おやじの背中 (第1話・7/13) 感想
TBSテレビ系『おやじの背中』(公式)
第1話『圭さんと瞳子さん』(脚本:岡田惠和氏 / 演出:山室大輔氏)の感想。
圭太郎(田村正和)と娘・瞳子(松たか子)は、互いを‘圭さん’‘瞳子さん’と呼び交わし、仲良く2人で暮らしていた。ある日、瞳子は同僚の奥住(バカリズム)からプロポーズされる。しかし、誰とも結婚をする気がない瞳子はその場で断る。その夜、圭太郎が食中毒で病院に運ばれ、そのまま入院することに。病院から一人、家に帰ってきた瞳子は、激しい不安に襲われる。一方、夜中に病院で目覚めた圭太郎は家に駆け付ける。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
オムニバス形式の第1話らしいストーリーだった!
10人の脚本家と10人の演出家が創り出す10篇のオリジナルドラマ『おやじの背中』の第1話。どんな親子の話が登場するのかと思いきや、「親子の数だけそれぞれの親子関係がある。だからこんな親子もいるかもしれない…」と言う不思議な親子が登場。正に10組の親子を描くオムニバス形式の第1話らしい内容だった。
「Over the Rainbow」を歌うせつない瞳子が印象的!
冒頭から、まるで新婚夫婦のように互いを“さん付け”で呼び合い、仕事帰りに待ち合わせをしたりと、終始べったりの父・圭太郎(田村正和)と娘・瞳子(松たか子)。
そんな圭太郎が急に一晩入院することになり、一人家で過ごすことになった瞳子(松たか子)は「Over the Rainbow」を歌って気を紛らわそうとするが発作を起こしてしまう。
きっと、似た者親子ならではの虫の知らせなのだろう。圭太郎は夜中に病院を抜け出し瞳子のもとへ。せつない表情の瞳子が印象的だった。
なかなか不思議な親子関係の謎が明かされないのが良い!
その後、二人はお互いにやきもちを焼いたり、過剰にお互いの将来を案じたりと、普通とはだいぶ違った不思議な父と娘の関係が淡々と描かれる。「こんな親子いるはずない!」と思わせつつ、「どうしてこの親子はこうなったのか?」と先が気になる構成も巧みだ。
そして、いよいよ物語の核心に触れるかと思われた40分過ぎ。瞳子が伊豆の恋人の実家に一泊旅行すると言う。ついにずっと寄り添って生きてきた二人が互いの新たな未来のために大きな決断をする。
互いを傷つけまい心配させまいと思いながら、無言で二人が茶を飲むシーンも、その直後に挿入される真っ青な青空のカットも見事。ここで説明台詞や音楽を入れるのは野暮ってものだ。
ラスト10分。見応えあり!
「卒業しようとしてるんだよな、瞳子さんは」と亡き妻の遺影に話しかける圭太郎。鳴らない携帯電話と時を刻む柱時計を見て、どんどん娘が親離れしていく寂しさと喜びが複雑に交差していくのがわかる。きっと多くの視聴者が「このまま朝まで鳴らないで」と思ったに違いない。そんな45分頃、全ての謎が解き明かされる。
交通事故で母を失った孤独感からパニック障害になった娘、その娘とずっとそばにいると誓った父が、互いをさん付けで呼び合うことで、まるで似た者夫婦のような関係になり、妻(母)を喪った悲しみを癒し、共に支え合って生きてきたのだった。
悲しい境遇を一緒に生きてきた親子の二人三脚が大きな一歩を踏み出す!
ついに夜が明けるまで携帯電話が鳴ることは無かった。そして、いつものように圭太郎が川でコーヒー用の水を汲んでいると、瞳子が伊豆から帰ってくる。子どもたちが「こんにちは」と挨拶しているから朝で無い。そう、瞳子は夜が明けたら一時も早く父のもとへ帰って来たのではないのだ。朝でも夕方でも無いのがこの親子らしいし清々しくもある。
そして瞳子は結婚したいと告げる。「おめでとう。大人になったんだな」と微笑む圭太郎の手を瞳子がそっと握るカットは、林道を手をつないで歩く親子の後ろ姿。だんだんと小さくなっていく二人の背中の大きさは、もう見た目にあまり変わりはない。
しかし、きっとこの一晩で、“おやじの背中”はほんの少しだけ小さくなり、“むすめの背中”はちょっとだけ大きくなったと思う。そんなことを感じさせるラストの“おやじの背中”の魅せ方も自然体で良かったと思う。
あとがき
“当て書き”でななかったのか?と思ってしまう程に、5人の俳優さんが見事に演じきったと言う感じです。
もちろん、視聴者に興味を持たせつつ焦らしつつで最後にストンと落とす脚本も良かったし、BGMを極力使わず、松さんの生歌やCDの音や川のせせらぎなどで、ドラマらしい楽しさと作り物臭さの排除が上手くいった演出も良かったです。
もしかしたら35~40分くらいの時間枠だったら、もっと少し物語に締りが出てくるので、更に余韻が残ったかもしれませんが、今回は日曜の夜に家族みんなで観て楽しめるドラマと言うことで、わかりやすい丁寧な表現になったのだと思います。次回も楽しみです
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