ボクらの時代/小栗旬×綾野剛×蜷川幸雄(2014/8/24)感想 蜷川幸雄、「漫画の実写化」に物申す!
フジテレビ系『ボクらの時代』(公式)
『小栗旬×綾野剛×蜷川幸雄』(2014/8/24放送)の感想。
まえがき
8月30日劇場公開の映画『ルパン三世』は、日本人なら知らぬ人はいない程の有名な漫画やアニメ『ルパン三世』の1974年以来の二度目の実写版。その作品に出演したのがルパン三世役の小栗旬さんと石川五ェ門役の綾野剛さん。そして二人が師と仰ぐ舞台演出家・蜷川幸雄さんが、今回のトークゲスト。
当記事は30分の番組中で、小栗さんと綾野さんがじっくり聞き込んでいた蜷川さんのトーク部分を書き出してみた。確かに、本気で二人の“いい俳優”の将来のことを考えている蜷川さんの言葉一つ一つが私の心にも伝わってきた。
蜷川幸雄、「漫画の実写化」に物申す!
番組中盤、いよいよ今日のメインである映画『ルパン三世』に話が及ぶ。
蜷川「面白いの?あの映画」
小栗「面白いですよ」
蜷川「ホントかよ?」
小栗「エンターテインメントです」
蜷川「なーんで今頃…あっ、余計なことはどうでも良い」
実写映画に出演した二人に対して何か言おうとした蜷川さんだが、この放送が映画のPRであることを察して話すのを止めそうになった。そこへ小栗さんが「言って下さいよ」と促して、会話が再スタート。
蜷川「俺は漫画を実写に映したって意味ねえじゃなねえかと思うんだよね。
漫画はそれでサイズを決めながら展開していく訳じゃない?
それを実写化するって言うのは、
どこにクリエイティブな面白さがあるんだよと、俺は思っちゃうわけね」
小栗「上手く行けばね、
まあでも、漫画の世界も飛び越えることができる瞬間もありますしね。
それが創れると、
そこにはクリエイティブはあるんじゃないかと思いますけどね」
蜷川「なんか絵のコピーのような気がしてしょうがないんだよな」
小栗「そうなっちゃうとね。
結局、やっぱ僕らも実写化の作品に入って、やっぱり、
“えっ?これじゃあホントに漫画読んでるみたいじゃん”て言うのだと…」
綾野「…(頷く)」
綾野さんは終始、蜷川さんの言葉に頷いて、コメント部分は放映されていませんでした。編集が入っていたので何かおっしゃっていたかもなんて考えつつ、編集後のオンエア部分を見ると、最後に「チャーミングですよ、俺」と大笑いした小栗さんと、その小栗さんに同調した綾野さんの笑顔に、この度の映画に対しての小栗さんと綾野さんの気持ちが伝わってきたような…
「いい俳優」には不幸でいて欲しい…
蜷川さんが、俳優の幸せを願わない理由と話し出す。こう言う本音を若手にきちんと言ってくれる人が師と仰がれるんだろと思ったし、俳優と言う職業は難しい仕事なんだなと再認識した。
蜷川「人間ってあまり幸せだと、穴を埋めるって言う冒険を
しなくなるって言う恐怖心が自分自身にはあるのね。
で、例えば“いい俳優”には不幸でいて欲しい。
それは何か欠落しているものがあるから、仕事で埋めたり、
他者との熱いコミュニケーションでそう言うものを埋めていく。
そう言う風にあって欲しいからで…(中略)
結婚したって良いんだけど、自分で苦しむハードル、
そことは別個に見つけなきゃいけないんだよ」
「いい俳優」が背負うべき使命
蜷川「ご飯食べて働いて帰って来て家族を養うとか寝るとか。
そう言う同じもんの繰り返しの中でそん中で、
どう言うこう自分の中で掻き立てるものを持つかって言ったら、
その人が必死になってその核を探さなくちゃいけないと。
舞台だって同じだと思うんだよね。
で、小栗に対してギャーギャー俺は言っても、“そこを通過しろ”と。
二つの人生を抱えてんだろ、
実際の人生ともう一つの演劇を通した繰り返さなきゃいけないって人生。
二つを抱えてそこで格闘したら芝居も持続できる何かを
発見できるかもしれないって気がするんだよ。
で、それは“いい俳優”が背負うべきもう時代に
来てるんだと言う気がするんだよね。
そして、見事にそれをやってのけて、アッと言わせて欲しいと」
綾野さんが、終始強く頷きながら聞いていたのが印象的だった。
あとがき
今週末劇場公開予定の実写版『ルパン三世』を観るかどうかとても悩んでいます。私は漫画は読んでおらず、テレビアニメから『ルパン三世』に入りました。そして、劇場版アニメ『ルパン三世 カリオストロの城』で漫画をアニメーション化することのクリエイティブな面白さを知りました。
そして、今回の3人のトークを見て、今回の作品にクリエイティブな面白さを見出せるのか、小栗さんと綾野さんの表情からは残念ながら私は読み取ることができませんでした。
小栗さんの父親は舞台監督で、小栗さん自身も映画監督を1作務め、仕上がりの良し悪しは別にして、映画づくりへの情熱や楽しさは十分伝わりました。どんなジャンルの映像作品でも、小栗さんのシーンには不思議な緊張感が漂います。
また、綾野さんも女性に人気が高い俳優さんですが、どんな役にも染まってみせるぞと言わんばかりのあの狂気的な透き通った目で、下手な脚本や演出の映像作品でも、彼の周囲だけは虚構の中の真実の不思議なオーラが漂う魅力的な俳優さんです。
今や出演作を信頼できる数少ない二人の俳優が、おちゃらけた感じでしか蜷川さんに観てくれと言わなかった部分が編集で残されました。これは何を意味するんでしょう…
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