花子とアン (第118回・8/14) 感想
NHK総合・連続テレビ小説『花子とアン』(公式)
第20週『海にかかる虹』【第118回】の感想。
悲しみに暮れる花子(吉高由里子)と英治(鈴木亮平)。そんな花子の姿を、甲府からかけつけた吉平(伊原剛志)やふじ(室井滋)、朝市(窪田正孝)は痛ましげに見つめ、後ろ髪を引かれながら東京をあとにする。吉太郎(賀来賢人)は思い出の鉱石ラジオを手に人知れず涙し、それを見た醍醐(高梨臨)は優しく言葉をかけるのだった。家に戻った蓮子(仲間由紀恵)は、花子を励まそうと考えたあげく、筆をとる…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
こんな時だけ史実に合わせるのって趣味悪くない!?
今日は歩(横山歩)の亡くなったシーンから始まるだろうから、今日くらい真面目に手抜きなどせずと願ったが、冒頭の15秒のこの語りで私の望みは一瞬で裏切られた。
語り「9月1日の明け方、歩は疫痢で息を引き取りました」
歩のモデルである“村岡道雄”さんが亡くなったのが大正15年9月1日で、劇中の時間と合わせられている。これを作者の道雄さんへの配慮だとは思えない。これまでも史実を改変してきた本作だからこそ、なぜこう言う時だけ?と、悪趣味にさえ感じてしまうのは、私が捻くれ者だからだろうか。
のちのエピソードに繋がる日常描写が少な過ぎ!
気を取り直してメインタイトル後から観てみよう。登場人物の突然の死でお涙頂戴エピの連続で感動づくりと言うのは、手抜きドラマの定番とも言えるが、とにかく昨日の歩の運命の日ですらあの雑さだから、やはりこうなるようだ。
例えば、鉱石ラジオを手に号泣する吉太郎(賀来賢人)にハンカチを差し出す醍醐(高梨臨)が、
醍醐「吉太郎さんは、歩ちゃんの親友でいらっしゃいましたもんね」
と言うが、本作で歩と吉太郎が親友であったと言う描写がどれだけあったか?多分僅かな尺しか無かったと思う。鉱石ラジオ以外の印象的なエピソードが1つでもあったら、吉太郎の涙の見え方も違ったろうに…
感動的なシーンも“表面的なお涙頂戴もどき”になる!
似たような表現は、浪子(角替和枝)の台詞にもあった。
浪子「私が教えたの。花子さんの所へ行って、歩くんと遊ぶんだって…」
この「花子さん」が気になる。花子(吉高由里子)と蓮子(仲間由紀恵)が腹心の友であることは描かれているが(と言っても台詞で連呼してるだけだが)、蓮子がそのことを浪子に伝え、浪子も花子と親交が深いような言いっぷりはちょっと…
かよ「オラもあの頃ほうだった…」
も同様。ただ疲れた遊女みたいに縁側のタンスに寄りかかってたまに文句を言ってただけの印象しかない(確かに放映尺は黒木さんでの視聴率稼ぎ目的で異常な程に長尺だったが。これだけ台詞に突っ込み所があると、拾うこちらが疲れるので止めにするが…
結局、登場人物たちののちの感動エピソードに繋がるような日常の描写が殆ど無く、物語に無関係にしか思えないエピソードの連続であったことが、こう言う感動的なシーンまで、“表面的なお涙頂戴もどき”になってしまう。もう残念と言うレベルで無いと思う…
今更、花子にとって「歩も蓮子も大事」とは言わせない!
そして、例の『VOICES OF THE BIRDS』の原稿の最後に書かれていた文章も、史実通りに引用かと思いきや、詳細は当blog(本家)の記事『拍手コメントへ返信 (2014/8/11の分) 第115回で梶原が花子に託した本『VOICES OF THE BIRDS』について ※修正あり』を読んで頂くとして、結論は劇中の文章の方が、「息子・歩への愛情の深さ」や「十分にしてやれなかった自責の念」が濃く描かれていた。
それが悪いとは思わない。むしろそれこそが朝ドラ脚本としての解り易さやストレートさに繋がるのだから、作家ならこうして脚色するのは当然とも言える。しかし、問題は歩が生まれてから花子が「歩ちゃん」より「蓮さま」と言っていた方が多い印象しか残っていないことだ。台詞の数だけでなく、実質的な放映尺も歩が少ないのは観ての通り。
主人公・花子の人生にとって超が付くほどの一大事なのに、これまで劇中の主人公の人生にとっては“我が子”より“腹心の友”に重心が置かれてきたのを、視聴者には逆か同等だと脳内補完せよとする、台詞や語りや文章ばかりの15分。「いや、どちらも大事です」なんて言い訳は本作のスタッフには言わせない!
あとがき
まだまだ気になることはたくさんありますよ。例えば、
●吉太郎が花子が早速仕事に取り掛かるのに激怒していたがお門違いでは?
●これまで英治までもクリスチャンだった描写ってあったっけ?
●そもそも花子が日曜礼拝に行くとか信仰心の描写ってあったっけ?
●結婚式も形式だけ、クリスマスはどんちゃん騒ぎ、歩の「神様」はあったけど…
●梶原編集長が、発注先とは言え別の会社の社長を「英治君」って?
●行方不明になった花子のあとに、「さようなら」の語りはアリなの?
さて、いよいよ明日明後日がサブタイトル『海にかかる虹』のくだりでしょうね。どんな花子の物語になるんでしょうか。
まあ花子の家出は一時の気の紛らわしで、きっと腹心の友が歩と行けなかった海に花子を連れ出して、土日の二日間をかけて、中園ミホ先生お得意の“不幸をエネルギーにして創作意欲を沸かせる花子”が登場。そして次週から一気に作家活動スタート。もうそれで良いので、話を進めて欲しいです。
今日も、拙い長文を最後まで読んで下さり、ありがとうございました。
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【これまでの感想】
第1週「花子と呼んでくりょう!」
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第2週「エーゴってなんずら?」
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第3週「初恋パルピテーション!」
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第4週「嵐を呼ぶ編入生」
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第5週「波乱の大文学会」
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第6週「腹心の友」
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第7週「さらば修和女学校」
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第8週「想像のツバサ?」
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第9週「はな、お見合いする」
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第10週「乙女よ、大志を抱け!」
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第11週「グッバイ!はな先生」
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第12週「銀座のカフェーで会いましょう」
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第13週「その恋、忘れられますか?」
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第14週「ゆれる思い」
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第15週「最高のクリスマス」
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第16週「あなたがいる限り」
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第17週「腹心の友ふたたび」
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第18週「涙はいつか笑顔になる」
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第19週「春の贈りもの」
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第20週「海にかかる虹」
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