「はなちゃんのみそ汁」 24時間テレビ37 SPドラマ (2014/8/30) 感想
日本テレビ系24時間テレビ37 ドラマスペシャル『はなちゃんのみそ汁』(公式 / 2014年8月30日放送)
『(ラテ欄)乳がんの女性が命懸けで出産し、余命少ない彼女が夫や娘に伝えようとしたものを描く』の感想。
なお、安武信吾さん、千恵さん、はなさん著の原作『はなちゃんの味噌汁』は既読。ドキュメンタリー番組『はなちゃんのみそ汁 亡き母と 娘の約束(2012年放送)』も『はなちゃんのみそ汁~真実の物語~(24時間テレビ37で8/31放送)』も鑑賞済みです。
※本作で感動したり楽しんだ方は、当記事は読まない方が良いです。それをご理解の上、“続きを読む”よりお進み下さいませ。
新聞記者の信吾(大倉忠義)は恋人の千恵(尾野真千子)から、乳がんにかかっていると告白される。信吾は病気を抱える千恵と生きていくことを決意し、彼女にプロポーズ。千恵は乳房切除手術を受ける。やがて二人は結婚し、千恵は妊娠。リスクが高いとわかっていたが、決意し女の子を出産、「はな」と名付ける。出産後、がんが肺に転移していることが判明。千恵は再び闘病生活をおくることに。そんなとき、信吾と千恵は食事療法と出会い実践、千恵の体は奇跡的に回復していく。そして千恵は <生きて行くために大切なこと> を娘に伝えようと決心するのだった―――。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
「日テレ、上手くやったな」と思う3つの理由。
まず、当blogは基本的に原作や史実とテレビドラマは比較しない立場だが、本作は“がん闘病記”と言う面において、誤ったことは書きたくないので、今回は所々で引用する。そして、私がこのドラマを観終わった直後の感想は、「日テレ、上手くやったな」だった。その理由は3つある。
1.子役リレーから最後は「芦田愛菜劇場」への流れ。
1つ目の「上手くやったな」は、芦田愛菜さんと阿由葉さら紗さんを始めとする数名の子役たちのリレーによるて上手く安武はなを演じさせたなと言うこと。特に名子役(もう“大人の心理を理解する10歳の名女優”で良いと思う)の使い方が上手すぎる。
まず、芦田愛菜さん。冒頭の冒頭のお墓参りに登場したと思ったら、次に登場するのはナント1時間13分頃。1時間も引っ張ったのはさぞ勇気と戦略があったのだろう。しかし、愛菜さんが画面に登場した途端に、ドラマは『芦田愛菜劇場』に大変身。最後のヒマワリ畑での泣きの芝居まで、完全に一人舞台状態。
以前私は愛菜ちゃんの過剰な感情表現による演技が苦手だったが、最近の演技を見ると、もはや伝統芸の域に入ったかのような完成度。結果的に千恵(尾野真千子)の死の印象さえ薄まったのはどうかと思うが、「はなちゃん」で一稼ぎ的なつくり手の精神としては原作もこのドラマも共通していると思う。
2.がんの代替療法をサラリと表現したこと。
2つ目の「上手くやったな」は、千恵さん夫婦が盲信した(と思われる)がんが治ると言うマクロビオティックとホールフードと言った、食で体質改善すると言う長寿法?食事療法?ライフスタイル改善方法?等の所謂“民間療法”については、意外にサラリと表現するにとどめたことだ。
原作を読む限りは千恵さん夫婦は、上記の“民間療法”でがんが消えたと盲信し、そのために一度目は転移したがんを発見できたのに(ドラマでも描かれた)、二度目の転移が見つかるまで定期検診を受けなかったなどの事実は上手くオブラートに包んで、“母から娘への食育”に仕立て直したのも、原作と本作の共通点。
もちろん皆さんもご存じの通り、現在のがん治療の大原則は「早期発見、早期治療」で、がんの三大治療は「手術療法」「化学(薬物)療法」「放射線療法」だから、番組スポンサーである「保険会社」「食品メーカー」「ヘルスケア企業」「家庭教師派遣」と言った命、食、教育、に関係する企業なら、“民間療法”を押し出すことは出来ないのも当然で、言い方は下衆だが“治療法のすり替え?”は上手かったと思う。
3.大人の俳優の配役も演技もバランスが良かった。
3つ目の「上手くやったな」は、大倉忠義さんと尾野真千子さんを始めとする“大人の俳優”のキャスティング。安武信吾役の大倉さんは、最近多かった“創られたキャラ”でなく一人の普通の夫を自然体の演技で好演したと思う。千恵さん役の尾野さんも気丈で感情表現豊かな役をいい感じで演じていた。
また、小料理屋つむぎの店主・山岡豊乃役の田中裕子さんも持ち前の妖艶さで民間療法のあやしさを見事に醸し出していたし、千恵の主治医・長谷川和臣役の大杉漣さんは、あの重厚且つ優しい眼差しで現代のがん治療のなんたるやを医師の立場で語ってくれたお蔭で、ただのお涙頂戴ドラマに現実味を添えたと思う。
その他の俳優陣も登場シーンは少な目だったが、愛菜さんの演技と上手にバランスをとったのか、皆さん抑え気味の演技で、特に我が娘を先に送り出す親心がいいアクセントになっていたと思います。
あとがき
原作本は一昨年『金スマ』で取り上げられたり、治療方法が話題になったりと、安武家が意外に世間に知られているのも、本作を冷静に観てしまった原因の一つだったと思います。そうで無ければ、いつもの愛菜ちゃん号泣演技で魅せるお涙頂戴ドラマとしての感想になったかもしれません。
まっ、ドラマとしては今年は全体的にあざとかったかなと言う印象です。題材の選択ミスもあったかも…。昨年の『今日の日はさようなら』の方が全体的にナチュラルな雰囲気で好感が持てました。
とは言え、がん治療に限らず治療方針を選択する本人や家族の判断ですし、子どもには何も罪はないと思います。ここは単純に、お母さんの味を覚えたはなちゃんが、千恵さんの“食育”を受け継いで、信吾さんと健康で幸せな人生を送って欲しいです、とまとめたいと思います。
そして、がん治療は、早期発見と早期治療、術後の定期検診が大切です。
【当blog内の関連記事(本家)】
【書評】「死ぬ瞬間―死とその過程について」エリザベス キューブラー・ロス (著)
24時間テレビ37で放送予定のSPドラマ「はなちゃんのみそ汁」のドキュメンタリー番組「はなちゃんのみそ汁 亡き母と 娘の約束」がGyaO!で公開中
「今日の日はさようなら」 24時間テレビ36 SPドラマ (2013/8/24) 感想
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