おやじの背中 (第5話・8/10) 感想
TBSテレビ系『おやじの背中』(公式)
第5話『ドブコ』(脚本:木皿泉氏 / 演出:北川雅一氏)の感想。
三冬(堀北真希)の父親・正(遠藤憲一)は、悪役専門の役者。正の当たり役「ドブネズミ」にちなんで、小学生時代に三冬についたあだ名は「ドブコ」だった。今は警察官として働く三冬は、ある日、幼なじみで同僚の勝(溝端淳平)から、結婚式への出席を遠慮してほしいと言われる。婚約者が三冬と勝との関係を快く思っていないようで、今後は友達付き合いもやめたいという。数日後、事情を知った正が署から勝を呼び出す。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
【修正】「あとがき」中の“役所広司さん主演”を“渡辺謙さん主演”へ修正しました。(2014/8/11)
私が苦手な脚本家と演出家のタッグ。さてどうだったか?
脚本は『すいか』等の木皿泉氏で、独特な台詞と間で創り出す個性的な世界観で人間の自由や生き方を描くのが得意。演出は『ダブルキッチン』等の北川雅一氏で、北川節的な特徴があると言うより、一風変わった脚本をそれなりの作品に仕上げる人。二人とも独自路線でファンも多いが、私はどちらの作風も苦手。
その理由は、二人とも登場人物と出演者が重なって見えにくいと言うか、バラバラに見えてしまうことが多く、私が作品の世界に入り難いから。
今作も、ファンの方には申し訳ないが、普通の人を演じては影が薄いが、普通と違う職業やキャラを演じると魅力を発する堀北真希さんと遠藤憲一さんが、警察官と悪役専門の役者と言うキャラを被るお話。不安要素いっぱいで始まった…
“木皿泉節”がベタな演出で普通のドラマに仕上がった!?
結論から言っちゃうと、堀北真希さんと遠藤憲一さんを楽しむベタな父と娘の物語で終わってしまった。もうこの二人に好意を持っているなら、この作風も受け入れられちゃうだろうから、絶賛する人も多いと思う。
でも、私はもっと主演の二人にも脚本と演出にも、斬新さや新鮮味が欲しかった。だって、折角の実験的なオムニバスドラマなのだから…。そう感じるのは、脚本の“木皿泉らしさ”を前述の通りに演出の北川氏が普通でそれなりの作品に仕上げてしまったのが原因だと思う。
殺され役で強面のおやじと幼い頃から父の職業で友情関係に悩んできたかわいい娘の話とくれば、最後は強面おやじが泣きじゃくるのは容易に想像がつく。そこへの経緯もメリハリ少なくストレートに進んじゃった…
娘の友情話より、父の人生観を丁寧に描けば…
さて、ここからが本題。では、今回は『おやじの背中』に相応しいドラマであったかどうか?私は、父と娘の物語と娘の友情物語と言う両輪が上手く連動せず、結果的に、物語の中で父親の存在感(存在理由)が薄まったてしまったと思う。折角のエンケンさんなのに「俳優・鬼頭勇人のPV」止まりだったのが残念…
だって、多重人格的な演技力を持ち存在感を放つ遠藤さんが父親役なのだから、娘の友情話はもっと抑えて、“斬られる”をキーワードにおやじの人生観をじっくり描けば良かったのではないだろうか。
あとがき
第5話まで観てきましたが、前回から脚本と演出と配役がミスマッチな作品が続きますね。やはり1時間枠で、これだけ有名な配役を揃えて、個性的な脚本家がホンを書いたら、演出家はそれを何とか料理するのが精一杯になって、演出家の色を出すところまで行くには厳しいかも知れません。深夜枠で俳優陣は全部無名な新人さんでって企画なら良かったかも…なんて。
第6話は『僕シリーズ3部作』の脚本家・橋部敦子さんと、スペシャルドラマが得意の演出家・竹園元さん、父と娘役は國村隼さんと尾野真千子さんで『父の離婚、娘の再婚』と言うリアルな話。予告編も悪くなかったですが、第6話の予告の直後に第7話の山田太一さん脚本で渡辺謙さん主演の予告はちょっとズルくない?
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第1話「圭さんと瞳子さん」 第2話「ウエディング・マッチ」 第3話「なごり雪」 第4話「母の秘密」
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