おやじの背中 (第3話・7/27) 感想
TBSテレビ系『おやじの背中』(公式)
第3話『なごり雪』(脚本:倉本聰氏 / 演出:石橋冠氏)の感想。
70歳の金次郎(西田敏行)は、富山から上京して一代で金属加工会社を築き上げた。しかし、最近、耳が遠くなり、息子で専務の金一(光石研)らとも会話がかみ合わない。会社では、創立40周年のパーティーの準備が進められていたが、金次郎が企画した余興は、金一らにことごとく却下されてしまう。怒った金次郎が姿を消し、心配した妻の秋子(由紀さおり)から相談を受けた金次郎の友人で元刑事の大塚(小林稔侍)が駆け付ける。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
中高年の視聴者の心にメッセージは伝わったと思う…
前2話が父と娘とその結婚と似通ったテーマだったが、第3話は一人の影が小さくなっていく父親の背中と家族や友だちの物語。
また、老いから来る自信喪失、世代交代、そして孤独感に悩むおやじと純粋な見方である孫の意思疎通で解決を描くと言う、若い視聴者にはちょっと物足りない話だろうが、中高年なら誰しも心に響く話だったと思う・・・
主人公を逃避行させたり、1時間を有効に活用した脚本!
脚本は私が大の苦手な倉本聰氏。しかし、今回は“周年記念祝賀式あるある”がよくシナハン(シナリオ・ハンティング)されており、前半の自信たっぷりな金次郎(西田敏行)が徐々にみじめになって行く様が、とてもユーモラスに描かれていた。なにせ、私の仕事は年に数回こう言う社長さんや会長さんと社員の間に入って均衡と取るのが仕事だらか、よーくわかるのだ。
また、30分過ぎから主人公が画面から姿を消し、みんなでおやじの背中を思い出しながら金次郎の行方を探したり、小芝居を仕組んだりする構成も面白い。僅か1時間の中に主人公だけでなく登場人物それぞれの人生観までチラリと魅せるニクイ脚本。苦手な倉本脚本だが、今回はなかなか秀逸だったと思う。
最後までみじめな男の描写力に魅了された演出!
演出は、前回の「あとがき」で書いた通り、と西田敏行さん主演の『池中玄太80キロ』でコンビを組んでいた、みじめな男の生き様を描くのが巧い石橋冠氏の本領発揮と言った感じ。自信家の金次郎が次第にみじめになり恥さえも感じる様や、家族や仲間で一芝居を打つシーンのコミカルな演出は流石の一言。
特に、孫のしのぶ(広瀬すず)と心が通い一時の癒しを得るくだりも、「なごり雪」のオルゴール音からスルリとイルカさんの歌ヴァージョンへ切り替えて、じっくりしっとり魅せたのも見事。最近流行のリアリティを出したいのか妙にゆらゆらしたカメラワークを無駄遣いする監督が多い中、きっちり作り込んでくる作風にホッとした1時間だった。
あとがき
最近は警察のお偉いさんや病院の教授役ばかりの西田敏行さんですが、今回の田舎の町工場の社長という言わば普通のおやじを演じても良いですね。他の配役も細かい人たちまで手抜かり無し。唯一の失敗はナレータの徳光さんだけ。今回は、きちんと『おやじの背中』になっていて良かったです。
第4話は、ベテラン脚本家の鎌田敏夫氏と鎌田氏に比べるとまだまだ中堅の山室大輔氏が演出。また注目の親子役が渡瀬恒彦さんと中村勘九郎さんで、予想がつきません。どうやら亡き妻と母を巡る父と息子の話のよう。期待します。
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第1話「圭さんと瞳子さん」 第2話「ウエディング・マッチ」
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