死神くん (第9話 最終回・6/20) 感想
テレビ朝日系『死神くん』(公式)
第9話 最終回『さらば優しい死神!!最期は僕の傍にいて』の感想。
なお、原作(えんどコイチ氏による漫画)は未読。
ある人物が悪魔(菅田将暉)と契約し、食品会社ビルに爆弾を仕掛けた。主任(松重豊)から、阻止できなければ消滅すると告げられた死神(大野智)と監死官(桐谷美玲)が現場で状況を探る中、食品会社の社長・簑島から緊急会議のメールを受け取ったという社員たちが集まって来る。だがそれは、大量殺人を企てる元社員・中平(田中圭)のわなだった。3年前、同社は牛肉の産地偽装をしたが、責任を中平らにかぶせ、解雇していたのだ。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
まず始めに。今回の記事は総括もありますので長文です!
これまでとは違った興味深い設定でスタート!
世間では時に大量殺人等の凶悪犯罪者を「悪魔のような」と比喩するが、今回は悪魔が大量殺人犯の“理解者であり共感者”で“最強最悪の共犯者”になり、予定外の死者を出さないために、まるで名探偵のように死神(大野智)と監死官(桐谷美玲)が奔走すると言うこれまでにない設定でスタート。
何とも最終回らしいエンディングが期待できそうな良好な滑り出しだ。
今回は、より台詞一つ一つに深みや重さがある!
死神「俺にはみんなを救う任務がある」今回の物語の大きなポイントとなる台詞である。死亡予定者を無事に天に送ると言う仕事に生じた現実的な矛盾を、死神くんがどう解決するかを上手く暗示したこの悪魔の台詞。今回はこれまで以上に台詞一つ一つに深みや重さがある。
悪魔「被害者の彼は救われないよ。
それよりも君は彼のために何かしてやれるのか?」
死神くんの成長を魅せた名シーン!
死神「少なくとも私が立ち会ってきた死亡予定者たちもこれを犯人に「楽観的」と言われてしまう死神。確かにきれいごとで型通りの言葉だが、間違いなく死神くん自身が見てきた現実であり真実。その言葉が届かない虚しさ。死神くんが成長してきたからこその悩みを上手く表現したシーンだと思う。
その家族や友人たちも厳しい現実を受け入れて、
前に向かって歩き出しました。
どんなに苦しくても何か希望を見つけて生きていく。
それが人間の強さなんじゃないですか」
黒い羽根の表現もさり気ないが効果的!
しかしその後、新たに57人の死亡予定者がノートに記載され、死神たちの任務は爆破阻止から57人を天に送ることに変わってしまう。そこで、
死神「今までやってきたことは何だったんだよ。と自問自答する死神。その背景のビルの窓外に例の黒い羽根が次々とゆっくり落ちてくる。まるで死神のやるせない気持ちと脱力感を表すように。こう言うさり気ない表現も素晴らしい。
死神ってのは何なんだったんだよ」
復讐の虚しさを静かに熱く説く死神くん!
そして、復讐の虚しさを静かに、熱く語り犯人を説得する死神くん。この屋上のシーン、大野さんと中平毅役の田中圭のやりとりは、正に本作らしい見事な命のやりとりを名演技で魅せたと思う。
しかし、犯人はノートの時間に自らの命を絶つ。犯人は亡くなりビルの中の人たちは救えた言う結果を複雑な気持ちで受け入れ、無事に仕事を完了した安堵感と虚無感で満たされた死神くんの心を、例の黒い羽根が消え去ることで表現したのも再び上手い表現。更にノートの大量の名前も消えていく…。
消滅処分を受けるくだりも、その後の二人の描写も印象的!
「3つ目の願いは無効になるんだろ?」と死神らしからぬことを言う死神くんが、「彼の魂は救えたよ」と言うことで、死神くんが“死神”と言う仕事を自分なりに理解し、自分なりの判断で大きな決断を下したのが解る。でも残念ながら規則違反で死神くんと監視官が消滅処分を受けてしまう。
監死官の最期の言葉「良いんだよ。私も疲れた」と言うのは、何とも中間管理職的な悲哀に満ちた台詞で、それを若い桐谷さんが言うのも面白い。また、だいぶ年上の主任(松重豊)に「何かやりのこしたことは?」と聞かれ、表情を変えずにしかし何となく満足げに二人が「ないよ」と答えたのも印象的。
そして、消滅処分を受けた死神くんたちのことを知らされた悪魔の無表情も更に印象的。そして、激務から解放され人間となった?二人。特に、にこやかに釣りを楽しむ大野さん演じる“元”死神くんは、ドラマ的には遊び心あり過ぎなラストカットだが、本作では存在感は抜群でも出番も笑顔も少なく寂しかった大野さんファンの心を救ったのではないだろうか。
あとがき
死神くんと監死官が名探偵の如く活躍するってアイデアは面白かったです。消滅処分になるまで少し台詞で説明し過ぎな点と全体の間延び感はちょっぴり残念でしたが、解り易い台詞を入れる必要もあると思うので、そこはどっちもどっちかなと。
と言うのも、実はこれまで敢えて書かなかったのですが、本作の本当の深い部分は10代や20代では解り難いだろうなと言うことなんです。歳を重ねた人間が自分に当てはめて考えてしまうと言うのもありますが。その意味で、最終回は台詞で補強したのは正しかったと思います。だって事実、誰にでも解り易いお話の第4話までと、死と老いを描いたそれ以降では明らかに視聴率が違いますからね。
私は中年オジサンなので、この『死神くん』で描かれた様々な死や遺族の気持ちにすごく感情移入しましたが、若い人たちはまだ先であろう自分や身近かな人の死や老いについて考えるきっかけになったのかなと思います。とても素晴らしい作品でした。キャストとスタッフの皆さん、お疲れさまでした。
最後の最後になりますが、前回の感想にも170以上のWeb拍手を頂き、第8話までの合計も1100を超えました。本当にありがとうございました。またこのような素敵な作品に出会ったら、是非このブログを思い出して頂ければ嬉しいです。
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