おやじの背中 (第8話・8/31) 感想
TBSテレビ系『おやじの背中』(公式)
第8話『駄菓子』(脚本:池端俊策氏/ 演出:坪井敏雄氏)の感想。
駄菓子を愛してやまない春部真(大泉洋)は、駄菓子へのこだわりが原因で会社を転々とし、妻にも逃げられた半人前の父親だった。だが真が作った駄菓子は、息子の湊(田中奏生)の友達にはいつも好評で「お前の父さんは天才だ」と褒められる…。息子にとっては自慢の父親だった。ある日新しい就職先を探す真は、食べ比べをして一番美味しいと感じた駄菓子の会社を訪ねる事にした。そこで社長の羽柴浩太郎(塚本高史)と出会って…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
数組の「父と息子」の物語としては面白かった…
うーん、物語はベタだしオチも読める、でも妻に逃げられたお菓子づくりの夢を諦められないお父さんと、そんなお父さんが自慢の息子の話としては、なかなか感動的に仕上がっていたと思う。数組存在した組の祖父と父と息子を上手く絡めた「父と息子の話」としては…だ。
「むすこのお腹」では?
ただ、これが『おやじの背中』と言うオムニバスドラマの一本としてみると、首を傾げざるを得ない。物語を解決したのは『サターン5』の美味しさを見極めた二人の『おやじのお腹』であり、二人の『むすこのお腹』ではないか。確かに“お腹”と“背中”は表裏一体だが…
何か、もう一工夫が欲しかった…
確かに息子の湊(田中奏生)は父・真(大泉洋)の“背中”を見て父のためにがんばっているが、別に父のような“お菓子の天才”になりたい訳でもないし、ハシバ製菓の浩太郎(塚本高史)は何となく父の存在を意識している風で、息子の輝光(五十嵐陽向)は「美味しい」と言っただけ。何か物足りない。そんな一時間だった…
子役の上手すぎる演技が「現代のお伽話」を嘘にする…
本作って嘘のような夢の話だと思う。いろいろ同時に起こってあれこれと決まったりして。そう言う“現代のお伽話”的な父と息子をテーマにしたドラマとしては、脚本と演出は良かったと思う(「おやじの背中」とは関係ないが)。
そんな物語に上手く現実味を添えたのが大泉洋さんならではの、嘘くさいんだけどなぜかその人物が自然体で存在して見える不思議な演技力だと思う。それに対して、息子役の田中奏生さんの芝居がきちんとしすぎて、子どもとしての未熟さを感じなかった。まるで大人が子どもを演じているような違和感。
結局、物語の根幹は「お父さん、お菓子の天才を辞めないで」って湊の存在だったのだから、もっとぎこちなくて不器用な演技の方が合っていたのではないかと思う。もちろんこれはキャスティングと現在の子役事情が問題の原点だから、ここで言ってもしょうがないが…
あとがき
最後まで「これって“おやじの背中”なの?」と言う違和感が払拭できませんでした。確かに一時間枠で描くのは難しいと思いますが、それをやるのがプロだと思うし、あの名作映画『復讐するは我にあり(1979年)』や『楢山節考(1983年)』の脚本を手がけ(『楢山節考』は第一稿のみ)、紫綬褒章を受章した名脚本家なら、ビシッと決めて欲しかったです。
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第1話「圭さんと瞳子さん」
第2話「ウエディング・マッチ」
第3話「なごり雪」
第4話「母の秘密」
第5話「ドブコ」
第6話「父の再婚、娘の離婚」
第7話「よろしくな。息子」
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