えば、番組でも紹介された、『愛の讃歌』がBGMに使われる蓮子と龍一が駈け落ちするくだり。中園さん自身も「恋愛に突き進むエネルギーみたいなものが、いつ版強く表れている曲」だとして『愛の讃歌』が良いと思ったらしい。ほら、脚本には「エネルギー」は描かれていないのだ。
だから、美輪さんは原詞に近い、“超情熱的な”翻訳ヴァージョンを歌って。しかし、演出家がロマンティックな演出が好きな人だったから、エネルギーがロマンスになってしまい、私としては“脚本と映像”と“歌”がそれほど上手く噛み合ったとは思えなかった。ただのミュージカル仕立ての動く紙芝居仕立て…
美輪さんの人選も上手いよなぁ…
中園さんが、今日から始まる全26週の最後の2週間について、こう語っていた。
実は156話の中で一番見て欲しいところがここから始まる…
あと、『花子とアン』って言いタイトルを付けたのは、花子にとっては『赤毛のアン』が本当に(敗戦から)立ち上がるために大切な物語だった。
その物語が日本の人たちをどれだけ救ったかと言うことを一番伝えたかった。それがいよいよ始まる…
こう言うのを脚本家や演出家が発言するのが一番苦手な私だが、美輪さんが上手くフォローしていた。今の混沌として行き先の見えない不安な現代と劇中の敗戦から立ち上がる日本の復活力、復元力、生命力を重ねて「大きな責務、使命を持った番組」とまで言わせてしまったこの番組。観て良かったのかどうか…
あとがき
ここまでして、「最後の2週間こそ見所ですので是非観て下さい」って宣伝する必要ありますかね。これ、これまでが大した内容で無いってことを認めているようなものじゃないですか。
ただ、そうは言ってもわかりませんよ。エピソード次第では単なる花子の結婚と蓮子の駆け落ち以降の所謂“後半戦”の総集編になる可能性もまだまだ残ってますから。
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