芸能人格付けチェック2011 お正月SP “演出”問題を考える
2011年1月1日にテレ朝で放送の『芸能人格付チェックこれぞ真の一流品!!2011 お正月スペシャル』(公式)の感想。日頃、日本映画の評価に手厳しい私なりの感想を書いてみた。
但し、いつものことだが、大谷健太郎監督と堤幸彦監督のファンは読まない方が良い!
“B”を観なくても、わかって当然!
なぜ、“B”を観なくても、どちらがプロの映画監督かわかるのか?理由は簡単。最近の日本映画のダメな部分が顕著なのが“A”だから。素人は、もっと手堅く、ある意味王道で攻めるしかできなはず。それが答え。
必然性の無い“印象的なカット”や“話題になりやすいカット”が多い!
決定的なのは、最後の床に落ちたメガネのカット。この作品は長年の二人の思いをキスで見せるのが映像化のポイント。なのに、“A”はキスを見せずに、メガネのカットを印象付けるように撮影・編集している。
これは、二人の俳優が下手だし、女性のルックスがイマイチ(失礼)だから、普通にキスを見せたくないと言う監督の(本来必要の無い)サービス精神で、強くメガネに観客の印象づけをして逃げてるだけ。
今の日本映画って、大体がこれ。俳優の演技の下手さを、必然性の無い変なカットで代用する。だから、テーマが伝わらない。それに、鑑賞後のレビュー等で「あのメガネのシーンで泣いた!」って方が、「キスシーンで泣いた」より、興味関心を引くいて話題づくりになりやすいから。
二人のラフな立ち位置と、揺れるハンディーキャメラで作る偽の臨場感!
それに、最近のテレビ局製作の映画は顕著だが、できるだけカット数を減らして、低コストで撮影したいから、二人をきちんと正面向きで立たせて、カット割りしない。ラフに立たせて、ハンディで手ぶれさせて偽の臨場感を演出したつもりの作品ばかり。“A”は全編そう。経験の無い素人に、こんな危険な撮影が出来るはずない。だから、“B”なんて観る必要ないわけだ。
“B”が素人なのは一目瞭然なのだが…
基本的に手数不足・技術不足といった感じで、全面的に悪いとは思わない。例えば、キスシーン。無駄にカット割りしたのに、一度も二人の顔がきちんと見えない。これは雰囲気を取ってるだけで、キスの本当の意味を映像化しようとしてない。どうせなら、2カットに割るなら、アングルを少し変えてみるとか…
それと、“ナメ”のカットが多い。“ナメ”とは例えば、一人の俳優をキャメラのレンズの手前に少し割り込ませて、その奥に本当に見せたい俳優を配置する。多くの場合は、手前の俳優がピンボケして、奥の俳優にピントが合うようなカットのこと。これ自体は、カット割りの王道だから決して悪いことでなく、むしろ丁寧な作風と言っても良い。
ただ、残念なのは、例えば、二人が告白してキスに至る件(くだり)で、1カットはキャメラを高い位置に置いて女性を撮影、もう1カットは低い位置から男性を撮影し、この2カットを編集で切り返しているから、どうしても単調になってしまった。あれをキャメラ位置をもう少し工夫すれば良かったかも。
堤幸彦監督もいつも自分でやってるのと同じなのに、なぜハズしたんでしょうね。きっと無意識に映画を作ってるんでしょう。ならば、過去の仕上がりも理解できます。それとキャメラの影なんか、セットの石橋がぐらつく映画『最後の忠臣蔵』に比べれば、可愛いものですよ、堤監督。
大谷健太郎監督作品は、『NANA』『ラフ ROUGH』『NANA2』を観ましたが、キスシーンを真正面に撮った作品ってありましたっけ?『NANA』で大当たりした宮崎あおいさんが『2』を断った(らしい)時点で、まあそういうことです。
















スリラーの神様 アルフレッド・ヒッチコックを楽しむ [単行本]
黒澤明の精神病理 増補版 [単行本] 柏瀬 宏隆 (著), 加藤 信 (著)
映像のカリスマ・増補改訂版 [単行本]
くたばれTVがんばれTV [単行本]
- 関連記事
-
- 池上彰さん、レギュラー降板。さて、戦場カメラマンは? (2011/01/07)
- 年末年始のスペシャル番組が、長すぎる上につまらない! (2011/01/03)
- 芸能人格付けチェック2011 お正月SP “演出”問題を考える (2011/01/02)
- アンビリーバボー 「歌声を失ったボーカリスト:森友嵐士」(11/11) 感想 (2010/11/16)
- 眞鍋ジャパンへの、「朝ズバッ!」みのもんたの“ノープラン”ぶりに腹が立つ! (2010/11/15)